教授リレーエッセイ

スポーツと組織作りについて 脳神経外科学 貴島 晴彦

脳神経外科学
教授 貴島 晴彦

 サッカーのロシアワールドカップのベスト8が出揃ったところで、本原稿を執筆しています。我らが日本代表は、2ヶ月前に急遽監督が交代し、なんだか落ち着かない状態で本大会に突入しました。予想外?に決勝トーナメントまで進出し、ベスト8に手をかけながら敗戦しましたが、「当初のおおかたの予想を覆す快進撃」と、報道されています。しかし、日本チームが残した勝利も引き分けも敗戦も紙一重のような気がします。スポーツの世界ではこのわずかの差が大きいのだろうと思います。世界の中で、一歩進んだことは誰もが認めることでしょう。今回のように選手はほとんど代わっていないのに、監督が交代しただけで、全体として何がどう変化したのでしょうか? 特にこのような短い期間で大きな変化がなされたとすれば、その要因については大変興味のあるところです。

 この様に結果がはっきりしているスポーツの世界の組織作りにはかねてから注目していました。様々な事が原因で名門のクラブでも弱体化したり、あるいは弱かったチームがメキメキと強くなったりすることもしばしば見受けられます。我々の所属する大学の講座はもちろんのこと、会社、工場、お店などの社会にある多くの組織でもリーダー(監督)となるべき人がいて、その人たちを中心に組織が運営されています。そもそも良い組織を維持するには、人材確保、教育が重要であると考えていました。しかし、今回の日本代表のようにメンバーがほとんど変わらないにも関わらず大きく変革したことを目の当たりにすると、それだけではなく、適材適所、モチベーション、チームワークなどのキーワードも重要であることが感じられました。

 先日、8年前のワールドカップ南アフリカ大会で指揮をとっていた岡田監督の講演を聞く機会もありました。そこでは、代表だけでなく様々なチームでの監督の経験に基づいて、リーダーと選手の関わり方、さらに個々の自主性やチームのモラルについての経験が語られました。選手はリーダーを見てどう感じるのか、どの様な関わりが選手の心を動かすのか、組織の成長とはどういうものであるのかなど胸に響くものがありました。

 組織やチームはまさに生き物で、絶え間なく変化し、永遠に続くものではありません。また、チーム作りにはおそらく定石はなく、日々のできごとも参考にしながらその手法も変えていかなければなりません。つまり、変わらないチームを求めるより、絶えず変化を求める、あるいは変化させることが必要であると感じています。

教授 貴島晴彦
脳神経感覚器外科学 脳神経外科学
脳神経外科学講座は昭和47年に開設され、私が4代目の教授となります。当研究室では、一貫して脳神経外科に関連する幅広い分野で高度な医療を提供することを目標とし、研究ならびに臨床に取り組んでおります。また、これらを通じて、高度な脳神経外科医、研究者を育成しています。