寄附講座

視覚再生医学

再生医学の応用ー再生医学の遺伝学的利用
  • 眼科再生医療
  • 緑内障
  • メカノストレス
  • 眼科疾患
  • 膠様滴状角膜ジストロフィ

再生医療の手法を用いて難治性眼疾患の治療法を開発する

緑内障は日本人の5%が罹患し、失明原因の首位であるきわめて重要な眼疾患です。眼内の圧力(眼圧)に対して網膜の信号を脳に伝達する乳頭という部分が傷害され、徐々に視野を喪失し、失明に至ります。つまり、緑内障は力学的な作用、つまり、「メカノストレスに対する視神経乳頭の応答」として捉えることができます。私たちはその応答の一つとしてアストロサイトを研究することで緑内障発症の分子機構を検討しています。まず、アストロサイトにメカノストレスをかけるとどのような反応を起こすかを検討しています。これは、伸展刺激装置に用いたチャンバーに培養したアストロサイトを、安定的に供給する条件を決定しました。これにより、アストロサイトを長時間観察すると伸展刺激後、密につながっているアストロサイトの突起が離れて短く太くなった後に再び接着する現象が見られ、アストロサイトのマーカーであるGFAPの発現量の上昇も認めらました。現在は、iPS細胞から乳頭アストロサイトを作製し、メカノストレスに対する表現型を検討する系を確立しています。

膠様滴状(こうようてきじょう)角膜ジストロフィーは日本人に多い角膜が強く濁る遺伝病です。角膜上皮のバリアー機能が喪失し、メカニカルストレスに対応できないため、角膜混濁をきたすと考えられています。私たちは、患者家系をもちいた解析から、この原因遺伝子がTACSTD2であることを同定しました。今回は、マウスにおいてこの遺伝子がやはり存在しないノックアウトマウスを作製しました。このマウスは長時間(1年間)飼育することで、やはり、角膜の混濁を高頻度にきたします。また、患者と同様に色素が角膜にしみこむ所見も示し、膠様滴状角膜ジストロフィーの病態を反映していると思われます。さらに、この混濁はある条件化においては発症が加速され、1ヶ月においても頻繁に混濁をきたすようになります。私たちはこの条件がどのように発症に影響するのか、細胞レベルでの検討を行うとともに、再生医療と遺伝子補正を組み合わせた新規治療をの開発を目指しています。