内科学

血液・腫瘍内科学

血液疾患の病態解明と新規治療の開発~基礎解析と最先端医療の有機的融合を目指して~
    • リンパ球の産生を支持・調節する分子機構の解明
    • 造血幹細胞の自己複製・分化・を制御する分子機構の解明と老化・腫瘍化の病態解明
    • 細胞死の制御に関わる分子アナモルシンの機能解析と各種血液疾患への関与
    • 発作性夜間ヘモグロビン尿症の病態解明と新規治療法の開発
    • 血小板機能を調節する分子の機能解析と血小板機能異常を呈する疾患の病態解明
教授 金倉譲
内科学講座 血液・腫瘍内科学
当研究室は大阪大学微生物研究所臨床部門内科に源流を持ち、大阪大学医学部附属バイオメディカル教育研究センター臨床部門に設立され、その後大学院重点化と大学病院の臓器別再編成によって、現在の「大阪大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科」となりました。所属医員数は日本最大規模を誇り、主催者である金倉教授は2009〜2014年の5年間日本血液学会の理事長を務めました。研究と臨床の両面において日本の血液内科学をリードする研究室です。

充実した基礎研究と先端医療を導入した臨床研究を両輪としたグローバルな研究展開

当研究室では先端的な臨床医療に取り組む一方で、血液学の進歩に寄与すべく、多岐にわたる研究を展開しています。

1.リンパ球研究グループ

骨髄間質細胞は種々のサイトカインを分泌するとともに細胞表面上に種々の接着分子やマトリックス構成分子を発現することにより、リンパ球前駆細胞に分化・増殖のシグナルを与えるだけでなく、骨髄での定着あるいは分化に伴う移動を調節しています。私達は骨髄間質細胞によるリンパ球調節機構の破綻が一部の免疫不全症や自己免疫疾患の一因となると考えており、骨髄間質細胞により産生されるリンパ球制御分子を多数同定してきました。現在それらの分子の機能解析を進めています。

2.造血幹細胞研究グループ

造血幹細胞は、自己を複製しながら生涯にわたって血液細胞を供給する能力を持っています。臨床医療では、血液の難病に対する移植治療の根幹を支えている重要な細胞です。私たちの研究グループは、造血幹細胞を生体外で増幅して移植治療や再生医療に役立てること、造血幹細胞に人為的な操作を加えることによって血液の難病に対する新しい治療の開発に役立てることを最終目標として、その生理的な性質の解析に取り組んでいます。

3.アナモルシン研究グループ

アナモルシンは、細胞死の誘導に抵抗性を示す腫瘍細胞から、私たちが発見した新規分子です。アナモルシンを欠損したマウスを作製したところ、顕著な貧血と造血不全によって胎生期に死亡したことから、血液細胞の発生・増殖・分化にアナモルシンが大きく関与していることが明らかになりました。現在、アナモルシンと強調して機能するタンパク質も同定しており、それらの作用機序を分子レベルで精緻に解析しています。

4.赤血球研究グループ

発作性夜間ヘモグロビン尿症は、GPIアンカー型タンパク質異常を伴う造血幹細胞に起因した疾患です。GPIアンカー型タンパク質の欠損は、GPI合成の最初のステップに関与する PIGA(phospatidylinositol glycan class A)遺伝子の体細胞突然変異によることを、大阪大学微生物病研究所免疫不全疾患研究分野(木下研)との共同研究により明らかにしました。現在私たちはPIGAの突然変異に続く異常幹細胞のクローナルな拡大の機序について木下研と共同で解析中です。新規治療法の開発と不応例の解析にも取り組んでいます。

5.血小板研究グループ

私たちは血小板機能に異常を呈する疾患の精緻な解析を通じて、血小板活性化の分子機構を明らかにしてきました。さらに、自らの免疫反応により血小板が早期に破壊される特発性血小板減少性紫斑病の病態を研究し、免疫系が攻撃する分子として血小板上のGPIIb-IIIaが重要であることを明らかにしました。また、新たな診断法の開発や血小板増殖因子の受容体を活性化する分子を用いた新規治療法にも取り組んでいます。