第1研究室

ごあいさつ

第一研究室メンバー 糖尿病は、膵β細胞からのインスリン分泌低下あるいはインスリンの作用不足により生じる疾患で、高血糖が年余にわたり続くと、網膜症、腎症、神経障害などの糖尿病合併症(細小血管障害)あるいは心筋梗塞、脳梗塞、末梢動脈閉塞症などの大血管障害が引き起こされます。現代の日本では食生活の欧米化や運動習慣の減少により、糖尿病、特に2型糖尿病が著明に増加しています。現在の日本の糖尿病患者数は890万人、糖尿病予備軍も含めると2210万人と推定されており、国民病と考えられています。

当研究室(内分泌代謝内科 第1研究室)は、糖尿病およびその合併症を治療、予防することを最終の目標として、日本における糖尿病研究、診療をリードしてきています。病棟および外来での診療においては、1型および2型糖尿病をはじめとする種々の代謝内分泌疾患を対象としています。症例ごとに病態を正確に把握して、その病態に即した適切な治療法を選択することを最も重視しています。糖尿病症例に関しては、頻回インスリン療法などによる厳格な血糖コントロールを行って膵β細胞を糖毒性から保護すること、また糖尿病合併症の進展を回避することを最大の目標としています。また、グルコースクランプ法にてインスリン抵抗性を正確に評価し、頚動脈エコーにて頚動脈内膜中膜複合体肥厚度を測定して動脈硬化を定量的に評価しています。1型糖尿病症例に関しては、インスリンポンプ(CSII)やカーボカウントを導入することのよって、より厳格なコントロールを行なっています。研究面においては、(2型糖尿病において認められる)膵β細胞ブドウ糖毒性の分子機構の解析、(将来の糖尿病再生医療を見据えた)膵発生・膵β細胞分化に関連する研究、インスリン抵抗性の分子機構の解析、動脈硬化を含む糖尿病合併症に関連する研究、(現在糖尿病領域で最も注目されている)インクレチン関連の研究など、糖尿病の病態およびその合併症に関する研究を中心に行なっています。

当研究室のルーツは繁田幸男先生が糖尿病研究室を開始したところにあります。その後七里元亮先生、河盛隆造先生、山崎義光先生、松久宗英先生、金藤秀明先生がグループリーダーとして研究室を引き継がれ、日本における糖尿病研究、診療を50年以上にわたってリードしてきています。研究室OBには、多数の教授、病院長、内科部長がおられます。その後、臓器別編成が進む中で、内分泌代謝内科第1研究室となり、現在研究室員20名で、現在も引き続き糖尿病研究および臨床に励んでいます。

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研究内容紹介

研究の流れ

 本研究室においては、創設当時より、最先端の臨床診断技術の開発と治療技術の開発、臨床応用をモットーとして、日本の糖尿病研究を牽引してきています。その代表的研究として頚動脈超音波を使用した動脈硬化診断といった臨床診断への電子情報技術の導入や、人工膵臓の開発、臨床応用があります。その一方で糖尿病の病態把握を目指して、"糖の流れ"を中心に糖代謝における肝臓の役割に着目し、独創的な研究を行っています。また、2型糖尿病の本態ともいえる膵β細胞機能障害(ブドウ糖毒性)に関する研究を進めるとともに、得られた知見をもとに非β細胞のβ細胞化を目指すなど、分子生物学的アプローチから新たな糖尿病治療法の確立を目指しています。これら基礎的研究に加え、動脈硬化と遺伝子診断を中心に大規模臨床研究を行っています。さらに医局員はアメリカ・カナダを中心に海外へ積極的に留学しているほか、国内および国外との共同研究も多数行っています。

"膵β細胞糖毒性"の分子機構の解析

 2型糖尿病においては何らかの原因(遺伝的素因及び環境因子)によって軽度の高血糖となり、この高血糖が持続するとインスリン生合成及び分泌障害をさらに顕著化させます。この現象は"膵β細胞糖毒性"として臨床的にも広く知られています。本研究室ではこれまでにその原因の一つとして(糖尿病状態において惹起される)酸化ストレスが関与すること、また(インスリン遺伝子の極めて重要な転写因子である)PDX-1およびMafAの発現や活性が低下することを見いだしています。このように、膵β細胞糖毒性の分子機構に関して先駆的研究を報告しており、現在さらにその下流側の分子機構の解析を続けています。

"糖の流れ"およびインスリン抵抗性の分子機構の解明

 本研究室においては、以前より肝臓の糖代謝に焦点を当て先駆的研究を行っています。ヒトでは非侵襲的肝糖取り込み測定法を、マウスとラットなどの動物では安定同位体標識トレーサー法を開発し、様々な糖代謝異常の状態での"糖の流れ"およびインスリン抵抗性を臓器別に解析しています。現在これらの成果を踏まえ、病態に最も合致した糖尿病治療の確立をめざし研究を進めています。

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メンバー紹介

松岡 孝昭
准教授
平成3年卒
内分泌・代謝内科 副科長・診療局長、第1研究室主任
大阪警察病院で勤務、米国Vanderbilt Universityに研究留学
医学博士、日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会専門医・研修指導医、日本医師会認定産業医

受賞歴:2012年・日本糖尿病学会賞(リリー賞)ほか
片上 直人
寄附講座講師
(代謝血管学寄附講座)
平成8年卒
大阪警察病院で勤務
医学博士、日本内科学会認定内科医・総合内科専門医、日本糖尿病学会専門医・研修指導医、日本動脈硬化学会専門医・指導医、日本医師会認定産業医

受賞歴:2013年・日本糖尿病学会賞(リリー賞)、2009年・日本糖尿病合併症学会若手研究奨励賞(YIA)ほか
河盛 段
医学部講師
(医学科教育センター)
平成8年卒
関西労災病院で勤務、米国Joslin Diabetes Center and Harvard Medical Schoolに研究留学
医学博士、日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会専門医・研修指導医、日本医師会認定産業医

受賞歴:2017年・日本糖尿病学会賞(リリー賞)、2002年・日本内分泌学会若手研究奨励賞(YIA)ほか
坂本 扶美枝
助教
平成13年卒
国立大阪病院(現:国立病院大阪医療センター)、大阪厚生年金病院(現:地域医療機能推進機構(JCHO)大阪病院)、大阪警察病院で勤務
医学博士、日本内科学会認定内科医・総合内科専門医、日本糖尿病学会専門医、日本内分泌学会内分泌代謝専門医、日本医師会認定産業医
宮下 和幸
助教
平成15年卒
関西労災病院、大阪労災病院で勤務
医学博士、日本内科学会認定内科医・総合内科専門医、日本糖尿病学会専門医、日本内分泌学会内分泌代謝専門医・指導医
高原 充佳
寄附講座助教
(糖尿病病態医療学寄附講座)
平成16年卒
国立病院大阪医療センター、関西労災病院で勤務
医学博士、日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会専門医

受賞歴:2014年・日本糖尿病学会若手研究奨励賞(YIA)、2011〜2012年・日本学術振興会育志賞ほか
下 直樹
医員
平成19年卒
大阪厚生年金病院(現:地域医療機能推進機構(JCHO)大阪病院)、大阪労災病院で勤務
医学博士、日本内科学会認定内科医
桂 央士
大学院生
平成19年卒
大手前病院、大阪警察病院で勤務
日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会専門医、日本病態栄養学会専門医
二宮 浩世
大学院生
平成21年卒
大阪厚生年金病院(現:地域医療機能推進機構(JCHO)大阪病院)、市立池田病院で勤務
日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会専門医
大森 一生
大学院生
平成21年卒
東大阪市立総合病院、奈良県立医科大学附属病院、ベルランド総合病院、市立池田病院で勤務
日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会専門医
高比 康充
大学院生
平成21年卒
大阪警察病院、住友病院で勤務
日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会専門医、日本内分泌学会内分泌代謝専門医、日本医師会認定健康スポーツ医
永井 泰紀
大学院生
平成23年卒
箕面市立病院、関西労災病院で勤務
日本内科学会認定内科医
佐藤 伊帆子
研究生
平成21年卒
大阪警察病院で勤務
日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会専門医
宮塚 健
特任講師
順天堂大学医学部
分子糖尿病制御医学寄附講座
寄附講座准教授
平成9年卒
大阪府立病院(現:大阪府立急性期・総合医療センター)で勤務、米国University of California, San Franciscoに研究留学
医学博士、日本内科学会認定内科医・総合内科専門医、日本糖尿病学会専門医

受賞歴:2015年・日本糖尿病学会賞(リリー賞)、2015年・日本内分泌学会研究奨励賞ほか
佐々木 周伍
海外出張者
平成19年卒
大阪労災病院、関西労災病院で勤務
現在はカナダBritish Columbia大学に研究留学中
医学博士、日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会専門医

受賞歴:2016年・日本糖尿病学会若手研究奨励賞(YIA)、2015年・日本内分泌学会若手研究奨励賞(YIA)ほか
武部 里美
特任研究員
研究室マネージャー

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連絡先

松岡 孝昭
TEL:06-6879-3743

 大阪大学内分泌・代謝内科第1研究室は、1型から2型糖尿病を対象に、膵β細胞障害とインスリン作用障害といった病態の本質から、その合併症の進展機構の解明、さらに移植・再生の先端医療まで、半世紀にわたり真剣に糖尿病と取り組んできました。糖尿病の診療と研究に興味ある方は、いつでもご連絡ください。


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