Department of Bone and Cartilage Biology
Osaka University Graduate School of Medicine


研究室紹介

基礎からの骨・軟骨疾患研究を目指して

京都大学 iPS細胞研究所教授 / 大阪大学 招へい教授   妻木 範行    軟骨は発生期に骨格の鋳型として体を支えています。そして生後は成長軟骨として身長を伸ばし、 関節軟骨として運動機能を担っています。関節軟骨の厚みはわずか数mmですが、相対する面は寸分の 違いなく形作られ、摩擦係数はとても低く、かつ数百kgの衝撃に耐える高機能な組織です。 軟骨は無血管組織で修復能に乏しい上、加齢による変性で関節軟骨を損傷する方が多くおられます。 関節軟骨が損傷すると、滑らかな関節運動が障害されて運動時に痛みが起きます。患者さんにとっては、 軽傷でも好きなスポーツ活動を断念せざるを得ず、重症では日常生活において階段昇降や歩くことさえままならず 外出できなくなります。しかしながら根治方法は無く、運動制限と鎮痛剤で疼痛をコントロールする ことが治療の現状です。そして末期に至ると変性した関節軟骨を切除して、金属製の覆いをかぶせる 人工関節置換術を行うことになります。私が20年前に整形外科医になった時、ベテランの先生が 「軟骨は治せないけれど、もし治せる時が来たらこの軟骨を切らずに温存できるのになあ」 と言われたことを覚えています。その時、軟骨修復が長年のチャレンジングなテーマであることを知りました。 その後、研究の世界に入り、世界中の多くの研究者がこのテーマに真摯に取り組み、 基礎から少しずつ足がかりを築いて来られたことを肌身に感じました。私たちもその一員として、 軟骨と骨の形成・分化に重要な働きをしている遺伝子の機能解析を行っています。
   修復能に乏しい軟骨を治す方法として、軟骨細胞を作り出して病変部に移植する再生医療による治療が期待されています。 iPS細胞の誕生により、体細胞を一旦多能性幹細胞へ誘導し、その後目的の臓器の細胞に 再分化させることが可能になりつつあります。私たちはもう1つのアプローチとして、軟骨発生研究の知見と 細胞リプログラミングの技術を応用し、皮膚培養細胞から多能性幹細胞を経ずに直接、軟骨前駆細胞 を誘導する研究も行っています。この様にして誘導した細胞は、再生医療以外にも重要な研究を可能にします。 難治性の成長軟骨疾患の患者さんの皮膚細胞から軟骨様細胞を誘導できれば、 病態の解明や治療法の探索に用いることが出来ます。軟骨細胞リプログラミングは未知の分野で、 基本からのスタートです。私は、2011年6月1日付けで京都大学iPS細胞研究所(CiRA)に着任しました。教室はCiRAに引っ越しし、これらの研究を更に続けて行きます。当教室では、やる気と協調性で当教室の研究に参画してくれる方を歓迎いたします。



【左図】 皮膚細胞から軟骨細胞様の細胞を誘導する2つのアプローチ。一つは一旦iPS細胞を誘導した後に、軟骨細胞様細胞へと再分化させる方法。もう1つのアプローチは皮膚細胞から直接、軟骨細胞を誘導する方法。 これらのアプローチにより誘導した軟骨細胞様細胞は、再生医療や、疾患の病態を解明する研究に用いることが期待されます。




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大阪大学医学系研究科
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