医学部の教育が、例えば「アレルギー性鼻炎に抗ヒスタミン剤を処方する」といった臨床マニュアルを学ぶだけなら6年もの長期間は必要ないでしょう。しかしながら、この何気ない一文の裏には、疫学からの疾患概念の確立、病態の解明、ヒスタミンの発見、レセプターの同定、創薬等々、想像もできないくらいの多くの医師および研究者の努力が隠れています。我々が普段何気なく行っている臨床は多数の先人達のリレーによって確立されたものです。
医師の仕事は単に目の前の患者様の病気を診断・治療するだけではありません。余力と情熱のある人はこのリレーに参加して、医学を発展させなければなりません。大学院とは、このようなリレーに参加するために、臨床を4年間お休みして、「学問リレー」のルールを学び、技術を獲得し、研究者のライセンスである学位を取得するところです。
当科では、これまで毎年2−3人の医師が主に1年間の臨床研修の後に大学院に進学し、学位を取得してきました。しかしながら、現在の研修制度が開始されてからは、臨床研修が一段落してから大学院に進学する人が多くなっています。このような状況に対し、当科では院生の家族状況を配慮して非常勤職を用意することにより大学院生の生活を経済的にもbackupするようにしています。
大学での臨床研修において自分が医師人生をかけてもいいと思える専門領域を見つけてください。打ち込むべき対象が見つかれば是非大学院に進んでください。臨床の仕事で患者様の喜びを見るのも医師の醍醐味ですが、前人未踏の領域を開拓し、医学の発展を追求する楽しさもまた筆舌に尽くし難いものです。当科では後者の楽しさを若い医師達に提供したいと考えています。