ゲノム生物学

環境・生体機能学

ゲノム編集技術を駆使した遺伝子機能探索システムの構築
  • 哺乳動物細胞におけるCRISPR-adaptationシステムの構築
  • クラス1CRISPRシステムによるゲノム編集技術の開発
  • CRISPRシステムによるヒトiPS細胞におけるホモ接合体化と表現型解析
  • 哺乳動物細胞における大規模ゲノム再構成変異の実験的導入とゲノム進化・疾患への影響の研究
教授 竹田潤二
ゲノム生物学講座 環境・生体機能学
環境・生体機能学教室は、1979年(昭和54)に大学院医学研究科修士課程(医科学専攻)が創設された際に設立された三つの講座の一つである環境医学(修士課程)に由来しています。1997年(平成9年)4月、竹田は微生物病研究所から転出し、環境医学(修士課程)教授として着任しました。

哺乳動物あるいは細胞における新規CRISPRシステム構築とその応用

細菌・古細菌は、外から侵入しようとするファージなどの生物を特異的に認識し、排除する適応免疫機構を有しています。CRISPR(クリスパー)システムと呼ばれるそのシステムは、まず外来生物のゲノム情報を自己のゲノムに取り込み(Adaptation)、再度同じ外来生物が侵入しようとする際、自己ゲノムに取り込まれた情報とゲノム配列の相補性を利用して外来ゲノムを改変し排除します(Interference)。CRISPRシステムは、Interferenceに関わる実行因子が単数か複数かで、クラス分けされています。実行因子が複数である’クラス1’と単数の‘クラス2’です。従来のCRISPRシステムを利用したゲノム編集技術は、実行因子が単数であるクラス2が用いられており、特に、レンサ球菌由来の実行因子Cas9であるものが大半を占めます。

当研究室では、クラス1のAdaptationシステムを哺乳動物由来の細胞で再構築し、哺乳動物あるいは細胞に感染する様々な外来微生物感染検知システムを作り上げる事を目標としています。

図1

さらに、クラス1のIntereferenceを哺乳動物あるいは細胞で効率よく働くシステムを構築することを目指しています。
一方、通常のCas9を染色体編集に利用し、ヒトiPS細胞において染色体特定領域だけをホモ接合体化し、未知の遺伝子機能を解析するシステムを構築します。

図2

また、ヒトを含む哺乳類のゲノムにおいては、欠失・重複・逆位・転座等の大規模なゲノム再構成変異の出現が、ゲノム進化(特に、遺伝子発現制御の進化)やゲノム疾患(特に、がん化)の様々な局面で重要な役割を果たしていることが分かってきました。私たちは、トランスポゾン等のゲノム工学技術も活用しながら、従来の実験手法では再現が困難であった「大規模ゲノム再構成変異」を細胞レベルで人工的に構築し、その影響を解析するための新しい実験系の開発に取り組んでいます。

以上、これらの技術開発を通して、将来の新規医療あるいは診断に資することを最終目標としています。