大阪大学大学院医学系研究科 麻酔科集中治療医学講座

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    2012年2月6日 つぶやき 47: 年が明けて

     年が明けて、大河ドラマは今年は平清盛ですが、初回から視聴率が今ひとつでさらに某知事から“場面が汚い”とクレームが出たと思えば、そのクレームに非難轟々となかなか波乱含みです。確かに場面は時代考証を正確にというポリシーで薄汚れていたようで、某知事の意見にも同情すべきものがあると思いましたが、初回を見る限りちょっとわかりにくいなあ、話が上っ面だけで深みが感じられない、というのが私の印象でした。
    源平合戦や戦国時代そして幕末は歴史上のヒーローに事欠きませんので、何度も取り上げられます。ですから、時代背景等はよく知られています。しかし、清盛の若きころは歴史の上では藤原摂関政治から院政そして武家政治へとダイナミックに世の中が動く激動期で面白い時代背景がありながら、知名度の高いヒーローがいないためでしょうか、あまり取り上げられませんでした。大河ドラマでもかなり以前(私が留学していましたころですからかれこれ20年前)に“炎立つ”が東北の藤原3代に至る東北の争乱を描いたもので、時代的には清盛の少し前になりますが、これだけだと思います。平清盛にとっては保元の乱・平治の乱は大きなターニングポイントであり、その伏線と様々なことがこの時代にあるところが興味深いところですので、ちょっと寄り道して朝廷や貴族の権力闘争をもう少しわかりやすく解説してほしいな、と感じました。
    初回の放送で伊東四郎ふんする当時の独裁者の白河法皇が鳥羽天皇の后を奪い、さらに無理やり譲位させ、幼い子を天皇に即位させる場面がありました。その幼い子が崇徳帝で後の保元の乱の当事者となります。白河法皇と鳥羽帝は祖父と孫の間柄ですが、あまりいい関係ではなく、それがゆえに崇徳帝は鳥羽帝には疎んじられました。白河法皇の死後に鳥羽帝の院政(この間、崇徳帝は政治的には排斥されてしまいました)、そして鳥羽帝がなくなると程なく保元の乱が起こりました。このあたりの権力争いは摂関家も交えてなかなか複雑ですが、おもしろいのでわかりやすく取り上げてほしいものだと思います。崇徳帝は保元の乱で敗れて、讃岐に流され、京に戻ることなく没します。歴史上は敗者の扱いであまり目立ちませんが、その文学的な素養は今でも高く評価されています。百人一首にある崇徳帝の歌“瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に あはむとぞ思ふ”をご存知の方も多いのではないでしょうか。ロマンチックな歌で私が好きな百人一首の歌のひとつです。

     年が明ければ、センター試験からいよいよ受験シーズンの幕開けです。私自身が大学受験したのは昭和51年と52年、西暦だと1976年と1977年ですから、もう35年も前のことになります。当時はもちろん、センター試験も共通一次もありません。まさに本番一発勝負でした。今年のセンター試験はさまざまな問題を残しました。実は、今年のセンター試験に私も一枚かんでおりました。大学の教員になると、センター試験や前期および後期試験の試験監督が何年かごとに順番に回ってきます。私は今回で確か4回目でしたので、ほぼ3~4年に一回くらいです。正直なところこの試験監督はストレスの多いお役目です。また、試験監督にはひとり責任者というのがあって、たいがいは年長者がそれに当たります。私が最初に担当したのもセンター試験でしたが、そのときは理学部への応援でしたし、理学部の某教授が責任者で私はその指示通りやればいいだけでしたが、残りの3回はいずれもその会場の責任者でした。今年、私が命ぜられたのはセンター試験の1日目で社会、国語、外国語、リスニングが試験科目でしたので、まさに問題の社会の日でした。運よく、阪大では何のトラブルもなく、試験を終えることができましたが、本音はビクビクしておりました。実際に試験監督をしている大学の教員がセンター試験に精通しているわけではないのが現実です。恥ずかしながら、私も今回の試験監督をして、現在のセンター試験の制度がなんとか理解できたように思います。今回一番の問題となったのは社会の問題用紙が2冊あって、公民(政治経済、倫理社会、現代社会)と地理歴史(地理、日本史、世界史)でしたが、社会2教科を受験する受験生には最初にこの2冊とも配布し、受験生が自由に1教科目と2教科目を選ぶという手はずであったのですが、それがそのとおり実行できていなかった会場があり、ほぼ4500人の受験生に影響を与えたというものでした。確かに最初に2科目分の問題を配るというのは普通の感覚からすれば、“あれ”と思いますので、わかっていないと躊躇してしまいそうです。大学入試センターからは監督者に1冊づつマニュアルが配布されますが、確かにその中にはきちんとそのように書かれていたように記憶します(マニュアルは試験が終われば回収されましたので確かめようがありませんが)。だから、書いてあるとおり何も先入観を持たずにやればいいのですが、それが100%とは行かないところが人間の人間たるがゆえんかもしれません。あるマスコミの論調にはそのマニュアルなるものが分厚い(確かに分厚くて200ページ以上ありました)ので、事前に全体を読んでくる試験監督は少ない、とありましたが、そんなことはないような気がします。ページは多いですが、繰り返しの部分が多く、読むのにそれほどの時間は要りませんし、昨年のカンニングの事件のこともあり、今年監督にあたった方々は準備もされていたのではないでしょうか。もちろん、私は読みましたし、これがないとセンター試験のやり方が十分に理解できていないものが試験監督の責任者が務まりません、逆に言えばこれがあるから試験監督が務まるといえます。責任者も3回目となると、マニュアルどおりに何も考えずに淡々とそのとおりにすることで一番失敗がないと悟るものです。ただ、人間がやる限り、必ずミスはします。単純な作業より、複雑な作業のほうがミスはしやすいのもそうでしょう。来年のセンター試験はどうなるのでしょうか。受験生にしてみれば人生がかかっているわけですから、ミスは100%あってほしくないところです。人間はミスをするもの、と言われても到底納得できないでしょう。麻酔という医療行為もミスは許されませんが、現実ミスがゼロはありませんし、大きなミスはマスコミを通じて世間の皆様の知るところとなります。来年のセンター試験は例年以上に注目されることは間違いないでしょうから、ミスが許されない点では医療行為以上の厳しさがあると思います。来年の試験にどのような具体性のある対策が盛り込まれるのか、ちょっと注目したいと思います。

     実は今度のセンター試験のミスで記者会見で謝罪をしていた大学入試センターの惣脇理事は私の高校の同級生で、高校1年生では同じクラスでした。彼は私と違って物静かですが、聡明でなかなかのキレ者です。マスコミの写真に写る彼の横顔には高校時代の面影がありましたが、頭髪には白いものが目立ち、お互い齢を重ねたと感じました。なかなかご苦労の多いお役目だと思いますが、彼のことだから1年後にいい答えを出してくれるように思いますし、期待しております。さすがに、来年も試験監督はないでしょうが、もうすぐ愚息がセンター試験ですので、私ももうちょっと勉強しておかないと思っております。