情報統合医学

小児科学

治らない病気を治る病気へ
  • 診断がつかない小児難病について、遺伝子解析をおこない診断し治療へ結び付ける
  • モデルマウスを使った病態の再現
  • iPS細胞を用いて病態を再現し、治療へ
  • 難治性胆汁うっ滞疾患に対する内科的新規治療の開発
  • 骨!を解明し、小児の健やかな成長へつなげる
教授 大薗恵一
情報統合医学講座 小児科学
小児には多くの原因不明で、希少な難治疾患があります。当研究室では小児ひとりひとりの健やかな成長を目指して骨代謝や成長が阻害される代謝性疾患に対する研究をおこなってきました。その結果、基礎から臨床、治療につながる成果が得られています。今後も研究を進め、小児により良い未来を提供します。

小児難病に対し、遺伝子解析、iPS細胞を用いて病因、病態解明に挑戦しあらたな治療を開発する

小児医療が発達した現代でも希少でかつ原因さえわからない難病に苦しむ子どもたちが多くみられます。このため治療方法がない患者さんに対して、より良い未来を提供できるよう、遺伝子解析から治療に結びつき研究を行っています。たとえば「ムコ多糖症」は、遺伝子の異常により、体の中の「ムコ多糖」を分解するライソゾーム酵素がないために、「ムコ多糖」が体中に溜まり、様々な障害を引き起こす小児難病です。私たちは、ムコ多糖症に特徴的な症状・検査所見を示すものの診断がつかない疾患についてエクソーム解析を施行し、解析対象患者全員に、これまでヒトの疾患原因遺伝子としては報告されていない遺伝子の変異を同定しました。この遺伝子のノックダウン細胞を解析したところ、これらの細胞では「ムコ多糖」が蓄積しているだけでなく、患者細胞では、VPS33A遺伝子変異によりライソゾームのpHが低下し、ムコ多糖の分解が阻害されていました。また、低身長を呈する骨系統疾患である遠位中間肢異形成症Maroteaux型(Acromesomeric dysplasia, Maroteaux type)がNPRBの機能喪失型変異により発症することから、成長との関与が示唆されてきました。一方、私たちは過成長の家系からNPRB遺伝子の機能獲得型変異が原因であることを発見しCNP/ NPRB経路は軟骨伸長シグナルとして作用するを見出しました。こうした難治性遺伝子をもつ患者さんからiPS細胞を作製し、ゲノム編集を用いて小児難病の病態解析をおこない、新たな治療法の開発につなげたいと考えています。