大阪大学大学院医学系研究科 ゲノム生物学講座 遺伝子治療学分野
Division of Gene Therapy Science, Department of Genome Biology, Graduate School of Medicine, Osaka University.
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はじめに

教授 金田安史私達の研究室は1999年の5月より活動を開始しました。遺伝子治療の研究と言っても、最初から応用を目指している者ではありません。基本的に大切なことは、なぜこのような現象が起きるのか、なぜ病気になるのか、どうしてこの治療では効果がないのか、などといった知的好奇心です。したがって広く生命科学を研究するという姿勢がなければ何も進みません。最初は手探りで始めた研究も、研究が進むにつれて次第に基盤が作られ、それぞれの研究内容が自然と融合しあい、また刺激しあって次第に大きな流れになってきました。その中で得られた発見から応用の芽が出れば、私たちはそれも積極的に進めるという立場を取っています。そのためには臨床医や企業の協力が必要です。そのような流れの中で、私達の発見の1つである不活性化センダイウイルス粒子(HVJ-E)は臨床医の興味を大いにそそり、その実用化を目指したベンチャー企業も立ち上がり、皮膚がんや前立腺がんの臨床研究に発展し、さらに現在は医師主導治験に進むまでになりました。その他にもがんや心疾患、さらには間葉系幹細胞などを対象として、独創的な研究成果が得られてきています。一方で、遺伝子発現を網羅的に解析して、疾患の重症度を左右する遺伝子や転移に関与する因子の探索、腫瘍免疫にかかわる細胞の生体内での動態を可視化するような研究、遺伝子の転写制御機構の解明などの基礎研究を、RNA seq., drop-seq., ゲノム編集技術、マウス透明化技術などの最新技術を取り入れて進めています。

それぞれの研究を1つ1つ深く掘り下げ、その成果をもとに倦まず弛まず研究を積み上げることが結果的に応用研究につながり、それを支える者だと確信しております。

私達の教室には異なるバックグラウンドを持つ研究者が大勢いますし、国外からの大学院生も増えてきております。皆、当教室のあるべき姿をよく理解し、高い志を抱く者ばかりです。

これからも難病の治療を念頭に置いて基礎研究を推進する研究者が全世界から集まって、ともに研究の楽しみを分かち合いながら治療学をますます盛り上げていきたいと思います。その中で私達の研究成果を基にした難病治療薬が実際に広く使われるようになり、社会に貢献できる日を夢見ています。

大阪大学大学院医学系研究科
ゲノム生物学講座 遺伝子治療学分野
教授 金田安史
付記:2008年1月16日私の師である岡田善雄先生(阪大名誉教授)が逝去されました。岡田先生と出会わなければ、私は研究者の道は歩んでいなかったですし、研究の厳しさ、楽しさ、素晴らしさを感じることもなく、現在の私も私の研究室も存在しなかったろうと思います。岡田先生からは有形無形の数えきれないほど多くのことを学びました。その中で、“治療を見据えた研究をせよ”と言われたことを覚えています。これは“病気を治療しなさい”、ということではなく、“生体反応を正しくとらえた研究をせよ”、という意味で、“そのずっと先に難病の治療ができるなら素晴らしい”、という含みもあったのだと理解しております。私の研究室の本質はまさしくこの言葉に裏付けられたものです。岡田先生に感謝し、ご冥福をお祈り申し上げます。
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