消化管研究室・炎症性腸疾患グループ

 潰瘍性大腸炎、クローン病に代表される炎症性腸疾患は、多数の研究者による長年の検討にもかかわらず、未だに原因不明で、難治性の疾患です。私たちのグループでは、以下のテーマを中心に研究を進めています。



自然免疫系の制御による炎症性腸疾患治療法の開発


 免疫の活性化の最初の引きがねとしてToll-like receptor(TLR)に代表される自然免疫系の活性化が重要であることがわかってきました。TLRの下流のシグナル伝達経路については精力的に研究が行われ、その概要が明らかになってきました。しかしながら、TLRの発現調節機構についてはまだ明らかになったとはいえず、炎症性腸疾患との関わりも十分に解明されていません。私たちはTLRの調節機構のひとつとして、粘膜の防御に重要であるCyclooxygenaseとの関連を中心に研究を進めています。また、TLRに対する抑制的制御機構として存在するCタイプレクチンによる炎症の抑制についても研究をすすめ、臨床治療へつなげたいと考えています。さらに、脂肪組織特異的な分泌蛋白であるアディポネクチンが、マクロファージや血管内皮細胞に対して抗炎症作用を持つことを示してきました。活性化マクロファージはクローン病や潰瘍性大腸炎の病態に重要な働きをしていると考えられていますが、脂肪組織の分泌するアディポネクチンが腸炎に対し抑制作用を持つことを患者検体や動物モデルを用いて明らかにしてきました (1)(2) (図)。以前よりアディポネクチンを含むアディポサイトカインと生活習慣病の関連が言及されており、生活習慣の変化等がアディポネクチンを介して炎症性腸疾患の発症・増悪に関与している可能性および治療への応用を模索してゆきます。

炎症性腸疾患発症における環境因子c


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  1. Yamamoto, K.,T. Kiyohara,Y. Murayama,S. et al. Production of adiponectin, an anti-inflammatory protein, in mesenteric adipose tissue in Crohn's disease. Gut 54:789-96. 2005.
  2. Nishihara, T., M. Matsuda, H. Araki, et al. Effect of adiponectin on murine colitis induced by dextran sulfate sodium. Gastroenterology 131:853-861. 2006.