寄附講座

先進癌薬物療法開発学

阪大のネットワークを生かした がん治療における新薬の導入
  • 消化器癌における新薬の導入
  • 固形がんにおける新規分子標的薬の早期臨床試験
  • 免疫チェックポイント阻害薬の臨床導入
  • 免疫チェックポイント阻害薬の耐性、副作用発現機構の解明

画期的な新薬を世界に先駆け、患者さんのベッドサイドに届ける

1 がん治療における新薬の導入

2000年から2010年ころまで、日本における、新規抗がん剤の導入は世界より、数年遅れているのが一般的でした。そこには、政治的な問題もありますが、新薬を適切に患者に使用し、評価する、薬物療法医が十分いない事も大きな要因となっていました。私たちは、消化器がん先進薬物療法開発学寄附講座として、2011年から消化器外科教室と共同し、特に消化器(それだけに限定しませんが)の腫瘍内科として、新薬の導入に努めてきました。

2 私たちが承認につなげた薬剤

(1) ラムシルマブ(胃がん)

胃がんにおいて、Her2陽性胃がんにおけるトラスツツマブが唯一の分子標的治療薬でした。2015年にこの薬剤が胃がんの臨床に用いられることになったが、この開発段階から携わり、当院では、単剤での2次治療の有効性を検討する試験に参加し貢献しました。

(2) ラムシルマブ(大腸がん)

大腸がんにおいては、特にドラッグラグという欧米との新薬承認の乖離、遅れが大きな問題でしたが、当科もこの承認試験の国際共同治験に協力し、世界に先駆けた承認へつなげました。

(3)アフリベルセプト(大腸がん)

国内承認へむけた試験に参加し、導入に貢献しました。

3 免疫チェックポイント阻害薬の臨床導入

(1) 食道がんにおけるニボルマブ

国内の第II相試験に参画し、国内第一の貢献を果たしました。この業績が、2017年3月のLancet Oncologyに当研究室の工藤助教をファーストオーサーとして、発表する事ができました。

(2) 胃がんにおけるニボルマブ

承認申請の国際第III相試験に、阪大関連病院のネットワークを活用して症例集積し、国内第一位、世界で第二位の登録で貢献し、本年秋頃とされる、適応拡大に繋げました。この業績は本年度中にLancetに掲載される予定です。この結果を受け、拡大治験を実施中で、国内で他の施設に先駆け、この薬剤を、進行胃がんの患者さんの手元に届けています。

4 新薬の早期試験

がんに対する新薬を、早期の段階で、毒性を適正に評価し、後期臨床試験へつなげるためには、薬剤評価のスキルが重要になります。当研究室が開設されて以来、コンスタントにphaseI試験の依頼があり、アベルマブ、ペンブロリズマブ、GS-5745などの試験を行い、次の段階へ繋げています

5 新薬開発をベースとしたトランスレーショナルリサーチ

これらの豊富な新薬導入の経験仕組みを利用した、バイオマーカーの評価、耐性メカニズムの研究、毒性評価、あるいは新薬併用の基礎的検討などを大学院生の研究テーマして、学問的業績も固めております。