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認知症の早期診断に向けた新技術を事業化~大阪大学発ベンチャー「株式会社アイ・ブレインサイエンス」を設立~

12月5日発表 

(イメージ写真)
 タブレット端末(iPad Pro等)に専用アプリをインストールし、深度センサーと顔認証機能視線検出を行います。 • 認知機能タスク映像(約3分弱)を被検者が眺めた視線データから認知機能スコアが算出されます。

ポイント

  • 次世代型認知機能評価システム事業を展開する株式会社アイ・ブレインサイエンスを設立
  • 大阪大学におけるJST大学発新産業創出プログラム(START)でのベンチャー企業
  • 認知機能の簡便なスクリーニング検査法の普及と機能回復・維持の方法を提供することで種々の社会問題解決に役立つことに期待

概要

大阪大学大学院医学系研究科の武田朱公寄附講座准教授、森下竜一寄附講座教授らの研究グループは、大学発ベンチャーとして株式会社アイ・ブレインサイエンス(代表取締役社長:高村健太郎)を令和元年1113日に設立しました。同社は大阪府茨木市彩都を拠点とし、開発中の「視線検出技術1と機械学習の融合による次世代型認知機能評価システム」を応用したソフトウェア医療機器と、一般用スクリーニング評価機器を開発して事業化します。本技術では視線検出技術と認知機能評価映像2を組み合わせることで、数分間映像を眺めるだけで、その視線の動きから低ストレス、簡易、客観的に認知機能を簡便に評価することを可能とします。

同社の設立は武田寄附講座准教授の技術の事業化を目指して科学技術振興機構(JST)の研究成果展開事業大学発新産業創出プログラム(START)の研究開発成果を活用するものであり、バイオ・サイト・キャピタル株式会社(代表取締役:谷正之)を事業プロモーターとして研究開発、起業準備を進めてきました。今後株式会社アイ・ブレインサイエンスは、バイオ・サイト・キャピタル株式会社の支援を受けながら次世代型認知機能評価システムの事業化を進め、大阪大学等の研究成果の社会還元を目指します。

※(参考)201999日付けプレスリリース「わずか3分、目の動きの解析で認知機能を評価」

研究開発及びベンチャー設立の背景

認知症の急増が世界各国で社会問題となっています。これまで認知症の診断は、医師との対面方式による問診法をベースとした認知機能評価をもとに行われていました。この方法では検査に時間がかかり、また検査を受ける人の心理的負担が大きいこと等が問題になっていました。武田寄附講座准教授は、大阪大学大学院医学系研究科片山泰一教授が行っている自閉症スペクトラムの診断機器(JVCケンウッド社製)の開発からヒントを得て、認知症の発症予防のために診療機関への受診動機を高めることを目的に簡便に認知機能を評価できる方法の開発に取り組んできました。

医療機関以外でも、自治体の住民健診、企業内検診、生命保険や損害保険、高齢者の運転免許更新時などでも簡易に認知機能程度をスクリーニングする方法が求められていました。

 

本ベンチャーが社会に与える影響(本研究成果の意義)

本ベンチャーはSTARTプログラム「視線検出技術を利用した簡易認知機能スクリーニングシステムの開発による社会システムの負荷軽減」プロジェクトをシーズとした事業化であり、通信タブレット端末(iPad)に搭載された顔認証システムを活用して、タスク画像等を短時間(3分未満)眺め、視線動向を定量的に記録し、AI 解析(機械学習/深層学習)を活用したアルゴリズム解析により、認知機能の度合いを評価する技術を提供します。

これは医療機関で行われている標準的な認知機能の評価方法と高い相関を示し、非接触で、簡易に、ストレスのない、客観的、定量的なスクリーニング評価法は、認知症の早期発見と予防を図り、認知機能の低下や認知症に起因する様々な社会問題の改善、負荷の軽減を可能とするものです。

 

用語説明

※1 視線検出技術(アイトラッキング)
赤外線カメラ等を用いることで、被検者が画面像のどこを見ているかを高度に検出・記録する方法。

※2 認知機能評価映像
ワーキングメモリー、判断力、記憶、空間認知機能などの各認知機能を評価するためのタスク映像。タスク映像は複数の画像などから構成され、その中の誠意画像を注視した時間に基づいてスコアが算出される。