寄附講座

先端移植基盤医療学

泌尿器科と腎臓内科が協力して腎不全および腎移植医療の質の向上を図る
  • 移植腎臓の長期生着を決定する因子の同定
  • 腎臓肥大に関するエピジェネティック(epigenetic)な因子の同定
  • 非破壊的移植腎臓の組織評価
  • 遺伝性腎疾患病態メカニズムの解明
  • 新規免疫抑制法の開発

 

 

移植腎臓の組織障害および心停止ドナーからの腎臓の移植可能性を評価する

世界的な移植臓器の不足から、心停止したドナーからのマージナルな臓器も利用しようという動きが進んでいます。しかしながら、特に心停止ドナーからの腎臓は従来の臓器保存方法では移植後にうまく機能しないことが知られていました。私たちは、心停止後のドナー腎臓のどのような障害が移植後機能不全をおこすのかを詳細に検討しました。現在、主に脳科学の分野で積極的に使用されてきているfunctional MRI(機能的MRI)は、臓器の酸素消費量、細胞内及び細胞外浮腫の程度を非破壊的に評価しています。私たちの以前の実験によって、ラットでは、心停止後1時間経過した腎臓を移植しても機能しますが、心停止後2時間経過した腎臓では機能しませんでした。この心停止後1時間と2時間の差はどんな組織障害に起因するのか、functional MRIを用いて検討しました。BOLD法によるfunctional MRIと組織病理学的検討では、心停止後1時間と2時間の腎臓髄質部分には等しく血栓が詰まっていました。しかしながら、移植後、心停止後1時間経過した腎臓には血栓は存在しませんでしたが、2時間経過した腎臓には、血栓が存在していました。一方、拡散MRIで、組織内の浮腫を評価したところ、心停止後1時間後の腎臓には浮腫は認めませんでしたが、2時間後の腎臓には髄質内側と外側に血栓を挟むように浮腫が存在しました。それ故、このことが移植後の血栓残存に関係がある可能性が示唆されました。また、心停止後2時間経過した腎臓にこのようにして、functional MRIを用いることによって、腎移植前に、非侵襲的に移植腎臓の組織障害を評価し、移植の予後予測を行える可能性が示唆されました(図1)。

図1

腎移植後、移植腎臓の機能低下ともに間質繊維化が進行することが知られています。そこでMRIの撮影方法の一つである、DTI(拡散テンソル画像)MRIを用いてラット腎臓の繊維化が評価できることを示しました(図2)。

図2