免疫アレルギー内科TOPページ » 免疫疾患の診療 » 血管性浮腫
皮膚、気道、消化管などに反復する局所的血管性浮腫である。蕁麻疹と異なり境界不明瞭で局所がパンパンに腫れるが、数日で症状が消失するため未診断のまま放置されることもある。しかし、上気道に浮腫が生じると窒息の危険があり、診断は重要である。C1 esterase inhibitor (C1-INH)活性の先天的あるいは後天的な欠損で生じる。診断にはこの疾患を念頭に置き、CH50、C3、C4、C1-INHを測定。さらにC1qを測定することによって遺伝性か後天性か分類を確定する。
遺伝性血管性浮腫では幼少時は無症状か軽度であるが、10代ころから最初の症状が出始める。皮膚深部の浮腫では、圧痕を伴わない境界の不明瞭な浮腫が、顔面(眼瞼、口唇、舌)、四肢、外陰部に出現し、通常2-5日間で自然消失する。熱感、痛み、かゆみは伴わない。誘因として外傷、感染症、医療行為、情緒的ストレス、生理など。誘因不明のこともある。
上気道に浮腫が生じると呼吸困難を生じる。喉頭より上部で浮腫が生じることが多く気管切開をすれば助かるが、未診断だと、窒息死に至ることがある。症状出現から窒息までの時間は20分から14時間と様々である。消化管に浮腫が生じると、悪心、嘔吐、腹痛、腹部圧痛など様々な閉塞症状をきたす。皮膚の局所浮腫症状がなく、消化管症状のみの場合、急性腹症として緊急手術されたり、心身症と誤診されたりする。通常12-24時間で消化器症状は軽快する。
Type 1 HAE (HAEの80-85%) C1-INHの産生低下。通常10代で発症。常染色体優性遺伝。
Type 2 HAE (HAEの15-20% )C1-INHの産生正常だが機能に障害がある。通常10代で発症。常染色体優性遺伝。
Type 3 HAE C4正常C1-INHの産生と機能も正常。女性に多い。2000年に報告。
Type 1 AAE 低悪性度のリンパ増殖性疾患(低悪性度悪性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病、M蛋白血症)に伴う。
Type 2 AAE C1-INHに対する自己抗体の出現。大阪大学免疫アレルギー内科は日本における初めての症例を報告した。
IFN やIL-6などの炎症性サイトカインによって産生誘導されるC1-INHは補体系の因子C1r、C1s、凝固系因子(XIa, XIIa, XIIf)、キニン系(kallikrein)を抑制するが、C1-INHの欠損ではこうした系を介した炎症や血管浮腫を抑制できなくなることによる。
ステロイド、抗ヒスタミン薬、エピネフリンは症状軽減に有効だが、急性発作を抑えるには不十分で、男性ホルモン(danasol,stanozol, methyltestosterone)長期投与により浮腫の発作予防を行うことが必要となる。重症の血管性浮腫発作にはC1-INHの補充(ベリナートP)。
降圧剤(ACE阻害剤、アンギオテンシンII受容体拮抗薬、ペニシリン、アスピリン等のNSAIDs、経口避妊薬(ピル、エストロゲン)、線溶系酵素など。ACE阻害剤による血管性浮腫では喉頭浮腫による窒息死の報告がある。基礎にC1-INHの異常があると症状が重篤になる。原因薬剤の中止とC1-INHの補充(ベリナートP)を検討。
EAE: 好酸球増加に伴う四肢末梢の浮腫。1984年にGleichらにより報告された。反復する好酸球増加、血管性浮腫、蕁麻疹、IgM増加、発熱、臓器浸潤を伴う好酸球増多症と異なり、内臓障害ななく、良好な経過をたどる。NEAE: 日本ではこのタイプが多い。若年女性(20-37歳)に多く、反復しない。少量のステロイドで軽快、自然寛解もある。
** Autoimmune acquired form of angioedema that responded to danazol therapy. Higa S, Hirata H, Minami S, Hashimoto S, Suemura M, Saeki Y, Kawase I, Tanaka T. Intern Med. 41(5):398-402. 2002.