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鼻副鼻腔外来・アレルギー外来

1.担当医師

鼻副鼻腔外来
准教授 西池 季隆 日本耳鼻咽喉科学会認定専門医
日本めまい平衡医学会専門会員
助 教 識名 崇 日本耳鼻咽喉科学会認定専門医
助 教 増村千佐子 日本耳鼻咽喉科学会認定専門医
アレルギー外来
大阪大学医学部保健学科
教 授 荻野 敏 日本耳鼻咽喉科学会認定専門医
日本アレルギー学会認定専門医

2.診療について

鼻副鼻腔外来

鼻副鼻腔外来では、鼻腔、副鼻腔における炎症・アレルギー性疾患、腫瘍性疾患、外傷を中心に診療を行い、内視鏡下鼻副鼻腔手術(endoscopic sinus surgery: ESS)を中心とした手術を行っています。これは以前の口腔内を切る手術(根本術)に比較して、出血や痛みが少ないのが特徴です。我々が手術を行っている主な疾患は、慢性副鼻腔炎、副鼻腔嚢胞、アレルギー性鼻炎、鼻中隔彎曲症、眼窩吹き抜け骨折、慢性涙嚢炎、鼻副鼻腔腫瘍などです。この中で特徴的な疾患について説明します。

1)慢性副鼻腔炎

細菌感染、ウイルス感染、アレルギー体質などにより発症する副鼻腔の炎症で、症状は鼻漏、後鼻漏、鼻閉、嗅覚障害等です。鼻内に鼻ポリープの合併を多く認めます。治療としては、マクロライド系抗生剤による保存的治療により改善しない場合に、ESSを行っています。鼻副鼻腔は解剖学的に非常に複雑で、周辺に脳や目など重要な臓器がありますので、合併症を避けるため最新のナビゲーションシステム(Brain Lab社)を積極的に用いて安全な手術を行っています。

前頭洞疾患に関して

前頭洞に病気を持っていると、頭痛、顔面変形、目や脳の合併症がでることがあります。前頭洞はESSが困難で、顔を切開する手術がいまだに広く行われています。前頭洞を大きく開放する前頭洞単洞化手術(Draf type 3: modified Lothrop procedure)が前頭洞疾患に有効であると報告されましたが、難しい手術です。

我々は、鼻中隔を指標として前頭洞に到達する方法を主に行っており、その安全性を確認しました。また手術ではステント留置の必要性や適正な器具の使用について学会発表を行い、啓蒙にも努めています。

前頭洞の病気で他の病院で顔を切る手術を勧められた場合には、当院では鼻からの手術で治すことが出来る可能性がありますので、ご相談ください。

2)アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎の原因となる主な抗原はハウスダスト、ダニ、スギ花粉で、症状として鼻汁、くしゃみ、鼻閉が挙げられます。アレルギー性鼻炎で、薬物療法、減感作療法などの保存的治療では治療効果が乏しい場合には、レーザーや高周波ラジオ波メスによる下鼻甲介粘膜焼灼術や後鼻神経切断術などの手術を内視鏡下に行っています。前者では日帰り手術ですが、後者では入院で行っています。また鼻中隔彎曲症や肥厚性鼻炎合併例に対しては、それに対する手術も必要です。

3)鼻中隔彎曲症

鼻の真ん中に位置する鼻中隔が左右いずれかに突出しているために、鼻閉をはじめとした症状が出現します。これには、鼻中隔矯正術として鼻中隔軟骨の多くを切除する手術が広く用いられています。我々は、鼻中隔矯正の方法として、低侵襲な必要最低限の鼻中隔の切除による矯正を行ってきました。

この方法の患者満足度を検討したところ、非常に良好な成績でした。

4)眼窩吹き抜け骨折

眼窩吹き抜け骨折は、複視、目の痛みや眼球陥凹が主症状です。眼窩内側壁及び下壁の骨折があります。下壁骨折では睫毛の下を切開するアプローチが広く行われていますが、顔面に傷跡が残ります。鼻内によるアプローチでは再建が難しいです。我々のグループの西池らは、内視鏡下に口腔内切開で眼窩底を再建する方法を開発しました。この方法では、鼻内法で起こる眼球陥凹は少ないです。患者の眼球運動障害は自覚的にも他覚的にも改善しました。

5)慢性涙嚢炎

涙嚢の感染または外傷や手術により発症し、流涙や眼脂を認めます。涙嚢鼻腔吻合術には、鼻外法、鼻内法とがありますが、当科では顔面に傷を残さない鼻内法を行っており内視鏡を用いてヌンチャク型シリコンチューブを留置する手術を行っています。また、症例によっては、Tシート留置術というわれわれの開発した手術法を行っています。

6)甲状腺眼症(悪性眼球突出症)

甲状腺眼症は免疫複合体が沈着することにより生じる自己免疫疾患です。眼窩内脂肪は炎症により肥大し、眼球突出の原因となります。また、視力低下、視野狭窄、斜視、複視を伴うこともあります。甲状腺眼症に対する外科的治療は、これまでの外切開による眼窩減圧術が行われてきましたが、当科ではESSにより、眼窩減圧術や視神経管開放術を行っています。

7)鼻副鼻腔腫瘍

ESSは多くの鼻副鼻腔腫瘍にも行われてきています。内反性乳頭腫(inverted papilloma)は良性腫瘍ですが、再発率が高く、悪性腫瘍の合併および悪性変化の可能性があります。我々はこの治療に良好な成績を収めています。若年性血管線維腫(juvenile angiofibroma)や一部の悪性腫瘍に対してもESSを行っています。易出血性腫瘍に対しては、放射線科の協力で選択的動脈塞栓療法によって、血管を詰めて出血を減少させて手術を行っています。

アレルギー外来

アレルギー性鼻炎に対しては、局所的あるいは全身的に抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤や局所ステロイド剤等を投与する治療が行われています。これらの治療方法は治療効果が期待できますし、鼻炎の症状を抑える対症療法として確立されていますので、当外来でも行っています。これに対して減感作療法は、アレルギー疾患の作用機序に働きかけ、根治を目標に行う根治治療です。当外来では、減感作療法を積極的に行っています。紹介患者のみを診療しておりますので、受診希望の方は紹介状の持参をお願いいたします。

さらに詳しい情報を希望される方は、下記のホームページにお願いいたします。

http://sahsweb.med.osaka-u.ac.jp/~agns1/allergy/ogino/

定期的に花粉情報を更新しております。

3.研究について

我々のグループでは、副鼻腔疾患の治療成績向上、疾患に伴う症状(疼痛、嗅覚障害など)の軽減などを目的とした臨床研究や治療法の検討を行っています。また、基礎研究として大学院生が他教室と連携して研究を進めています。また、スタッフは定期的に海外に留学をしています。以下に最近の研究の一端を紹介します。

臨床研究

アレルギー疾患を合併する慢性副鼻腔炎に対するモンテルカスト投与の嗅覚障害に対する検討

嗅覚障害は、ニオイを正常に感じることができない状態で、生命に直接影響はありませんが、食品の腐敗、ガス漏れ、味覚の変化、調理など日常生活に種々の支障をきたします。発生原因として最も多いのはアレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎といった鼻疾患とされています。
嗅覚障害の治療はまず原疾患を治療することであるため、慢性副鼻腔炎にアレルギー性鼻炎もしくは気管支喘息(特にアスピリン喘息では嗅覚障害の頻度が高い)を合併している患者を対象に、アレルギー性鼻炎と気管支喘息双方に適応のあるロイコトリエン受容体拮抗薬モンテルカストを用いて、嗅覚障害に対する有効性と安全性について検討することとしました。

研究の目的及び実施計画の概要:

本研究では、気管支喘息(主にアスピリン喘息)又はアレルギー性鼻炎を合併する慢性副鼻腔炎患者のうち嗅覚障害のある方を対象とし、ロイコトリエン受容体拮抗薬モンテルカストの嗅覚障害に対する有効性と安全性の調査を目的としています。参加基準を満たす方に研究の目的を説明して参加の意思を確認し、服用中の治療薬はそのまま継続する。参加に同意される場合は、研究開始後1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年後の来院時に、定められたスケジュールでの嗅覚検査やアンケート調査などを実施します。

研究期間は、2011年2月より5年間です。定められた症例数に達した場合、早期に新規の登録を終了することがありますのでご了承ください。

基礎研究

抗原特異的アレルギー対するSema4Aの抑制的役割

セマフォリンファミリーは元来神経軸索のガイダンス因子として同定された分子群であるが近年免疫系における重要性が明らかとなっている。クラスⅣセマフォリンに属するSema4Aが免疫系において抗原提示細胞やTh1細胞に高発現しT細胞の活性化に寄与するとともに、Th1細胞分化に重要な役割を果たしていることは既に報告されている。実際Sema4A欠損マウスではTh1細胞分化が阻害されTh2型免疫応答が亢進することも確認されている。アレルギー性喘息及び鼻炎はTh2型免疫応答を主体とする亜急性、慢性のアレルギー性呼吸器炎症疾患である。近年先進国を中心として罹患数の増加が報告されており、免疫学的アプローチにより疾患の発症メカニズムに迫り効果的な治療法を開発することが必要である。我々はアレルギー性気道炎症に対するSema4A関与の解明を目的としてOVA誘発性抗原特異的喘息モデル及び鼻炎モデルにおいて、Sema4A欠損マウス、及びリコンビナントSema4A−Fcタンパクを用いた検討を行った。OVAにより免疫、誘発を受けたSema4A欠損マウスは野生型マウスに比べてTh2型免疫応答の増強に伴う気道過敏性の亢進、鼻炎症状の悪化を認めた。さらに喘息モデルにおいて治療的にリコンビナントSema4A−Fcを投与すると有意な喘息症状の改善を認めた。以上の結果よりSema4Aが喘息を含めたアレルギー性気道炎症に対する治療のターゲットとなり得る可能性が示唆された。現在その効果発現のさらなるメカニズムについて研究を進めている。(森鼻哲生、菊谷仁 大阪大学微生物病研究所分子免疫制御分野との共同研究)