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耳鼻咽喉科医になろう

1.はじめに

「どの診療科の医師になろうか?」6年間の大学教育を終えた、あるいは2年間の初期研修中の若い医師の先生方は、自らの適性、学問的興味、人生展望などを考慮しつつ、多くの選択肢を前に日々悩んでいることと思います。患者様の役に立ちたいというのはもちろんですが、それ以外に、「メジャー科にするのか、マイナー科にするのか」、「内科系、外科系のどちらにするのか」、「将来勤務医でいくのか、開業しやすい科にいくのか」、「科としての将来性」「ワークライフバランス」などなど考えれば尽きることはないでしょう。ここでは進路決定の参考となるように、耳鼻咽喉科の特色をまとめてみます。

2.耳鼻咽喉科の守備範囲

「耳鼻咽喉科」とは言いますが、「耳」「鼻」「咽喉」に加え「口腔」も守備範囲に含まれます。これらの管腔臓器自体の機能として聴覚、平衡覚、嗅覚、気道、発声発語、摂食嚥下があります。従って、これらの機能の障害に対して耳鼻咽喉科で診療を行うことになります。ただし口腔機能の中の「咀嚼」のみは歯科医師が取り扱います。耳鼻咽喉科の守備範囲はこれらの管腔臓器のみではありません。人体の中で上は頭蓋底から下は鎖骨までの間で、「唾液腺」「甲状腺」に代表される頸椎・後頸筋群を除いた領域もまた耳鼻咽喉科が受け持ちます。そのため、近年は「耳鼻咽喉科・頭頸部外科」という診療科名を用いることが多くなっています。

3.耳鼻咽喉科医師の数

日本にどのくらいの数の耳鼻咽喉科医師がいるかというと、本邦の医師数30万人弱のうち、耳鼻咽喉科医師の数は9000人弱となっています。「咀嚼」の分野を担う歯科医師の数は10万人を超えている一方で、耳鼻咽喉科が担当する多くの人体機能の分野をわずか9000人で担っているのです。生命に直結する頭頸部悪性腫瘍、QOLへの影響が大きい聴覚障害などに重要性の高い領域に重点的に人材が配分されて診療が行われていますが、領域によっては専門医が少ないため、標準的な水準の医療を受けられずに困っている患者さんが数多くおられます。

4.外科系?内科系?

「耳鼻咽喉科とは外科だ」と極論する耳鼻咽喉科医師もいますが、実際は、外科的治療と薬物治療の比は7:3あるいは6:4ではないでしょうか。耳鼻咽喉科の疾患の中で、良性腫瘍、切除可能な悪性腫瘍、伝音性難聴、副鼻腔炎、鼻腔形態異常、器質性音声障害は外科的治療の良い適応であり、治療効果が明確に現れます。一方で、アレルギーやめまいなどの領域では薬物治療の比重が高くなります。耳鼻咽喉科医師は同じ臓器の外科的治療と内科的治療の両方を自分で担うため、自分で責任を持って治療方針を選択し、治療を行う「裁量性」は耳鼻咽喉科医師の醍醐味であると考えます。将来外科系と内科系のどちらに進もうか、悩んでいて踏ん切りがつかない人には耳鼻咽喉科はおすすめです。

5.耳鼻咽喉科の将来性

ご存知の通り、本邦では著しいスピードで高齢化が進行しており、重大な社会問題となっています。高齢者においては、加齢に伴って、聴覚、平衡、味覚、音声、嚥下など様々な耳鼻咽喉領域の機能障害が生じるため、高齢化とともに耳鼻咽喉科領域の患者数は増加する傾向にあります。また、悪性腫瘍も高齢者に多く生じるため、高齢化に伴って悪性腫瘍の新規罹患患者も増加しています。

6.ワークライフバランス

全ての人が、患者様のことを一番に考えているのはもちろんですが、生活のすべてを医療あるいは医学の仕事に注ぎたいというわけではないと思います。「趣味と両立したい」「家族と一緒に過ごす時間を持ちたい」など、比重を何に置くかは人それぞれでしょうし、「緊急であまり病院に呼ばれたくない」「夜は安らかに眠りたい」という願望もあるでしょう。当医局の関連病院のすべてにおいて、朝から夜中まで診療を行っているわけではありません。当医局の関連病院は、ほぼ毎日手術を行って、診療にどっぷり浸かる病院から、業務の大部分が外来診療であり、通常夕方に仕事が終了する病院まで様々です。異動の際には本人の希望を十分に勘案しますので、価値観に合った働き方ができ、女性医師は結婚および出産後も仕事を続けることが可能です。

また当医局の関連病院はすべて大阪府下あるいは兵庫県阪神地区にあります。そのため病院間の人事異動において遠距離の引っ越しはありません。住宅購入後や子供の教育のために家族を残して単身赴任というような悲劇は当医局所属の医師にはありません。