器官制御外科学

整形外科学

運動器疾患への総合的・革新的アプローチ ~生活の質の向上を目指して~
  • 骨・軟骨・脊髄末梢神経の再生医療に関わる基礎研究および臨床応用
  • 骨・軟部肉腫の病態解明と新規治療法開発
  • 3次元画像を用いた運動器形態・動態解析と手術支援技術の開発
  • 変形性関節症・関節リウマチおよび類縁疾患への集学的アプローチ
  • スポーツ傷害に対する先端診断・治療技術の開発
理事・ 副学長/教授兼務 吉川秀樹
器官制御医学講座 整形外科学
当研究室は、1945年に清水源一郎教授により開設され、現在の吉川秀樹教授(第6代)に至るまで継続的に発展を遂げてきました。現在、38名のスタッフと30名の大学院生を抱え、骨・脊椎・脊髄・末梢神経・筋腱・靭帯等の疾患や外傷に対する治療と基礎・臨床研究で日本や世界をリードしています。

四肢変形に対する先進的三次元矯正技術の開発・実用化 およびクラウドシステムの構築

四肢(手足)の機能を良好に保つことは、生活の質の維持・向上の観点から極めて重要です。その中でも上肢機能は、食事・着脱衣・運搬などの日常動作や書字・キーボードなどの知的作業に欠かせません。先天的な原因や骨折後遺症などによって上肢骨が中等度以上変形すると、関節可動域障害・不安定性・疼痛などにより、これら上肢の機能は著しく障害されます。機能を取り戻すには、解剖学的に正確な矯正が重要であると考えられてきました。しかし、単純X線画像による手術計画をマニュアル操作で行う従来の手術方法では、しばしば術後に変形と機能障害が残存します。そこで私たちは、CT画像データからコンピューター内でバーチャルの三次元骨モデルを再現し、健側正常骨の鏡像と重ね合わせることで正確な矯正のシミュレーションを行う手法を確立し、それを実行するためのコンピュータープログラムの作成に取り組んできました。さらに、シミュレーション通りの手術を実現するための樹脂製カスタムメイド手術ガイドと金属製カスタムメイド骨接合プレートを開発してきました。骨表面形状に正確に適合するカスタムメイドガイドで骨切りとスクリューホール作成を行い、矯正後にカスタムメイドプレートとスクリューで骨を固定するだけの簡易な手術操作で、正確な矯正手術が行えます。

本手術方法の有効性を、実際の手術に極めて近い条件下に検体を用いた海外施設における模擬手術実験で繰り返し実証し、一部の身体部位と形状範囲内で薬事承認を得ました。現在、適応と形状範囲の拡大を目指した多施設臨床研究を先進医療として推進中です。この技術は国際的にも高く評価され、米国メイヨー・クリニックをはじめとする国際的医療機関に技術支援を行ったり、海外でのデモンストレーション手術やセミナー・講演会を実施したりと、日本発の新規医療技術として積極的に国際発信しています。

さらに、本開発で構築した骨・関節3次元データ管理システムを発展させ、医療機関から送信されたCTデータを匿名化し、コンピューター上での三次元骨関節モデルの自動生成や形状・動態解析、さらには手術計画支援を医師の要請に従って行うクラウドシステムの開発に着手しています。このシステム運用で得られる膨大な骨形態情報は、ビッグデータとして蓄積され、新規医療機器開発に利用されるのみならず、骨形態学の新たな学問分野の創出につながると期待されます。