健康スポーツ科学

認知行動科学

認知と行動〜ヒトの神経美学および動物の視覚的運動制御の脳内メカニズムの探求
  • 神経美学研究:視覚刺激としての美術作品に対する心理応答の脳内メカニズム
  • ラットの視覚弁別行動におけるニューロモジュレータ(アセチルコリン、ノルアドレナリン、セロトニン等)の働き
  • ヒトの視覚的運動制御のメカニズム
  • ネコ初期視覚系における受容野形成メカニズム
教授 佐藤宏道
健康スポーツ科学講座 認知行動科学
当研究室は、大阪大学医学部高次脳機能研究施設神経生理学部(初代:岩間吉也、2代:津本忠治)から健康体育部運動生理学部門に移った佐藤が動物の視覚系とニューロモジュレータの神経生理学研究を展開し、大学法人化に伴い、医学系研究科に統合され、認知行動学教室となりました。

ヒトの感性の脳内メカニズムを解明し、動物の認知機能と行動の関係をニューロンレベルで探る

芸術活動を通じて生じる感動体験は、人間の生きる喜びです。私たちはこれまで動物を用いた神経生理実験により、視覚系の受容野形成のメカニズムを単一ニューロン活動レベルで調べてきました。現在は美術作品を定量的な刺激画像として用い、ヒト被験者がそれを鑑賞しているときの心理応答により感性空間を構築し、さらに鑑賞中の脳活動(fMRI,脳波)を計測する実験をしています。絵画刺激、心理応答、脳活動の相関を明らかにすることで最も高度な脳機能である情感生成の脳内基盤を解明しています。また画像特徴のデータ操作によって印象がどう変化するかという研究は、感性の特性を明らかにし、工業デザインや生活環境整備への応用に繋がります。

図1

“見て分かる”ための視覚認知機能、“見て身体的に働きかける”ための視覚性運動制御機能は、その時々の覚醒レベルや、行動文脈(何をしようとしているのか)、また、焦り、不安、集中、やる気などの精神状態によって常に変動しています。その神経メカニズムとして、「各状況に応じて脳全体に広く分泌される神経修飾物質(アセチルコリン、ノルアドレナリン、セロトニンなど)が視覚情報処理系に作用することで機能的変化が起こる」という作業仮説を立て、これを検証するために、ラット視覚野の神経活動を電気生理学的に記録するニューロンレベルの研究から、ヒトの視覚性運動課題時の身体反応特性を調べる心理物理実験など全人的レベルの研究までレベル縦断的に行っています。私たちの研究により本仮説は証明されつつあり、その知見を基に視覚情報処理を最適化するための研究が進んでおり、スポーツアスリートのパフォーマンス向上に役立てようとしています。

図2