社会医学

法医学

不幸な死を防ぐ、世界初の学問領域「死因究明学」~この学問が未来の健康と医療を創る
  • 新しい学問領域である「死因究明学」の創造
  • 突然死の死亡機序解明と予防
  • 熱中症、凍死等の環境による死因機序の解明と予防
  • アルコール等薬物中毒関連死と臓器障害の機序の解明と予防、飲酒マーカーの同定
  • 「死」および「死因」に関する医療計量経済学、医事法学的研究
教授 松本博志
社会医学講座 法医学
1919年に教室が出来ました。初代中田篤教授、二代目大村得次教授、三代目松倉豊治教授、四代目四方一郎教授、五代目若杉長英教授、六代目的場梁次教授を経て、私が2013年より教室を主宰しています。重要なミッションは多死社会において的確に死因診断ができる死因究明医の養成と臨床の現場に達することのできない死亡の死亡機序を研究することで予防に結びつけることです。1946年からは大阪府監察医事務所の発足・維持に努めてきました。研究を通じて不幸な死を減らすのが私たちの仕事です。

“Death-oriented research” 生きていること、傷病を負うこと、そして死ぬこと、生命がかならず迎える死を医学的に解明し不幸な死を防ぎます

死因診断・虐待診断・診療関連死の死因究明等の実務から、医療のアウトカム評価や死因による医療計量経済学、死後の研究の法的課題の解決まで

医学医療領域において、唯一、「個体の死」を取り扱います。医療の現場に到達できない「突然死」、熱中症や凍死、過労死等、環境による死因機序の解明と予防、アルコール関連死とその臓器障害の機序を解明し、そして予防や治療を検討します。私たちの国は世界でもトップの医療水準と医療資源を持ち、かつ世界で最も早い救急搬送システムや健康診断、AEDの設置が行われています。しかしながら、発症から1時間以内で死亡する方が、循環器学会のガイドラインでは7万人から10万人、大阪府監察医事務所のデータでは対象全死亡の6%程度と報告されています。この死因の実態を明らかにするとともに、突然死の機序解明を目指し、不幸な死を防ぎます。このことは環境による死亡、つまり熱中症や凍死、そして過労死、アルコール(飲酒)関連死や薬物中毒死も同様で、これらの死亡機序を明らかにすることで、社会への啓蒙や保健行政施策への貢献を果たすことができると考えています。この点については自殺や殺人も同様だと考えており、その調査研究も進めています。超高齢社会においては脳卒中の予防も重要でしょう。脳梗塞とわかった段階で投与できる標的タンパクの同定と薬剤の開発も目指しています。

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「死因究明学」の創造と担い手養成プラン 事業

閣議決定された政府の「死因究明等推進計画」に明示された死因究明専門人養成に応えるため、歯学研究科・薬学研究科と連携して、この事業で人材育成を行っています。平成27年度に、大学院修士課程に世界で初めて「死因究明学コース」を設置しました。取得学位は修士(公衆衛生学); Master of Public Health, MPHです。これからの世界的な高齢社会と多死社会は死因究明専門家を求めており、それを担うため開始しました。すでに社会で実務的に活躍されている方への高度教育として科目等履修生高度プログラムも3つ用意しました。是非MPHの取得や高度プログラムを履修して、ご活躍願いたいと考えています。