溶血性尿毒症症候群(HUS)とは

この文書は原典を翻訳したものです。
原典は http://www.ualberta.ca/~armstron/CPKDRC/hus.htmlにあります。
Alberta大学の提供文です



翻訳文責 山本 憲

溶血性尿毒症症候群(HUS)とは

内容




1)溶血性尿毒症症候群(HUS)とは?

溶血性尿毒症症候群(HUS)は腎臓やほかの臓器を侵す病気です。カナダでは小児に対 して無視できない脅威となっており、急性腎不全、慢性腎不全のどちらでも原因の第一位 となっています。溶血性尿毒症症候群(HUS)は一年のうちでは暖かい季節に見られる ことが多く大腸菌O157:H7株によって引き起こされ、メディア等で”ハンバーグ病”と名 付けられています。健康なヒトの消化管のなかではほかの種類の大腸菌はごく普通に生息 していますが、この特別なO157:H7株は下痢をしていない場合には通常は見つけることは できません。この大腸菌O157:H7株は非常に強力な毒素を作り出します。この毒素こそが この菌で消化器が侵されたときの種々の症状の原因となっています。
別名ハンバーグ病とも呼ばれる大腸菌O157:H7株による胃腸炎の最も多く見られる症状は 下痢(時として便に血が混ざることがあります)、嘔吐、腹痛などです。
人によっては熱が出ることもあります。大腸菌O157:H7株の胃腸炎は年齢を問わず起こる 可能性があります。しかし小さな子供と高齢者は重症になりがちです。この感染症は非常 に強い伝染性を持っています。カナダ、アメリカ、ヨーロッパの各地で数多くの流行が報 告されており患者数は毎年何千人にも上っています。

2)病原体はどこから来るのでしょう?

大腸菌O157:H7株は牛の腸管に感染します。また頻度は低いですがほかの動物の腸内にも いることがあります。典型的な場合には便中に菌があり、この菌が屠殺処理中かあるいは 処理後に肉を汚染します。これら菌は生焼けの挽肉や殺菌処理されていない牛乳やチーズ を食べたり、あるいは汚染された水を飲んだりすると人に移ります。だれかが菌のついた 生焼けの挽肉を食べると今度は菌は人から人へ、手と口の接触によって拡がっていき ます。
手洗いの仕方が悪かったり、食品の取扱が適当でなかったりするとこの菌が拡がる原因に もなります。

3)どうゆう人が溶血性尿毒症症候群(HUS)になるのでしょう?

大腸菌O157:H7株による胃腸炎、別名ハンバーグ病、にかかった小児のうち大体十人に一 人の割合で溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こします。この大腸菌が作る毒素は、循環 状態や赤血球や腎臓、さらには脳にまで作用して溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こし ます。カナダ小児腎臓病調査センターが1986年から1988年のあいだに行った調査 では溶血性尿毒症症候群(HUS)と診断されるのは下痢が始まってから8から12日目 のことがほとんどです。この時期よりも早い時点で溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症 する例もまれではありません下痢が始まってから2週間以上してから溶血性尿毒症症候群 (HUS)を発症することはきわめてまれです。成人でも溶血性尿毒症症候群(HUS) は起こることがありますが、特に起こす可能性が高いのは小児それも5歳以下の場合 です。
どうしてある患児は溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こし、別な患児は腎臓がやられず に済むのかは現時点では良く判っていません。

4)溶血性尿毒症症候群(HUS)の症状は?

溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こした患児は通常、刺激に過敏になったり、疲労感を 訴えたり、顔色が悪くなったりします。おしっこの量が減ることもあります。大腸菌 O157:H7株による胃腸炎のあとでは溶血性尿毒症症候群(HUS)の兆候に注意する必要 があります。もし溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こしたときは重症度はいろいろです が大体二週間ほど入院して腎臓の障害を手当することになります。重症度によりますが大 部分の症例では何らかの形での輸血が必要となりますし、大体半分の例で一時的に人工透 析が必要になります。現在の医学をもってすれば約97%の患児はこの病気を生きながら えることができます。しかし長期間の観察は非常に大事です。