
大学院について大島 一男 先生(平成10年度入局)
医学部を卒業し、一年間の大学病院での研修を終えた後、博士課程に進学する事となりました。私の学年は、耳鼻咽喉科の同期7人中5人が卒後2年目からの大学院進学希望という比較的特殊な状況だったのですが、当時の教授であった久保武先生のご厚意により、全員の進学が認められました。うち3人は耳鼻咽喉科の院に所属、1人は薬理学に、そして私は、その年に開室された遺伝子治療学(金田安史教授)にお世話になる事に決まりました。ピペットの握り方すら覚束ないような右も左も分からない状態で大学院の生活が始まったのですが、幸いにも良き指導者に恵まれ、基礎から分子生物学的技法を教わる事ができました。最先端の知見・技術を興奮しながら学びつつ、遺伝子治療に関連したプロジェクトに携わりました。また、それらと平行して、耳鼻咽喉科に関連したプロジェクトにも携わることができました。当時の准教授の土井勝美先生(現・近畿大学医学部教授)からマウス内耳の解剖・手術、ABRの取り方などに関する指導を受けつつ、遺伝子治療学で得た知見・技術を耳鼻科領域に応用する事を試みました。また、現教授の猪原先生からもお話をいただき、領域を超えて(猪原先生は腫瘍グループで、私は内耳グループ)プロジェクトに参加できたのも良き思い出です。最終的に、学位論文は、遺伝子治療/再生医学と耳鼻咽喉科の橋渡し的な内容の物となった事に満足しています。 学位取得後、留学先を探し、ボストンのMassachusetts Eye and Ear Infirmaryという耳鼻科・眼科専門病院のHellerラボでポスドクを始めました。その後、ラボのStanford大学への移転に伴い同大学に異動し、現在、Stanford大学の耳鼻咽喉科で働いております。最近は、マウスとヒトのES・iPS細胞から有毛細胞への分化誘導法の開発研究等に従事しております。 代表論文
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耳・鼻・咽喉科の中の耳科、特に、聴覚に関する再生医学分野での研究を続けています。内耳の感覚細胞である有毛細胞は、一旦障害されると再生せず、感音難聴の治療が困難である原因となっていますが、この再生しない細胞をなんとか再生させ治療に結び付けれないか、というのが究極のテーマです。少なくとも再生医学に関しては、内耳は他の臓器に比べ研究・解析が難しく、まだまだ謎が多く残っている臓器ですが、言い換えると、奥が深く、チャレンジングな分野です。未解明の事が多いこの分野で研究をしている事にやりがいを感じます。