Preventing Foodborne illness: Escherchia coli O157:H7
この文書は原典を翻訳したものです。
原典は
http://www.cdc.gov/ncidod/publications/brochures/e_coli.htmにあります。
また、この文書は下記機関から提供されているものです
Division of Bacterial and Mycotic Diseases
National Center for Infectious Diseases
Centers for Disease Control and Prevention
1600 Clifton Road, Mailstop C09
Atlanta, Georgia 30333
以下日本語翻訳文(訳 山本 憲)
細菌真菌疾病部門
- 食品由来と考えられる疾病の予防:大腸菌O157:H7株
大腸菌O157:H7株は、食品由来と考えられる疾病の原因の中で最近目立つようになってき
たものの一つです。全米で概算1万から2万例の感染例が発生していると考えられていま
す。感染例ではしばしば血性の下痢が認められ、時として腎不全を発症します。大多数の
症例は菌に汚染された牛挽肉が調理不完全で供されことと関連があるとされています。家
族内あるいは幼児が集団生活をするような施設(幼稚園、保育所、学校など)内での人か
ら人への感染も病気の拡がり方の中で重要な位置を占めます。また生乳や下水が混入した
水を飲んだり、下水が混入した水の中で泳いだりした場合にも感染する場合があります。
消費者側での感染は、肉類(特に挽肉)は完全に火を通すこと、消毒されていない牛乳は
飲まないこと、さらに手を注意して洗うことで防止することができます。この菌自体は健
康な家畜の腸内で生育できるため、牧場や食肉処理施設での対策に関しても研究が行われ
ています。
- 大腸菌O157:H7株とは?
大腸菌O157:H7株は何百種と分類されている大腸菌の中の株の一つです。大部分の大腸菌
は人畜無害で、健康なヒトや動物の腸内に生息しています。しかし大腸菌O157:H7株は強
力な毒素を作り、結果としでひどい病気を引き起こします。
大腸菌O157:H7株はもともとは1992年に起きた重症の血性の下痢の流行の時に見つか
りました。このときの流行は汚染されたハンバーグが原因だと追跡調査の結果判っていま
す。
細菌の名前についているアルプァベットと数字は菌の表面に見られる特別な目印を示して
いて、この株をほかの種類の大腸菌と見分けることができるようになっています。
- 大腸菌O157:H7株はどう拡がるのか?
この株は、まれに牧場で見つかることがあります。また菌自体は健康な家畜の腸内で生育
することができます。屠殺処理の途中で、肉に菌がつく可能性があり、またこの汚染され
た肉が挽肉にされると挽肉の中全体に菌が混ぜ込まれてしまいます。この菌は雌牛の乳首
表面にもいることがあり、そこから搾乳器にもついている可能性があります。
大腸菌O157:H7株を殺すまで十分に調理されていない肉、なかでも挽肉を食べた場合には
この菌に感染するかもしれません。肉に菌がついていても、見かけもにおいも普通です。
どれだけの菌数があれば病気を起こせるかはまだ良く判っていませんがたぶん非常に少な
いだろうと考えられています。未処理の牛乳や下水が混じった水を飲んだり、あるは下水
混じりの水で泳いだりした場合にも菌に感染することがあります。
もし衛生状態や、手洗いが不十分だったら、患者さんの便に含まれている菌が別の人に移
ってしまうかもしれません。 きちんと”トイレ”の習慣が身についていない乳幼児の間
では特にこの方式で菌が広がることはありがちなことです。こんな乳幼児の家族や一緒に
遊んでいる子供たちは感染する危険性が高くなっています。
症状が直っても1〜2週間の間は便中に菌が出ていることが普通です。高年齢の小児では
感染して発症しないというのはまれです。
- どうして大腸菌O157:H7株が病気を起こすのか?
大腸菌O157:H7株に感染するとひどい血性の下痢と腹痛を起こします。でも時には普通の
下痢だけだったり、症状が出ないことがあります。普通は熱は無いかあってもちょっと上
がる位です。そして病気自体は5ー10日で直ります。
人によっては、特に5歳以下と高齢者の場合この菌に感染することで溶血性尿毒症症候群
(HUS)と呼ばれる合併症を引き起こすこともあります。この合併症は赤血球が壊
され、
腎不全を起こします。この合併症は患者の2〜7%の人に見られます。米国では、小児の
急性腎不全の最大の原因が溶血性尿毒症症候群で、しかも溶血性尿毒症症候群の大部分は
大腸菌O157:H7株が原因となっています。
- 大腸菌O157:H7株にかかっているかどうかどうやって調べるのでしょう?
大腸菌O157:H7株にかかっているかどうかは便中に菌がいるかどうかを調べて判定し
ます。
便の培養検査をやっている多くの検査機関では大腸菌O157:H7株に関しては調べていませ
ん。そのため便のサンプルをSorbitol-MacConkey(SMAC)培地で調べて見ることが重要とさ
れます。突然下痢を起こししかも便に血が混ざっている様な場合には便の大腸菌O157:H7
株を調べて見ることが必要です。
- どのように治療するのでしょう?
大部分の人は抗生物質を飲んだり特別な治療を受けなくても5〜10日で治ります。抗生
物質を飲んだからといって病気の帰結が良くなるとの証拠はありませんし、またある種の
抗生物質は腎臓の合併症を起こすのを促進するとも考えられています。ロペラミド(商品
名ロペミン)の様な下痢止めも使ってはいけません。
溶血性尿毒症症候群は命にかかわる状態で、通常集中治療室に収容・治療されます。輸血
や人工透析が必要になることもしばしばです。集中治療室で治療された場合の溶血性尿毒
症症候群の死亡率は3〜5パーセントとされています。
- 長期余後はどうでしょうか?
症状が下痢だけだと普通は完全に回復します。
溶血性尿毒症症候群を起こした人のうち約3分の1の人は何年か後になっても腎臓の働き
に異常が残ることがあります。また長期間人工透析が必要になる場合もあります。それ以
外にも溶血性尿毒症症候群を起こした人のうち約8パーセントの人が高血圧、痙攣、
失明、
マヒなどの一生残る合併症や腸の一部が取り除かれたことによる影響が残ります
- 感染防止法の課題
大腸菌O157:H7株が肉類を汚染している限り、この大腸菌は公衆衛生上の重大な問題であ
り続けるでしょう。予防的な方法としては、菌を持っている家畜の数を減らすことと屠殺
ー精肉化の間での肉の汚染防止とが考えられます。このような予防的な方法に関する研究
は始まったばかりです。
- あなたができる大腸菌O157:H7株感染防止法
挽肉やハンバーグは完全に火を通して下さい。調理後の肉全体が灰色か茶色くなっている
か(ピンク色の所が残っていないか)、肉からの汁は澄んでいるか、さらに内側まで熱く
なっているかを確認してください。もしレストランで生焼けのハンバーグが出てきたらも
っと焼いてもらうように突き返して下さい。口にするのは殺菌処理済みの牛乳やそれを使
った乳製品だけにしてください。菌に感染したひと特に子供は注意深くまた頻繁に石鹸で
手を洗うことを確かめて下さい。感染の拡大防止に重要です。 また十分な濃度の塩素や
ほかの有効な消毒薬で処理された水道の水を飲むようにしてください。
- 大腸菌O157:H7株に関するより詳しい情報は......
(アメリカ政府機関の連絡先なので割愛します)
訳者注)
文中で牛挽肉が取り上げられていますが日本の場合なまもの全般と考えて頂いたほうが安
全だろうと思われます。