消化管研究室・消化器癌研究グループ

大腸癌

大腸発癌には環境因子が重要な働きをしており、予防可能な疾患の一つと考えられています。癌の予防法としては、食生活の改善や運動などが考案され、検討されていますが、近年薬剤などを用いて積極的に病気の予防を行う化学予防(chemoprevention)が注目されています。我々は大腸癌や胃癌においてプロスタグランディン合成過程の律速酵素の一つであるcyclooxygenase-2が高発現していることを見出し、その特異的阻害剤が、癌の増殖・浸潤転移・アポトーシス抵抗性・血管新生などを抑制することから、COX-2を標的分子とした癌の化学予防の可能性を明らかにしてきました(1)(図)。現在、進行癌の治療において、抗癌剤治療と併用した際のCOX-2阻害剤の抗腫瘍効果増強機構を明らかにし、より有効な治療法の探索を行っています(2)。また、アディポサイトカインなど、その他の発癌に関わる機構に関しても検討を行っています。特に近年、発癌過程での重要性が注目されているエピジェネティックな因子に関しても、病態における発生機構の解明から、癌の予防・治療につながる研究を行っています。

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  1. Tsujii M, Kawano S, Tsuji S, et al. Cyclooxygenase regulates angiogenesis induced by colon cancer cells. Cell 93: 705-716, 1998
  2. Yasumaru M, Tsuji S, Tsujii M, et al. Inhibition of angiotensin II activity enhanced the antitumor effect of cyclooxygenase-2 inhibitors via insulin-like growth factor I receptor pathway. Cancer Res.63:6726-6734, 2003