
ときが移っても、場所が移っても、変わってはならないものがあります。それは、ひとがひとを助け合うということです。他人の痛みや不安を感じ、相手を思いやりやさしくいたわるという感情です。ひととひとは支えあって人となり、人間として生きることができるのです。このことが看護の原点だと考えています。このやさしさを看護という形にかえるには、すなおで、かしこい自己、そして、万象から常に学ぶ謙虚さを持たねばなりません。

大阪大学医学部附属病院は、緒方洪庵の適塾を源流に、明治2(1869)年文部省直轄大坂病院として設置され、一世紀を超える長い歴史があります。緒方洪庵は、「人の為に生活して己のために生活せざるを医業の本体とす」と書に著しています。
これを看護にあてはめると、自己中心の見方や考え方で行うのではなく、他者の要求に従った看護を実践するということでしょう。
そしてこれは、看護実践だけではなく、人を育てる教育、さらに新たな看護の探求にもつながる大切な倫理観です。
看護とは、健康を回復し、または保持し、病気や傷を予防しまたは、それを癒そうとする自然の働きに対して、最良の状態に私たち人間を置くことです。今日も臨床現場では、一人ひとりの患者さまの状態や経過に応じ、環境を整え、科学的根拠に基づく看護が提供されています。先進医療を求めて来られた患者さまの生きることを支えること、 それが本院の看護職員の役割です。
患者さまとご家族の方々が人間の“生老病死”という苦難の中にあっても、生きる意味を見出し生きる力を高めることができるよう、また、一人ひとりの看護職員が、看護への熱い思いを実践に昇華することで自己実現を図り、人間としての成長をめざしていけるようにという思いが、私たちがめざしている、“患者さまとともに歩む看護”なのです。





