器官制御外科学

形成外科学

体の損なわれた形態や機能を回復させつつ、美をも追及する手術手技とそれを支える研究
  • 傷あとを残さない医療の実現
  • 脂肪組織由来間葉系幹細胞を用いた末梢神経損傷に対する新規再生医療の開発
  • 末梢神経再生促進機構の解明
  • 顔面神経麻痺の新規治療法の開発
教授 細川亙
器官制御医学講座 形成外科学
教室の源流は皮膚科学教室のなかに形成外科診療グループが作られた昭和55年に遡ります。グループ長は当初、松本維明が務め、平成6年からは細川亙に替わりました。この診療グループが独立し、診療科となったのが平成11年であり、さらに平成13年には講座として認められ現在に到っています。

マイクロサージャリーを用いた組織移植など独自の手術手技を駆使し、形態や機能を回復させる外科学。研究でも独自性を追求する!

私たちは傷あとを残さない医療の実現を目指して、皮膚創傷治癒に関する研究を行っています。それ以外には末梢神経再生機構の解明や、脂肪組織由来間葉系幹細胞に関する研究も行っております。

皮膚の創傷治癒には線維芽細胞と筋線維芽細胞が大きく関与しています。 私たちは、それらの細胞における細胞骨格制御という点に着目し、主にRhoA、Rac1、Cdc42などの因子を研究しております。

これまで私たちは、bFGFを線維芽細胞に投与すると、Rac1を活性化してラメリポディア形成を促し、線維芽細胞の遊走を促進することで、創傷治癒が促進されることを発見しました。また、そのシグナル伝達がPI3-kinase→Rac1→JNKであることを解明しました。それ以外にも、血管内皮由来因子のひとつである、エンドセリン‐1が線維芽細胞においてRhoAを活性化させ、筋線維芽細胞への分化を誘導することで、ケロイド・肥厚性瘢痕のような異常瘢痕形成を促進することを明らかにしました。

ケロイド・肥厚性瘢痕のような異常瘢痕内の血管内皮細胞からエンドセリン‐1が放出され、それらが真皮内の線維芽細胞に作用する。そして、エンドセリン受容体を介してRhoAおよびRho-kinase (ROCK)を活性化させることにより、筋線維芽細胞への分化やコラーゲン合成、創収縮を促進し異常瘢痕形成に関与する。

顔面神経麻痺は形成外科領域でよく遭遇する難治性末梢神経障害です。その新規治療法の開発のため、上記の皮膚の創傷治癒同様に、RhoA、Rac1、Cdc42などの因子に着目して、末梢神経における軸索進展促進機構の解明をしてまいりました。そこでは、RhoAを阻害することで、運動神経損傷後の回復促進が生じることなどを明らかにしております。また、現在は脂肪組織由来間葉系幹細胞を用いた末梢神経損傷に対する新規再生医療の開発も行っております。

それ以外にも上記の皮膚と神経という一見ことなる二つのテーマを融合させたようなユニークな研究も行っております。すなわち、皮膚線維芽細胞と神経細胞を共培養するという全く新しいモデルを開発しました。そのモデルを用いて、神経突起が線維芽細胞と接触することにより、筋線維芽細胞への分化を促し創収縮を促進することを発見しました。

これらの成果をさらに探求し、傷あとを残さない医療の実現や末梢神経損傷の完全再生を目指します。