大阪大学大学院医学系研究科・医学部

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研究科長年頭挨拶

医学系研究科・医学部の皆様方へ

新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

昨年は、皆様方の多大なるご協力により、なんとか医学系研究科長・医学部長の最初の9か月を乗り切ることができました。ありがとうございました。

2011年は、年頭には想像もしていなかった大震災が起こりました。私が研究科長に就任する直前の出来事でした。福島第一原発の事故の影響は今でも続いておりますし、大きく被災された地域の復興はこれからだと思います。地震直後には、福澤病院長をはじめ、多くの病院関係者のご努力により、救援活動に大きな貢献をしていただきました。今後は、医学系研究科・医学部として、東北の大学などと連携しながら、何ができるか、何をしなければならないかを考えて行かねばならないと思っております。

2012年の今、大阪大学医学部だけではなく、大阪大学全体の中で、「創薬」という1つのキーワードが育ちつつあります。大学全体が一致団結して進むためにも、この流れを大事に育てていかなければならないと感じています。私は、研究科長に就任致しました時に、「基盤的研究を充実させるとともに、未来医療センターなどの機能を強化しつつ、基礎医学からトランスレーショナルリサーチ、先進医療の開発へとシームレスにつながる体制を整えていきたいと思います。また、学内では、生命機能研究科、歯学研究科、薬学研究科、工学研究科、微生物病研究所、蛋白質研究所、免疫学フロンティア研究センター、臨床医工学融合研究教育センターなどとの連携をさらに深めるとともに、学外では、循環器病研究センター、理化学研究所、大阪バイオサイエンス研究所、大阪府立成人病センター、大阪府立母子保健総合医療センター、医薬基盤研究所などと協力しつつ、異分野交流、産学連携、国際共同研究を積極的に推進し、新たな「知」の創出に結びつけて行きたいと思います。」と、1つの目標を掲げました。その目標へ向けた歩みが、「創薬」という具体的なテーマで進み始めました。未来医療センターを中心として、文部科学省の橋渡し研究支援推進プログラムの支援を受けて築き上げてきたこれまでの基盤を踏まえ、昨年、新たに、厚生労働省の早期・探索的臨床試験拠点整備事業の1つの拠点に医学部附属病院が選ばれました。また、経済産業省が進める「技術の橋渡し」拠点整備事業に応募し、「最先端医療融合イノベーションセンター」建設が認められ、産学官が連携して次世代創薬を目指すための研究施設が新設されます。さらに、平成23年度よりはじまりました博士課程教育リーディングプログラムにも採択されましたが、その大きな目標の1つは、「創薬」を目指す若いリーダーの育成にあります。一方、大学全体を見渡しますと、薬学研究科が中心となって、文部科学省のプロジェクトであります化合物ライブラリーを活用した創薬等研究・教育基盤事業の一翼を担う活動が進んでいます。さらに、工学研究科が中心となって、難結晶性タンパク質を標的とした創薬ファクトリーという組織が形成され、工学研究科が持つ「化学力」を創薬に結び付けることができないかという活動が始まっています。これらを総合的に捉えますと、大阪大学こそ難病治療薬・新規診断薬開発の基礎研究から、その臨床応用までを間断なく質の高いレベルで行うことができると考えます。医学系研究科がうまくそれらの仲人役となって、大きな目標に向かって一体となって進んでいく土台作りを進めることができればと思っています。

「創薬」をアカデミアが進めるに際し、最も重要な点は、「創薬」に結び付けるための基盤となる基礎的研究を推進することにあると思います。基礎的研究の裏付けのない創薬は、非常に脆いものであり、危うさを伴います。基盤となる研究がしっかりしていないと、その土台の上に築かれる創薬研究はすぐに崩れる危険性があり、大学が創薬に関わる意義がなくなります。「創薬」というキーワードで一致団結し、連携しながら、自由な発想に基づく個々の基盤研究を一層充実させつつ、医学部全体の研究、教育、診療活動がますます発展する環境を造る努力を続けていきたいと思います。

2012年が大阪大学医学部ならびに構成員にとりまして佳き年になりますよう、微力ながら精一杯努力していく所存ですので、皆様方のご協力をよろしくお願い申し上げます。

最後になりましたが、皆様方のますますのご活躍、ご多幸をお祈り致します。

2012年元旦 米田悦啓