訳者注
人で見られる大腸菌O157株感染とそれに引き続いて起こるHUSのモデルに適当と思われる症状が犬でも見つかっている様です。 以下の文章はBrad Fenwick博士による彼自身のホームページからの一部を和訳したものです。



犬に見られる血性下痢症

Brad Fenwick著、DVM,MS,PhD
主題:大腸菌O157株による食中毒/犬でのHUS

翻訳:山本 憲
部分訳です

CRGV(Cutaneous and Renal Glomerular Vasculopathy)がShiga−like Toxin産生型の大腸菌によって起こるのだと考えるに足る証拠があります。犬で見られる流行様式、臨床上の症状、病理所見さらに治療に対する反応などはヒトのHUSでのそれと酷似しており、多くの場合ほぼ同一のものとなっています。さらにShiga−like Toxin産生型の大腸菌(血清型O157:H7)や、ベロ毒素が競走用のグレイハウンド種の犬の標本から見つかっています。これらの犬は4Dと分類される牛肉(病牛、衰弱した牛、瀕死ないしは死亡した牛からとられた牛肉)を生で餌として与えられていました。

CRGVが起きるのは4Dと分類される牛肉を生で与えられていた場合に限られることは興味深いと考えられます。4Dと分類される牛肉を調理して与えられていたグレイハウンド犬やペットでは、CRGVはまったく起きていません。CRGVを起こした犬の便を調べて見ると大腸菌O157株とベロ毒素活性とが見つかりました。

グレイハウンド犬の腎臓を調べて見るとベロ毒素やShiga−like Toxinが結合し障害を起こすのに必要とされるglobotriaosyl−ceramide(Gb3)が存在することがわかります。さらに健康なグレイハウンドに少量の精製1型ベロ毒素(VT−1)を注射するとCRGVに類似した病変を起こすことができます。

グレイハウンドで見られるCRGVはヒトでの食中毒と引き続いて起こるHUSと同じものであると考えることができ、HUSの動物モデルとして非常に適していると考えられます。しかしながら本当にCRGVがHUSの生体モデルとして使えるかどうかにはまだ調べねばならない多くの点が残されています。