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国内初 患者申出療養で医療機器の承認 〜人工心臓の装着に耳介後部ケーブルを用いて、患者QOLの向上へ〜

3月9日の記者会見の様子

概要

大阪大学医学部附属病院は、重度の腎機能障害を持つ患者からの申出により実施されている「患者申出療養」で国内2例目、医療機器としては国内初となる承認を受けました(平成29年2月20日付厚労大臣承認)。平成28年4月から実施されている「患者申出療養制度」(以下、「本制度」という)は、保険外併用療養(※)として、未承認薬等を迅速に使用したいと望む患者の思いに応えるため、新たに創設された制度です。困難な病気と闘う患者からの申出が起点となります。

今回、本制度に基づき大阪大学大学院医学系研究科 心臓血管外科学 澤芳樹教授らは、心臓移植・Destination Therapy (人工心臓の永久使用)治験(以下、「DT治験」という)の選択・除外基準である重度な腎機能障害を持つ患者に対して補助人工心臓を装着し、耳介後部からケーブルを出す療法を実施します。これにより、現在承認されている腹部ケーブルを使用する療法と比べて、コード由来感染症のリスクが低く、装着患者のQOLも向上する(日本文化に適した入浴等が可能)などの効果が期待されます。

実施の背景

耳介後部ケーブルを使用した例

これまで、腎臓の(不可逆的)機能障害等の既往症例のある患者に対しては、心臓移植・DT治験が対象外とされていました。
今回、患者からの申出によって、本制度を利用することで、従来の適応外である患者に対して補助人工心臓を装着するとともに、海外承認・国内未承認の技術である耳介部からケーブルを出す療法を実施します。本制度による医療機器での実施は国内初の承認で、心臓移植およびDT治験の対象外患者に対する選択肢が広がります。

本療法が社会に与える影響(本療法の意義)

心臓移植・DT治験の対象外となる患者に対して補助人工心臓を装着し、耳介後部からケーブルを出す本療法は、コード由来感染症のリスクが低く、装着患者のQOLが向上する点からも、実生活に大いに影響を与えることが期待されます。

特記事項

患者申出療養として、医療機器での実施は国内初の承認となります。引き続き、大阪大学医学部附属病院は、医療法上の臨床研究中核病院として、国際水準の臨床研究や医師主導治験の中心的な役割を担い、次世代のより良質な医療の提供に貢献してまいります。

用語説明

(※)保険外併用療養:原則、健康保険では、保険が適用されない保険外診療を実施すると保険が適用される診療も含めて、医療費の全額が自費負担となりますが、厚生労働大臣の定める「評価療養」(先進医療等)と「選定療養」(差額ベッド等)については保険診療との併用が認められています。