Creutzfeldt-Jakob病(CJD)、variant CJDが輸血で感染するかに関して最近までに報告されている原著論文、レビューをまとめて以下に紹介する。
大阪大学医学部附属病院輸血部 倉田義之
平成16年4月15日
原著論文
1. 疫学
Masters, CL, Harris, JO, Gajdusek, C,
Gibbs, CJ, Bernoulli, C, Asher, DM: Creutzfeldt-Jakob disease: Patterns of worldwide
occurrence and the significance of familial and sporadic clustering. Ann Neurol, 5; 177-188, 1979.
CJDの疫学。1435症例について発症年齢、世界各地での発症率などを検討したもの。
Kondo, K, Kuroiwa, Y: A case control
study of Creutzfeldt-Jakob disease: association with physical injuries. Ann Neurol, 11; 377-381, 1982.
CJDに関するケースコントロール研究。輸血歴は関係なし。手術歴と外傷歴が有意に高い。
Esmonde, TFG, Will, RG, Slattery, JM,
Knight, R, Harries-Jones, R, De Silva, R, Matthews, WB: Creutzfeldt-Jakob
disease and blood transfusion. Lancet, 341; 205-207, 1993.
CJDと輸血の関係を検討した論文。CJD患者の輸血歴の率は対照群の患者に比べ高くない。またCJDで頻回に献血した患者の地域でCJDが多発しているとの証拠はない。輸血歴をもつCJD患者の臨床像は散発性のCJDの臨床像に一致しており、成長ホルモン投与によるCJDと臨床像は異なる。よって輸血歴もつCJDは輸血が原因とは考えられない。
Klein, R, Dumble, LJ: Transmission of
Creutzfeldt-Jakob disease by blood transfusion. Lancet, 341; 768, 1993.
オーストラリアで輸血歴をもつ4名のCJD患者が発生している。オーストラリアでは不妊症のためゴナドトロピンを投与された婦人が多くその人たちが献血しているので、それらの人たちから血液で感染が起こったかもしれないとの報告。
Heye, N, Hensen, S, Muller, N:
Creutzdeldt-Jakob disease and blood transfusion. Lancet, 343; 298-299, 1994.
CJD発症前に55回献血した症例で、その血液を輸血された症例を追跡調査し、CJDを発症したか検討した成績。55回中35回分で受血者の経過が判明した。27例は間違いなくCJD患者よりの輸血を受けていた。18例は既に死亡しており平均生存期間は1.4年であったがCJD発症例はなかった。9例は生存中で平均11.7年経過しているがCJD発症例はない。また多分輸血されたであろう8例についてもCJD発症例は認めていない。
Operskalski, EA, Mosley, JW. Pooled
plasma derivatives and Creutzfeldt-Jakob disease. Lancet, 346; 1224, 1995.
血友病の患者さんにCJDの発症が報告されていないので血液分画製剤の輸血でCJD感染するとは考えにくくFDAのとった政策は間違っているのではないかとの意見。
Creange, A, Gray, F, Cesaro, P,
Adle-Biassette, H, Duvoux, C, Cherqui, D, Bell, J, Parchi, P, Gambetti, P, Degos,
J: Creutzfeldt-Jakob disease after liver transplantation. Ann Neurol, 38;
269-272, 1995.
肝移植2年後にCJD発症した症例報告。肝のドナーはCJD症状なし。アルブミン・ドナーに3年後CJD様症状で死亡したドナーが含まれていた。CJD発症は偶然の発症かあるいは肝のドナー、アルブミンによる感染かは不明であるが臓器移植やアルブミンによる感染も考えられるので要注意との報告。
Wientjens, DPWM, Davanipour, Z, Hofman,
A, Kondo, K, Matthews, WB, Will, RG, van Duijn, CM: Risk factors for
Creutzfeldt-Jakob disease:
A reanakysis of case-control
studies. Neurol, 46; 1287-1291,
1996.
CJDの疫学調査で過去に報告されている文献を再検討し、3つのケースコントロール研究を選び、再解析したもの。CJDのリスクファクターを検討したもので3つの報告をあわせることによりCJD症例が178例、対照症例が333例。リスクファクターの解析では家族にCJD患者がいる場合と精神的な病気の既往がある場合、CJDのリスクファクターになるとしている。一方、輸血歴は差が無かったとしている。
Patry, D, Curry, B, Easton, D,
Mastrianni, JA, Hogan, DB: Creutzfeldt-Jakob disease (CJD) after blood product
transfusion from a donor with CJD. Neurol, 50; 1872-1873, 1998.
後でCJDになったドナーより採血したアルブミンを投与され8−10ヶ月後にCJD発症した1例の症例報告。しかしながら、著者らは偶然の発症だとしている。なぜなら潜伏期間が短い、神経症状が異なるなどが理由。
Alperovitch, A, Poser, S, Granieri, E,
Hofman A, Will, RG: Case-control study of risk factors of Creutzfeldt-Jakob
disease in Europe during 1993-95. Lancet, 351; 1081-1085, 1998.
CJD発症のリスクファクターの解析。ヨーロッパの405症例を解析。家族に痴呆がいると危険が高い。外科手術や輸血や牛肉摂取と関係なしとの報告。
Evatt, B, Austin, H, Barnhart, E,
Schonberger, L, Sharer, L, Jones, R, DeArmond, S: Surveillance for
Creutzfeldt-Jakob disease among persons with hemophilia. Transfusion, 38;
817-820, 1998.
アメリカで血友病で死亡した症例中脳組織標本が得られた24症例でCJDの所見の有無を検討。全例でCJDの所見陰性だったと。しかしながら系統だって集めた試料ではない、アメリカの献血者由来の血液製剤である、症例数が24例と少ないので血液製剤の輸血でCJDが感染しないということにはならないと思われる。
Lee, CA, Ironside, JW, Bell, JE,
Giangrande, P, Ludlam, C, Esiri, MM, McLaughlin, JE: Retrospective
neuropathological review of prion disease in UK haemophilic patients. Thromb Haemost, 80; 909-911, 1998.
イギリスの血友病患者で死亡した33例の脳組織を検討したがCJDの所見なし。
中村好一、北本哲之、佐藤 猛、柳川 洋:クロイツフェルト・ヤコブ病サーベイランス結果。厚生省特定疾患遅発性ウイルス感染症調査研究班 平成11年度研究報告。p55-65、2000.
1997年より1999年までのクロイツフェルト・ヤコブ病の全国サーベイランスの結果およびその解析結果を報告したもの。疫学的データや硬膜移植患者の発症までの経過などについて詳細に解析している。
Wilson, K, Code, C, Ricketts, MN: Risk
of acquiring Creutzfeldt-Jakob disease from blood transfusions: systematic
review of case-control studies. Br Med J, 321; 17-19, 2000.
CJDの患者は輸血歴が有意に多いか過去の5つの文献を解析し検討したもの。その結果、特にCJD患者が輸血歴が多いとはいえないという結論をだしている。
Correll, PK, Law, MG, Seed, CR, Gust, A,
Buring, M, Dax, EM, Keller, AJ, Kaldor, JM: Variant Creutzfeltd-Jakob disease
in Australian blood donors: estimation of risk and the impact of deferral
strategies. Vox Sang, 81; 6-11, 2001
英国に6ヵ月以上滞在していた人を供血者より排除することは有効だとの推計をしている。一部供血者を排除すると変わりに新規の献血者が増え、HIV、HCV、HBVの危険が高くなるがvCJDの血液を除く効果の方がメリット大であるとの報告。
Llewelyn, CA, Hewitt, PE, Knight, RS, Amar,
K, Cousens, S, Mackenzie, J, Will, RG: Possible transmission of variant
Creutzfeldt-Jakob disease by blood transfusion. Lancet, 363; 417-421, 2004.
輸血によりvCJD感染が起こったと思われる初めてのケースレポート
2. 接種実験
Manuelidis, EE, Gorgacz, EJ, Manuelidis,
L: Viremia in experimental Creutzfeldt-Jakob disease. Science, 200; 1069-1071,
1978.
CJD脳を感染させたモルモットの血液を他のモルモット脳に接種し感染性を証明したもの。
Manuelidis, EE, Kim, JH, Mericangas, JR,
Manuelidis, L: Transmission to animals of Creutzfeldt-Jakob disease from human
blood. Lancet, 2; 2678-2679, 1985.
CJD患者2例の脳およびバフィーコートをモルモットとハムスターの脳に接種し、感染性を実験。脳のみならずバフィーコートでも高率に感染するということを報告。
Tateishi, J: Transmission of
Creutzfeldt-Jakob disease from human blood and urine into mice. Lancet, 2; 1074, 1985.
CJDの脳、血液、尿、角膜、リコールをマウス脳に接種、リコールを除き他の組織は感染が成立すると報告。潜伏期間は789日から1080日。
Casaccia, P, Ladogana, A, Xi, YG,
Pocchiari, M. Levels of infectivity in the blood throughout the incubation
period of hamsters peripherally injected with scrapie. Arch Virol, 108;
145-149, 1989.
スクレイピー因子をハムスターの腹腔内に投与し脳、脾、血液の感染性を経時的に追跡し検討したもの。接種後一ヶ月ぐらいは血液に感染性を認めviremiaの状態になっていると考えられる。50日以後、脾、脳で感染性が急上昇し増殖が起こり、一方、血液の感染性は消失する。
Kitamoto, T, Muramoto, T, Mohri, S,
Doh-Ura, K, Tateishi, J. Abnormal isoform of prion protein accumulates in
follicular dendritic cells in mice with Creutzfeldt-Jakob disease. J Virol, 65;
6292-6295, 1991.
CJD感染マウスでプリオン蛋白はリンパ組織のリンパ濾胞の樹状細胞中に認められる。非感染マウスでは認めない。SCIDマウスの腹腔内にプリオン蛋白を接種しても脳には行かない。ヌードマウスでは脳に移行する。脳への進展にはB細胞・樹状細胞が重要かと報告。
Tamai, Y, Kojima, H, Kitajima, R,
Taguchi, F, Ohtani, Y, Kawaguchi, T, Miura, S, Sato, M, Ishihara, Y:
Demonstration of the transmissible agent in tissue from a pregnant woman with
Creutzfeldt-Jakob disease. New Engl J Med, 327; 649, 1992.
CJDの妊婦での成績。胎盤や初乳、臍帯血の白血球をマウス脳に接種すると感染成立。垂直感染が起こるのではないかとの報告。
Brown, P, Gibbs, Jr, CJ,
Rodgers-Johnson, P, Asher, DM, Sulima, MP, Bacote, AB, Goldfarb, LG, Gajdusek,
C: Human spongiform encephalopathy: The National Institutes of Health series of
300 cases of experimentally transmitted disease. Ann Neurol, 35; 513-529, 1994.
NIHで収集された278例のCJD症例につきsporadic, iatrogenic, familial別に臨床症状、検査所見、実験動物への感染実験などの成績。各病型により感染率、潜伏期間、罹病期間が異なる、また接種ルートによっても異なることを示している。
Lasmezas, CI, Cesbron, J-Y, Deslys, J-P,
Demaimay, R, Adjou, KT, Rioux, R, Lemaire, C, Locht, C, Dormont, D: Immune
system-dependent and -independent replication of the scrapie agent. J Virol, 70; 1292-1295, 1996.
SCIDマウスの腹腔内にスクレイピー因子を感染させても33%しか感染が成立しない。免疫系を再構築すると93%に感染が成立する。免疫系細胞がスクレイピー因子の増殖、神経系への伝播に必要な役割を果たしているとの報告。
Klein, MA, Frigg, R, Elechsig, E,
Raeber, AJ, Kalinke, U, Bluethmann, H, Bootz, F, Suter, M, Zinkernagel, RM,
Aguzzi, A: A crucial role for B cells in neuroinvasive scrapie. Nature, 390;
687-690, 1997.
プリオン蛋白を脳に接種するのではなく末梢(腹腔内など)に接種した場合にプリオンが脳へ移行するのにB細胞が重要な役目を果たしているか否か検討した文献である。T細胞欠損マウスではスクレイピー発症するがB細胞欠損マウスではスクレイピーは発症しないとしてB細胞が重要な役割を果たしているとしている。
Bons, N, Lehmann, S, Mestre-Frances, N,
Dormont, D, Brown, P: Brain and buffy coat transmission of bovine spongiform
encephalopathy to the primate Microcebus murinus. Transfusion, 42; 513-516,
2002.
BSEに感染させた霊長類の”microcebe”のバフィーコートを”microcebe”の脳に接種するとCJD発症したとの報告。
3. プリオン
Prusiner, SB, Bolton, DC, Groth, DF,
Bowman, KA, Cochran, SP, McKinley, MP: Further purification and characterization
of scrapie prions. Biochem, 21; 6942-6950, 1982.
プリオンの精製の仕事。精製した分画を電子顕微鏡で観察しロッドを認めている。またSDS電気泳動にて27-30Kdに1本のバンドを検出している。
Prusiner, SB, Groth, DF, Bolton, DC,
Kent, SB, Hood, LE: Purification and structural studies of a major scrapie prion
protein. Cell, 38; 127-134, 1984.
スクレイピーのプリオンを精製し、そのN端のアミノ酸シークエンスを決定したもの。
Chesero, B, Race, Richard, Wehrly, K,
Nishio, J, Bloom, M, Lechner, D, Bergstrom, S, Robbins, K, Mayer, L, Keith, JM,
Garon, C, Haase, A: Identification of scrapie prion protein-specific mRNA in
scrapie-infected and uninfected brain. Nature, 315; 331-333, 1985.
スクレイピー・プリオン蛋白のアミノ酸シークエンスよりオリゴヌクレオタイドプローべを作成し、スクレイピー感染脳のcDNAライブラリーよりプリオン蛋白のcDNAをクローニングし、プリオン蛋白の塩基配列を決定。プリオンのmRNAは感染、非感染に関係なく脳に発現。プリオン蛋白は正常組織にも発現している蛋白であると報告。
Oesch, B, Westaway, D, Walchli, M,
McKinley, MP, Kent, SBH, Aebersold, R, Barry, RA, Tempst, P, Teplow, DB, Hood,
LE, Prusiner, SB, Weissmann, C: A cellular gene encodes scrapie PrP 27-30
protein. Cell, 40; 735-746, 1985.
ハムスター脳からのプリオン蛋白のcDNAのクローニング。プリオン蛋白は正常の組織にも発現している。
Bueler, H, Fischer, F, Lang, Y,
Bluethmann, H, Lipp, H-P, DeArmond, SJ, Prusiner, SB, Aguet, M, Weissmann, C:
Normal development and behaviour of mice lacking the neuronal cell-surface PrP
protein. Nature, 356; 577-582, 1992.
PrP蛋白ノックアウトマウスの作成。特に欠陥症状なし。成長や行動、免疫系も正常。
Bueler, H, Aguzzi, A, Sailer, A,
Greiner, RA, Autenried, P, Aguet, M, Weissmann, C: Mice devoid of PrP are
resistant to scrapie. Cell, 73;
1339-1347, 1993.
プリオン遺伝子ノックアウトマウスはマウススクレイピーを脳内に接種しても感染しない。そのマウスにハムスターのプリオン遺伝子を発現させたトランスジェニックマウスにハムスターのプリオンを接種すると感染性を示すようになる。ノックアウトマウスにマウススクレイピーを接種してもプリオンに対する抗体は産生されない。
Prusiner, SB, Groth, D, Serban, A,
Koehler, R, Foster, D, Torchia, M, Burton, D, Yang, SL, DeArmond, SJ: Ablation
of the prion protein (PrP) gene in mice prevents scrapie and facilitates
production of anti-PrP antibodies. Proc Natl Acad Sci, USA, 90; 10608-10612,
1993.
マウスのプリオン遺伝子をノックアウトしておくとマウスプリオン蛋白を脳内に接種しても発病しないし組織にもアミロイド沈着しない。またノックアウトマウスにマウスプリオン蛋白を投与するとマウス、ハムスター、ヒトのプリオンに反応する抗プリオン抗体が産生される。
Collinge, J, Sidle, KCL, Meads, J,
Ironside, J, Hill, AF: Molecular analysis of prion strain variation and the
aetiology of 'new variant' CJD. Nature, 383; 685-690, 1996.
CJDとnvCJDで異常プリオンの構造、性質が異なるか否かを生化学的に解析している。異常プリオンを電気泳動パターンし、易動度および糖鎖の結合具合などを検討するとnvCJDの異常プリオンは他のCJDと異なっており鑑別可能と報告している。BSEをマウスに接種したばあいの異常プリオンはnvCJDに一致しておりnvCJDはBSE由来とするのが妥当であると結論している。
Riek, R, Hornemann, S, Wider, G,
Billeter, M, Glockshuber, R, Wuthrich, K: NMR structure of the mouse prion
protein domain PrP(121-231). Nature,
382; 180-182, 1996.
プリオン蛋白のNMRによる立体構造解析。3つのαヘリックスと2つのβシートをもっている。
Korth, C, Stierli, B, Streit, P, Moser,
M, Schaller, O, Fischer, R, Schulz-Schaeffer, W, Kretzschmar, H, Raeber, A,
Braun, U, Ehrensperger, F, Hornemann, S, Glockshuber, R, Riek, R, Billeter, M,
Wuthrich, K, Oesch, B: Prion (PrPsc)-specific epitope defined by a
monoclonal antibody. Nature, 390; 74-77, 1997.
異常プリオンに対するモノクローナル抗体(15B3)の作製。正常のプリオンとは反応しない。この抗体は異常プリオンの3箇所と反応性があり立体構造を認識していると思われる。
Ma, J, Lindquist, S: Conversion of PrP
to a self-perpetuating PrPSc-like conformation in the cytosol. Science,
298; 1785-1788, 2002.
PrPScが産生される機序について検討。Endoplasmic reticulumで産生された蛋白がfoldingされるときにmisfoldingされた蛋白は細胞質へ放出されproteosomeで分解されるが異常プリオン蛋白は分解されず蓄積する。
4. 血液・血液分画製剤・リンパ節中のプリオン
Kuroda, Y, Gibbs, Jr, CJ, Amyx, HL,
Gajdusek, DC: Creutzfeldt-Jakob disease in mice: persistent viremia and
prefered replication of virus in low-density lymphocytes. Infect Immunity, 41;
154-161, 1983.
CJDを感染させたマウスにおいて脳および脾臓が最も感染性が高い。脾細胞では低比重のリンパ球分画が最も感染性が高い。
Ludlam, CA: New-variant
Creutzfeldt-Jakob disease and treatment of haemophilia. Lancet, 350; 1704, 1997.
血友病Aの患者の治療はリコンビナントVIII因子製剤を使用すべきである。特に牛のアルブミンなどを使用していないものを使うべきである。リコンビナント製剤がない凝固因子製剤の場合はイギリスで採取された血漿を用いてはならない。
Hilton, DA, Fathers, E, Edwards, P,
Ironside, JW, Zajicek, J: Prion immunoreactivity in appendix before clinical
onset of variant Creutzfeldt-Jakob disease. Lancet, 352; 703-704, 1998.
nvCJD発症8ヵ月前に虫垂切除。虫垂組織に既にプリオンの蓄積あったという症例報告。発症前に既にリンパ組織にプリオンが蓄積していることを証明したもの。プリオンはリンパ濾胞の樹状細胞に蓄積していた。
Brown, P, Rohwer, RG, Dunstan, BC, MacAuley,
C, Gajdusek, DC, Drohan, WN: The distribution of infectivity in blood
components and plasma derivatives in experimental models of transmissible
spongiform encephalopathy. Transfusion, 38; 810-816, 1998.
血液を分画し、どの分画にCJDの感染性があるか検討したもの。バフィーコートの他に血漿部分、コーン分画のI〜IIIにも感染性があることを証明。
Brown, P: Donor pool size and the risk
of blood-borne Creutzfeldt-Jakob disease. Transfusion, 38; 312-315, 1998.
血漿分画製剤にCJD患者の血液が混入する率はCJD患者の罹患率や潜伏期の患者数などは計算可能であるがどの程度の感染因子が輸血されると発症するか、脳内接種ではなく血管への注入で発症するかなどのデータがないので現在のところ危険性について正確には言及できないとのコメント
Brown, P, Cervenakova, L, McShane, LM,
Barber, P, Rubenstein, R, Drohan, WN: Further studies of blood infectivity in
an experimental model of transmissible spongiform encephalopathy, with an
explanation of why blood components do not transmit Creutzfeldt-Jakob disease
in humans. Transfusion, 39; 1169-1178, 1999.
CJDの患者さんからの血液製剤を輸血してもCJDに感染したとの報告がない理由にていて実験的に検討した論文である。モデルマウスを用い、発症前のマウスの脳の接種と発症後のマウスの脳の接種では発症前の脳は感染性が非常に低いことを認めている。また、血漿蛋白をフラクショネーションしていくに従い感染性は著明に低下することも一因としている。また感染性物質の血管内投与は脳内接種に比べて感染性は7分の1に低下するとしている。血漿を白血球除去フィルターにより白血球を除いても効果はない、超遠心しても効果なしとしている。以上のデータより血液分画製剤ではCJD感染は起こりにくいとしている。
MacGregor, I, Hope, J, Barnard, G,
Kirby, L, Drummond, O, Pepper, D, Hornsey, V, Barclay, R, Bessos, H, Turner, M,
Prowse, C: Application of a time-resolved fluoroimmunoassay for the analysis of
normal prion protein in human blood and its components. Vox Sang, 77; 88-96, 1999.
血液中のプリオンの分布を検討したデータ。血漿中に70%、血小板に26%、白血球に3%、赤血球に2%のプリオンが分布している。正常のプリオン蛋白と異常プリオンは区別していない。しかしproteinase Kで処理すると消失するので大部分は正常プリオンだろとしている。
Barclay, GR, Hope, J, Birkett, CR,
Turner, ML: Distribution of cell-associated prion protein in normal adult blood
determined by flow cytometry. Br J Haematol, 107; 804-814, 1999.
血液細胞表面のプリオン蛋白の量をフローサイトメトリーで測定。大半は血小板に存在(96%)。その他では単核球に3%存在。血小板には1400分子発現、活性化血小板では4800分子発現、単核球では3000-4000分子発現。
Ironside, JW, Hilton, DA, Ghani, A,
Johnston, NJ, Conyers, L, McCardle, LM, Best, D: Retrospective study of
prion-protein accumulation in tonsil and appendix tissues. Lancet, 355;
1693-1694, 2000.
4166症例の切除された虫垂あるいは扁桃を用いて異常プリオン蛋白の検出を試みたが、全例陰性であった。そのため、英国において将来どの程度nvCJDが発症するか予測はできなかったとの報告。検討した症例数が少なかったためnvCJDの潜伏期の症例を見つけることができなかったとしている。
Holada, K, Vostal, JG: Different levels
of prion protein (PrPc) expression on hamster, mouse and human blood cells. Br
J Haematol, 110; 472-480, 2000.
種により血液細胞でのプリオン蛋白の発現率は異なる。人では血小板、単球、リンパ球に強く発現しているがマウスやハムスターでは殆ど発現していないので感染実験をする場合、考慮する必要がある。
Simak, J, Holada, K, D'Agnillo, F, Janota, J, Vostal, JG: Cellular
prion protein is expressed on endothelial cells and is released during
apoptosis on membrane microparticles found in human plasma. Transfusion, 42;
334-342, 2002.
血管内皮細胞表面にプリオン蛋白が発現している。アポトーシス誘導によりマイクロパーティクルを放出するがそのマイクロパーティクル表面にプリオン蛋白がある。血漿中に存在するプリオン蛋白の一部は血管内皮細胞由来のマイクロパーティクルではないかとの報告。
Holada, K, Vostal, JG, Theisen, PW,
MacAuley, C, Gregori, L, Rohwer, RG: Scrapie infectivity in hamster blood is
not associated with platelets. J Virol, 76; 4649-4650, 2002.
スクレイピー因子を感染させたハムスターの血液を採取し、血小板と単核球で感染性を比較。単核球の方が感染性が高いと報告。
Barclay, GR, Houston, EF, Halliday, SI,
Farquhar, CF, Turner, ML: Comparative analysis of normal prion protein
expression on human, rodent, and ruminant blood cells by using a panel of prion
antibodies. Transfusion, 42; 517-526, 2002.
プリオン蛋白に対する各種モノクローナル抗体を用いてヒト血液細胞での発現の程度と各種動物の血液細胞での発現の程度を検討したもの。ヒトのプリオンに対するモノクローナル抗体は動物の血液細胞とは殆ど反応しない。
Starke, R, Drummond, O, MacGregor, I,
Biggerstaff, J, Gale, R, Camilleri, R, Mackie, I, Machin, S, Harrison, P: The
expression of prion protein by endothelial cells: a source of the plasma form
of prion protein? Brit J Haematol, 119; 863-873, 2002.
血管内皮細胞にもプリオン蛋白(PrPc)が発現している。内皮細胞を活性化してもプリオン蛋白は細胞表面に増加しない。超遠心にてマイクロパーティクルを除去しても血漿中のプリオン蛋白量は減少しない。内皮細胞を培養していると培養液中のプリオン蛋白量は増加する。
Herzog, C, Sales, N, Etchegaray, N, Charbonnier,
A, Freire, S, Dormont, D, Deslys, J-P, Lasmezas, CI: Tissue distribution of
bovine spongiform encephalopathy agent in primates after intravenous or oral
infection. Lancet, 363; 422-428, 2004.
BSE脳を静注あるいは経口投与した時の組織分布を検討。リンパ組織以外に消化管にも集積する。
5. vCJD
Will, RG, Ironside, JW, Zeidler, M,
Cousens, SN, Estibeiro, K, Alperovitch, A, Poser, S, Pocchiari, M, Hofman, A,
Smith, PG: A new variant of Creutzfeldt-Jakob disease in the UK. Lancet, 347; 921-925, 19996.
nvCJDの10例の症例報告。発症年齢が若くて、死亡までの罹病期間が長い、神経病理学的所見は従来のCJDと異なる、CJDに特有のEEG所見がない、などの特徴をもった10症例を報告。これらの症例はBSEに関係しているかもしれないので今後の症例の集積が必要と結論。
Bruce, ME, Will, RG, Ironside, JW,
McConnell, I, Drummond, D, Suttie, S, McCardle, L, Chree, A, Hope, J, Birkett,
C, Cousens, S, Fraser, H, Bostock, CJ: Transmissions to mice indicate that 'new
variant' CJD is caused b the BSE agent.
Nature, 389; 498-501, 1997.
spCJDとnvCJDをマウス脳に接種すると発症までの期間、海綿状脳症の部位、生存期間が両者で異なる。vCJDはBSEをマウス脳に感染させた時の臨床症状に一致している。故にnvCJDはBSEよりヒトに感染したものである。
Hill, AF, Desbruslais, M, Joiner, S,
Sidle, KC, Gowland, I, Collinge, J: The same prion strain causes vCJD and BSE. Nature,
389; 448-450, 1997.
CJDのプリオンは感染に対して種特異性があるがvCJDやBSEのプリオンは種特異性がないことを証明し、vCJDとBSEは性質が似ていることを証明し、vCJDはBSE由来であることを強く示唆するデータであるとしている。ヒトのプリオン蛋白を発現させたトランスゲニックマウスを用い、CJDやvCJD、BSEを感染させ、潜伏期間、発症率などを比較している。vCJDとBSEは野生のマウスにおいても高率に発症するがCJDプリオンはトランスゲニックマウスではほぼすべて発症するが野生マウスでは殆ど発症しない。
Scott, MR, Will, R, Ironside, J, Nguyen,
HB, Tremlay, P, DeArmond, SJ, Prusiner, SB: Compekking transgenic evidence for
transmission of bovine spongiform encephalopathy prions to humans.
牛のプリオンを発現させたトランスジェニックマウスにBSE,スクレイピー、vCJDの脳を接種し感染実験。BSEとvCJDは潜伏期間、病理所見など一致。スクレイピーや散発性CJDの所見は異なる。vCJDはBSE由来である。また牛プリオンを発現させたトランスジェニックマウスはBSE感染のよいモデルだと。
Houston, F, Foster, JD, Chong, A,
Hunter, N, Bostock, CJ: Transmission of BSE by blood transfusion in sheep. Lancet,
356; 999-1000, 2000.
羊にBSE感染牛の肉を経口投与しBSEを感染させ、その羊の血液を他の羊に輸血したところ19匹中1匹でBSEが発症したと。他の18匹は今のところ発症していないが現在も観察中であるとの報告。
Wadsworth, JDF, Joiner, S, Hill, AF,
Campbell, TA, Desbruslais, M, Luthert, PJ, Collinge, J: Tissue distribution of
protease resistant prion protein in variant Creutzfeldt-Jakob disease using a
highly sensitive immunoblotting assay.
Lancet, 358; 171-180, 2001.
異常プリオンを高感度に検出するイムノブロット法を開発し、異常プリオンの組織分布をvCJD患者で検査。脳以外では扁桃、脾臓、リンパ節で高濃度に検出。その他、網膜や視神経にも異常プリオン集積。バフィーコートには検出されず。
Bruce, ME, McConnell, I, Will, RG,
Ironside, JW: Detection of variant Creutzfeldt-Jakob disease infectivity in
extraneural tissues. Lancet, 358;
208-209, 2001.
vCJD患者の脳、脾臓、扁桃、バフィーコート、血漿をマウス脳に接種し感染するか検討。脳や脾臓、扁桃は感染するがバフィーコート、血漿では感染しなかったと報告。
6. 診断・検査
Hill, AF, Zeidler, M, Ironside, J,
Collinge, J: Diagnosis of new variant Creutzfeldt-Jakob disease by tonsil
biopsy. Lancet, 349; 99-100, 1997.
CJDやnvCJDを生前に診断する際には脳の生検が行われているが危険性を伴う検査である。脳の生検に代えて扁桃の生検で診断可能であるとの報告。異常プリオン蛋白はリンパ組織に早期から蓄積していることが分かっているので病気の早期でも扁桃の生検で診断できるとしている。扁桃組織をプリオンに対するモノクローナル抗体で染める、あるいは組織を電気泳動、ブロット後モノクローナル抗体で染めるなどして容易に診断できるとしている。
Volkel, D., Zimmermann, K., Zerr, I.,
Linder, T., Bodemer, M.., Poser, S., Schwarz, H.P.: C-reactive protein and
IL-6: new marker proteins for the diagnosis of CJD in plasma? Transfusion, 41;
1509-1514, 2001.
CJD診断のための検査としてCRP、IL-6が有用か検討。CRPとIL-6はneuron-specific enolase (NSE)やS-100 protein、PrPcと同じくCJDで高率に陽性。CRPで78.3%、IL-6で73.3%。これら5つの検査がすべて陽性のCJD症例は24%と低値。
Shaked, GM, Shaked, Y, Kariv-Inbal, Z,
Halimi, M, Avraham, I, Gabizon, R: A protease-resistant prion protein isoform
is present in urine of animals and humans affected with prion diseases. J Biol
Chemist, 34; 31479-31482, 2001.
プリオン病に罹患している動物や人の尿に異常プリオンが検出される。尿中の異常プリオンはプリオン病発症前から検出される。罹患動物の尿を実験動物脳に接種しても感染は成立しない。プリオン病の診断に有用だと報告。
Saborio, GP, Permanne, B, Soto, C:
Sensitive detection of pathological prion protein by cyclic amplification of
protein misfolding. Nature, 411; 810-813, 2001.
微量の異常プリオンを増幅するシステムの開発。核酸のPCRに相当。プリオン病の診断に有効。
7. 治療
Sethi, S, Lipford, G, Wagner, H,
Kretzschmar, H: Postexposure prophylaxis against prion disease with a
stimulator of innate immunity. Lancet, 360; 229-230, 2002.
プリオンに感染後、CpGオリゴデオキシヌクレオタイドを投与すると免疫系が活性化しプリオン病の発症を予防しうる。マウスにおける実験。
White, AR, Enever, P, Tayebi, M,
Mushens, R, Linehan, J, Brandner, S, Anstee, D, Collinge, J, Hawke, S:
Monoclonal antibodies inhibit prion replication and delay the development of
prion disease. Nature, 422; 80-82, 2003.
マウスのプリオン病モデルにプリオン蛋白に対するモノクローナル抗体を投与、発症を抑えられると。
総説
Prusiner, SB: Novel proteinaceous
infectious particles cause scrapie. Science, 216; 136-144, 1982.
スクレイピー・エージェントに関するレビュー。たんぱく質らしいと推論。
Brown, P.: Can Creutzfeldt-Jakob disease
be transmitted by transfusion?
Curr Opin Hematol, 2; 472-477, 1995.
輸血によりCJDが感染するかのレビュー。スクレイピーの血液接種実験やCJDの血液接種実験および疫学的検討の成績をレビューしている。
Horwich, AL, Weissman, JS: Deadly
conformations-Protein misfolding in prion disease. Cell, 89; 499-510, 1997.
プリオン蛋白に関するレビュー。CJDの説明、病原物質はプリオン蛋白であること、正常のプリオン蛋白が異常プリオンに構造変化すること、構造変化の機序、種特異性について、試験管内での構造変化実験について、構造変化の理論について、プリオンの種発現の機序について、生体内での構造変化について、プリオン蛋白の構造について、プリオン病発症の機序について、などについてレビューしている。
Turner, ML, Ironside, JW: New-variant
Creutzfeldt-Jakob disease: the risk of transmission by blood transfusion. Blood Rev, 12; 255-268, 1998.
輸血によりCJDやnvCJDが感染するかを論じたレビュー。動物実験による接種実験のデータや病原因子としてのプリオンの分子生物学的な特徴について詳述している。その他、感染を防止する方法についても紹介している。
Will, RG, et al.: Creutzfeldt-Jakob
disease and the risk from blood or blood products. Vox Sang, 75; 178-180, 1998.
輸血によりCJDやnvCJDが感染するかをレビューした文献。実験的な接種のデータやCJDを発症した患者の発症前の献血による受血者のCJD発症の問題などについて論じている。
Johnson, RT, Gibbs, Jr, CJ:
Creutzfeldt-Jakob disease and related transmissible spongiform
encephalopathies. N Engl J Med, 339; 1994-2004.
CJDとnvCJDに関するレビュー。各種の伝染性スポンジ状脳症の説明、プリオン、病因について解説している。またヒトのCJDについて疫学、臨床症状、検査成績、病理所見、鑑別診断、感染の危険性について論じている。各種の医原性のCJDや遺伝性のCJDについても概説し、BSEとnvCJDの関係について言及している。
Murphy, M: New variant Creutzfeldt-Jakob
disease (nvCJD): the risk of transmission by blood transfusion and the
potential benefit of leukocyte-reduction of blood components. Transf Med Rev,
13; 75-83, 1999.
CJDやnvCJDが輸血により感染するかを論じたレビュー。nvCJDにおける感染因子、ヒトにおける伝染性スポンジ状脳症の種類、CJDやnvCJDが輸血により感染するか、いかにして輸血により感染するか、輸血による感染を最小限にする方法があるか、保存前白血球除去は有効か、コストはどれくらいか、ヨーロッパにおける保存前白血球除去の動き、この分野でどのよな研究が今後必要か、ヨーロッパ以外の国でも保存前白血球除去は必要か、などについて論じている。
Colling, J: Variant Creutzfeldt-Jakob
disease. Lancet, 354; 317-323,
1999.
vCJDのレビュー。vCJDがBSE由来であること、プリオン病は種特異性があること、などをレビューしている。
Vamvakas, EC: Risk of transmission of
Creutzfeldt-Jakob disease by transfusion of blood, plasma, and plasma derivatives. J Clin Apheresis, 14; 135-143, 1999.
輸血によりCJDが感染するかにつていレビューした文献。輸血により理論的にはCJDは感染しうるとのデータは動物実験により得られている。しかし、ヒトにおいて輸血により感染したとする確たる証拠はないと論じている。同様に血漿成分、血漿分画製剤においても実験的には感染させうるがヒトにおいて感染したという事実はないとしている。各種疫学データの問題点などを詳細に解析している。
Turner, M: The impact of new-variant
Creutzfeldt-Jakob disease on blood transfusion practice. Br J Haematol, 106;
842-850, 1999.
輸血によりCJDやnvCJDが感染するかのレビュー。感染経路の紹介、輸血によって感染するかの論文紹介、感染を防ぐ方法などについて紹介している。
Budka, H: Prions and transfusion
medicine. Vox Sang, 78 (suppl 2); 231-238, 2000.
輸血によりCJDやnvCJDが感染するかのレビュー。血液による感染実験の成績、CJDの感染因子の知見、CJDと輸血に関する疫学的データ、プリオンの検査の現況、レシピエント側の疾患感受性因子、血液製剤分画による感染性の変化、献血者の制限方法、などについて論じている。
Brown, P: Creutzfeldt-Jakob disease:
Blood infectivity and screening tests.
Sem Hematol, 38: 2-6, 2001.
CJDが輸血によって伝染するかについてのレビューした文献である。動物実験での血液による感染実験から感染に必要なプリオンの濃度を推定している。それによると計算上10pg/mlとなるが現在開発されている検査法では感度が低く10pg/mlレベルのプリオンは検出できない。著者は近いうちに十分な感度をもった検査法が確立し、ハイリスクの血液に関してスクリーニングできる時代がくるだろうとしている。
Turner, ML: Variant Creutzfeldt-Jakob
disease and blood transfusion. Curr Opin Hematol, 8; 372-379, 2001.
CJD、nvCJDと輸血に関するレビュー。輸血による感染の可能性、nvCJDの発症前の患者が献血する確率、輸血による感染を防ぐ手段、CJD診断法の現況、血液分画製剤での感染の可能性、などについて言及している。
Roos, RP: Controlling new prion
diseases. N Engl J Med, 344; 1548-1551, 2001.
CJD、プリオンに対するコメント。
村井弘之:クロイツフェルト・ヤコブ病の現状。日輸血会誌、47: 363-368, 2001.
ヒト・プリオン病研究の歴史からプリオン病の分類、臨床症状についてレビューした文献である。各種CJDの原因、症状などが分かりやすく、かつ詳細に記載されている。最後にCJD発症のメカニズム、日本におけるCJDの現状と対策について言及されている。
堀内基広:動物のプリオン病。ウイルス、51; 145-150, 2001
動物のプリオン病の種類、原因、感染経路および病原体の分布、プリオン侵入後の体内伝播形式、羊プリオンとBSEプリオンの違い、プリオン遺伝子の多型とスクレイピー感染抵抗性、日本におけるBSEの発生とBSEスクリーニング検査の現状について紹介している。
古川ひさ子、堂浦克美:ヒト・プリオン病の最近の話題。ウイルス、51; 151-158, 2001.
プリオン病の総説。プリオン病の臨床所見、病理所見、診断のための検査法、治療法などにつて言及している。
桜井総子、戸田宏幸、岸田日帯、ハ谷如美、黒岩義之、金子清俊:プリオン蛋白の代謝と二次構造変換。ウイルス、51; 159-162, 2001.
プリオン蛋白についての概説。正常プリオン蛋白の代謝および異常プリオンへの変換メカニズムについて考察し、正常プリオン蛋白の分解酵素および異常プリオンへの変換を引き起こす因子についての知見を紹介している。
Cervenakova, L, Brown, P, Hammond, DJ,
Lee, CA, Saenko, EL: Factor VIII and transmissible spongiform encephalopathy:
the case for safety. Haemophilia, 8; 63-75, 2002.
血友病AとTSEに関するレビュー。血友病治療における補充療法の意義、TSEやプリオン病の概念、TSEの病因としてのプリオン、血液の感染性、血液を用いての実験的な感染実験、輸血とCJD発症に関する疫学的な知見、CJD診断のための検査法、血液分画製剤製造工程によるプリオン除去効率について各種知見を紹介している。
倉田義之:輸血によってCreutzfeldt-Jakob病は感染するか?別冊・医学のあゆみ、輸血の現状と課題。p220-224, 2002.
Creutzfeldt-Jakob病の概説、臓器・組織の感染性、血液中でのプリオン蛋白の分布、疫学的データ、vCJDの出現などについて紹介している。
Dodd, RY, Busch, MP: Animal models of
bovine spongiform encephalopathy and vCJD infectivity in blood: two swallows do
not a summer make. Transfusion, 42; 509-512, 2002.
輸血によってvCJDが感染するかに関しての編集者のコメント。
日本医学会 第121回日本医学会シンポジウム講演要旨:プリオン病。日本医師会雑誌、129; 1470-1477, 2003.
プリオン病の臨床、医原性CJDと変異型CJD、プリオン病の画像診断、プリオン病の病理ー変異型Creutzfeldt-Jakob病を含めてー、正常プリオン蛋白の機能、プリオン蛋白の構造と病原性、プリオン類似分子ーDoppelー、新しいプリオン関連因子、防御型プリオンと抗体療法、キナクリンによるプリオン病治療、ヒト・プリオンバイオアッセイ法の新展開、PrPSc特異抗体の開発、についての抄録が載っている。
Burthem, J, Roberts, DJ: The
pathophysiology of variant Creutzfeldt-Jakob disease: The hypotheses behind
concerns for blood components and products. Br J Haematol, 122; 3-9, 2003.
vCJDが輸血によって感染するかについてのレビュー。
単行本
リチャード・W・レーシー:狂牛病。イギリスにおける歴史。渕脇耕一訳、緑風出版、1998。
イギリスにおける狂牛病発症状況、政府がとっている防止対策などについて解説した書物。筆者はリーヅ大学の微生物学の教授で政府の政策に批判的な立場をとっており、その意見を出版したもの。
リチャード・ローズ:死の病原体 プリオン。桃井健司、網屋慎哉訳、草思社、1998年。
狂牛病を初めとする羊のスクレイピー、ヒトのCJD、クールー病などの研究の歴史を物語風に紹介している。1996年までの知見がまとめられている。
ホームページ
http://www.cjd.ed.ac.uk
英国のCJDサーベイランス・ユニットのホームページ。英国における発症者数やCJDに関する研究の現状、治療法などが紹介されているページ。またCJDに関連するリンクも紹介されている。
http://square.umin.ac.jp/massie-tmd/bse.html
狂牛病について解説した国立犀潟病院臨床研究部の池田正行先生のホームページ。狂牛病について一般の人向けに発信されたもの。牛肉を食べた場合のリスクなどについて記載されている。
http://www.ncnp.go.jp/nin/guide/r7
WHOの伝染性スポンジ状脳症に対する感染防止のガイドラインを示したホームページ。国立精神・神経センター神経研究所 疾病研究第七部の先生方が日本語に訳されたページ。患者さんに対するケアー、職業性の外傷に対する注意、検査室での注意、汚染除去の手順、廃棄物処理、剖検時の注意、汚染除去法などが記載されている。