共同研究講座

未来細胞医療学

未来を拓く細胞医療の実用化を目指して
  • 輸注・移植細胞のソース、および細胞加工技術の疾患に応じた最適化
  • 輸注・移植細胞の高機能化 、および治療効果を高めるための技術開発
  • 移植細胞による免疫応答や体内動態、および安全性の解析
  • 他家細胞移植治療の実用化のための研究技術開発
  • 高い治療効果が実現可能な細胞医療研究に関わる基盤技術の開発

遺伝子導入・改変他家細胞移植治療に必要な要素技術の確立と細胞製造・品質管理技術の研究開発

人工臓器の発展が、20世紀後半の医療に大きな革新をもたらしたことは、もはや議論の余地が無く、実際に人工腎臓の進歩は、腎不全患者のQOL(quality of life)向上に貢献してきました。さらに、人工心肺は心臓の手術を安全に遂行するために欠かせない装置となっています。発展著しい人工臓器ではありますが、あくまで身体機能の代替、補強するための装置、機器に留まり、身体機能を一生涯代替可能で、また組織修復し自己組織に置換するような人工臓器の開発までには至っていません。

一方、1993年Science誌に、MIT(マサチューセッツ工科大学)のLanger博士とハーバード大学のVacanti博士が組織工学(ティッシュエンジニアリング)という概念を提唱しました。生体から単離した細胞と、適切な足場材料、増殖因子とを組み合わせることで、新たな組織を構築するという考えです。この概念は、人工臓器を革新的に発展させるものとして、大きな期待を集めました。さらに組織工学は、発生生物学、幹細胞研究、遺伝子治療、DDS(ドラッグ・デリバリー・システム)、バイオマテリアルなどの最先端技術の知見を取り込むことで、再生・細胞医療と呼ばれる、組織・器官の再生を統合的に目指す治療体系へと発展してきました。

具体的に、細胞医療はヒトの細胞自体を輸注・移植することにより生体機能の回復を実現する医療であり、細胞の持つ多機能な特性を活かすことで、既存の薬物療法では実現できない高い治療効果を実現することが期待されている最先端技術の1つです。

しかしながら、現状の細胞移植治療では十分な効果が発揮されていない疾患が残されている他、他家細胞移植治療における拒絶反応など、治療法として確立されるまでにはまだ多くの課題があります。こうした課題を解決し、高い治療効果を得られる細胞医療研究の基盤技術の開発は次世代医療確立に不可欠となっています。

当研究室では、再生医療・細胞医療の大学および企業の専門家、研究者による共同研究を通じて、細胞医療研究に関わる基盤技術の確立、早期臨床試験入りの実現を目指す他、細胞医薬候補の探索に取り組みます。(図1)

図1