大阪大学医学部 免疫アレルギー内科 免疫疾患の診療

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自己免疫疾患遺伝率

「私の自己免疫疾患は子供に遺伝するでしょうか」

、という質問を外来で受けることがあります。SLEは結婚適齢期の女性に発症することが多く、患者さんの深い悩みのひとつでしょう。今のところ自己免疫疾患は多遺伝子疾患と考えられています。また遺伝因子のみならずタバコ、ウイルス感染、紫外線、放射線などの環境因子が加わって初めて発症すると考えられています。

自己免疫疾患によっては家族内での発症がみられることがあり、遺伝因子の関与を知るため兄弟の発症のしやすさ(兄弟の疾患罹患率/一般人口の疾患罹患率)を調べた報告では、乾癬6倍、関節リウマチ8倍、バセドウ病15倍、1型糖尿病15倍、強直性脊椎炎54倍、多発性硬化症20倍、潰瘍性大腸炎12倍、SLE20倍、クローン病20倍、原発性胆汁性肝硬変100倍、となっています。

また、一般人口での疾患罹患率は、乾癬2.8%、関節リウマチ1.0%、バセドウ病0.5%、1型糖尿病0.4%、強直性脊椎炎0.13%、多発性硬化症0.1%、潰瘍性大腸炎0.1%、SLE0.1%、クローン病0.06%、原発性胆汁性肝硬変0.008%、となっています。

そこで、実際に患者さんの兄弟が疾患にかかる確率は、兄弟の発症のしやすさと一般人口での疾患罹患率との積で得られることになります。つまり、乾癬17%、関節リウマチ8%、バセドウ病7.5%、1型糖尿病6%、強直性脊椎炎7%、多発性硬化症2%、潰瘍性大腸炎1.2%、SLE2%、クローン病1.2%、原発性胆汁性肝硬変0.8%、となります。

人種間の差もありますが、また、親子間の発症率は兄弟間の発症率と同じかやや低いと考えられていますが、とりあえずこの数字を最初の質問に対する説明に使うことができると思います。質問の返答として約2%の確率で子供さんがSLEを発症するかもしれませんと伝えるとき、患者さんにとっては2%を高いと思われるかもしれませんので、慎重に伝えなければなりません。

** Vyse TJ, Todd JA. Genetic analysis of autoimmune disease. Cell. 3;85(3):311-8. 1996 Last update: May 2012
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