大阪大学大学院医学系研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学

専門外来のご案内

鼻・副鼻腔外来

鼻・副鼻腔外来では、鼻腔、副鼻腔における炎症・アレルギー性疾患、腫瘍性疾患、嗅覚障害を中心に診療を行っています。
好酸球性副鼻腔炎や鼻・副鼻腔腫瘍に対する手術治療ではナビゲーションシステムを用いて、リアルタイムに手術操作部位を確認することで、安全かつ徹底的な手術を提供しています。また、外傷や難治性鼻出血などの緊急疾患にも対応しております。さらに涙嚢・鼻涙管、頭蓋底など鼻副鼻腔外にある病変に対しても、眼科や脳神経外科と協力して治療に当たる体制を整えています。

1. 担当医師

端山 昌樹

  • 助教
  • はやま まさき
  • 端山 昌樹
  • 平成14年 大阪大学卒
  • 耳鼻咽喉科専門医

前田 陽平

  • 助教
  • まえだ ようへい
  • 前田 陽平
  • 平成17年 大阪大学卒
  • 耳鼻咽喉科専門医
    日本アレルギー学会専門医

赤澤 仁司

  • 助教
  • あかざわ ひとし
  • 赤澤 仁司
  • 平成20年 山梨医科大学卒
  • 耳鼻咽喉科専門医
    気管食道科専門医

2. 診療の特徴

好酸球性副鼻腔炎

近年では好酸球性副鼻腔炎が国の定める指定難病となりました(指定難病306)。
投薬で改善しない場合は手術治療が必要になります。
当科での手術の特徴としては下記の3点があります。
内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS)を専門としている医師が手術を担当します。
ナビゲーションシステム(写真)を用いてリアルタイムに手術操作部位を確認し、安全かつ徹底的に手術を行います。
③再手術症例などの手術手技が困難な症例においても可能な限り積極的に手術加療を行っている
これらにより不十分な手術とならないように徹底的に、かつ安全に行うよう努めています。

歯性上顎洞炎

齲歯や上顎洞に迷入したインプラントが原因となっている上顎洞炎(副鼻腔炎)を歯性上顎洞炎と呼びます。齲歯が原因の場合、多くの施設ではまず抜歯が行われますが、当科では可能な限り歯を温存するために、歯の保存的治療と鼻内視鏡手術を組み合わせて治療を行っています。インプラントが原因の場合はインプラントを温存し、鼻内視鏡手術を行い症状のコントロールを図ります。

鼻副鼻腔乳頭腫

鼻副鼻腔の良性腫瘍の中で最も多いのが内反性乳頭腫です。内反性乳頭腫は再発率が高く、一部は癌を合併します。そのため病院によっては外切開(顔面や歯肉を切開する)での手術が行われています。当科ではほとんど全ての症例で内視鏡手術で治療を行っています。特に上顎洞や前頭洞に腫瘍が存在する場合には従来の手術手技では対応が困難でしたが当科ではEMMM、Draf type3といった発展的な手術方法を行っています。これにより侵襲の少ない治療で良好な治療成績を残しています。また手術の際にはナビゲーションシステムを用いることで、腫瘍の確実な切除と安全な手術を心がけています。その他の良性腫瘍に対しても内視鏡手術での治療を第一選択としています。

難治性前頭洞炎

前頭洞は内視鏡手術の難易度が高いため、顔面を切開する手術がいまだに多くの施設で行われています。当科では内視鏡下に前頭洞を大きく開放する前頭洞単洞化手術(Draf type 3)を行っています。難易度の高い手術ですが当科では多くの症例を経験しています。

孤立性蝶形骨洞炎

蝶形骨洞に単独に副鼻腔病変を有する状態です。人間ドックや脳の画像検査などで偶然発見されることも多い疾患ですが、頭痛の原因として見逃されやすい疾患でもあります。検査結果などにより、手術が必要と判断された場合は当科では主に経鼻中隔法と呼ばれる方法で内視鏡手術を行います。この方法は侵襲が少ないのに、大きな視野が得られるためこの疾患の手術に適しています。

鼻中隔矯正術

当科では鼻中隔軟骨を温存する手技を行っています。これにより鼻中隔穿孔の危険性を下げることが出来ます。また従来、前方弯曲が強い場合には矯正が難しいとされてきましたが、当科ではバテングラフトを用いた方法で矯正を行い良好な成績を得ています。

真菌に関わる疾患(副鼻腔真菌症、アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎)

副鼻腔には真菌(カビ)が関わる疾患がいくつかあります。代表的な副鼻腔真菌症は副鼻腔に真菌の塊ができてしまう疾患です。上記の副鼻腔真菌症から進展して副鼻腔粘膜とその周辺臓器(眼窩や頭蓋内)に真菌が浸潤すると、複視や視力障害などの様々な脳神経障害を起こすため、手術で真菌を摘出し、徹底的な洗浄を行うことが必要です。当科では高圧で副鼻腔を洗浄するハイドロデブリッダー®という手術支援機器を用いることで、遺残による再発を予防しています。
アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎(AFRS)は真菌に対するアレルギーが原因の副鼻腔炎です。当科ではAFRSに関して全国屈指の症例数があります。診断が難しく、見落とされて手術を行うと再発の原因となります。当科では丁寧な診断と徹底的な手術および術後治療を行っています。

難治性鼻出血

外来で内視鏡を駆使して出血点を探し、焼灼処置を行います。また出血点が分からない後方からの出血を繰り返す場合には蝶口蓋動脈の結紮術(クリッピング)を行っています。

オスラー病

オスラー病は遺伝性出血性末梢血管拡張症(HHT)とも呼ばれる疾患です。様々な症状が出現しますが、最も多いのが鼻出血です。鼻出血の制御のために、コブレーター®を用いた粘膜焼灼術を行っています。またオスラー病は全身の臓器に血管病変を発症しますが、他科とも連携し、全身の合併症にも迅速に対応します。

慢性涙嚢炎

涙嚢の感染または鼻の外傷や手術などが原因で、涙液の通り道が狭くなったり閉塞したりすると、涙液が目から鼻に流れなくなり、流涙過多や眼脂などの症状を起こします。この治療として涙嚢鼻腔吻合術(DCR)があります。当科では眼科と協力し経鼻内視鏡を用いた手術を行っています。

特殊外来
アレルギー外来

アレルギー性鼻炎を対象とした外来です。
舌下免疫療法を中心に治療を行っております。また舌下免疫療法の難点として治療効果の発現までに時間がかかることがありますので、患者さんの希望に応じて後鼻神経切断術や粘膜下下鼻甲介骨切除術など治療効果が早期に得られる手術を舌下免疫療法に組み合わせて治療を行っています。

嗅覚外来

基準嗅覚検査(T&T)(予約制)を行うことで嗅覚障害の重症度を評価します。
感冒(風邪)のあとに嗅覚障害を発症する感冒後嗅覚障害に対する漢方治療を行っています。また嗅覚障害を伴う好酸球性副鼻腔炎に対しては手術治療とステロイド治療を組み合わせて治療を行います。

3. 手術・診療実績

平成28年度に当科で手術治療例は以下の通りです。

●手術
手術名 症例数(側)
内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS) 83
EMMM 3
拡大前頭洞手術(Draf type3) 6
内視鏡下頭蓋底悪性腫瘍摘出術 1
眼窩壁骨折整復術 1
涙嚢鼻腔吻合術 2
後鼻神経切断術 5
鼻中隔矯正術 36
粘膜下下鼻甲介骨切除術 7
オスラー病に対するコブレーター焼灼術 12
蝶口蓋動脈結紮術 1

4. 研究

  • 将来より良い医療を患者の皆さんに提供できるよう、当科では次のような研究に取り組んでいます。どうかご協力をよろしくお願いいたします。
  • 既に当科で治療あるいは検査を受けられた方の中で、*のついた研究においてご自身の既存情報(画像データ、血液検査データなど)が使われることを希望されない場合は当科まで(耳鼻咽喉科・頭頸部外科学医局:06-6879-3951)ご連絡ください。
臨床研究

より有効な治療法や診断法の開発を目指して、実際に患者さんに参加していただいて行う研究です。

  • 歯性上顎洞炎症例に対する鼻副鼻腔内視鏡手術の有用性の検討
  • 嗅覚障害におけるUPSITの有用性の検討*
  • 耳鼻咽喉科・頭頸部外科に関わる疾患および業務に関するアンケート調査*
  • 感冒後嗅覚障害に対する当帰芍薬散とメコバラミンによる治療効果の比較検討(金沢医大との共同研究)
橋渡し研究

患者さんから得られた検体や画像データなどを用いて、新たな治療法や診断法の開発を目指して行う研究です。

  • 鼻副鼻腔疾患における血液・鼻副鼻腔検体を用いた血清バイオマーカー検索および病態解明
  • アレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法の有効性の評価および治療効果予測因子の検討
  • 慢性副鼻腔炎に伴う鼻ポリープを引き起こすアレルギー性炎症反応の解明
基礎研究

培養細胞や実験動物、あるいは患者さんから得られた検体を用い、鼻副鼻腔やアレルギーに関する疾患のメカニズムなどを研究します。また、新規の薬剤の開発などを目指した研究を行います。

  • 難治性副鼻腔炎患者における血液中遊走性好酸球および組織定着性好酸球遺伝子の比較による病的好酸球遺伝子の同定および新規治療法の確立について
  • 好酸球性副鼻腔炎における疾患特異的B/T細胞サブセットの同定とそれを標的とした新規治療の開発
  • 好酸球性副鼻腔炎と鼻副鼻腔常在細菌叢に関する検討
  • アレルギー性鼻炎に対するアレルゲン免疫療法の奏功に関わる遺伝子同定とその免疫学的機能解析
  • 抗セマフォリン4D抗体を用いた好酸球性副鼻腔炎新規免疫治療法の開発
  • 好酸球顆粒蛋白による鼻茸リモデリング形成メカニズムの解析