血管炎症候群の分類|大阪大学 免疫アレルギー内科

免疫疾患の診療

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2012年 国際Chapel Hillコンセンサス会議による血管炎の改訂命名法

概要

血管炎の名称を定めた1994年Chapel Hill会議を改訂し、各血管炎の名称を適切なものに変更するため2012年に再びChapel Hill会議が開催され、1994年には含まれていなかった血管炎の名称が追加された。本改訂は診断や分類基準を示すものではない。最初に大きく大血管炎、中血管炎、小血管炎に分類したが、これらの血管炎はそれぞれの血管に主病変があるという意味であり、血管炎はどのサイズの血管にも影響が及びうる。


大、中、小血管炎の病変分布。病変には重複がある。3つに主分類されるが、どのサイズの血管に対しても影響を及ぼすことがある。(Jennette JC et al. Arthritis Rheum 2012 より改変)

(1)大血管炎(Large Vessel Vasculitis: LVV)

大動脈とその主要分岐動脈などの大きな動脈に主に病変がある。筋肉、神経、腎臓、皮膚などの臓器内部の血管は大血管に含まない。様々なサイズの動脈も影響を受ける。

(2)中血管炎(Medium Vessel Vasculitis: MVV)

内臓動脈とその分岐である中動脈に主に病変がある。大血管炎より発症が急で壊死を伴いやすい。炎症性動脈瘤や狭窄を伴う。様々なサイズの動脈も侵されうる。

(3)小血管炎(Small Vessel Vasculitis: SVV)

実質内の小動脈、細動脈、毛細血管、細静脈などの小血管に主に病変がある。中動脈や中静脈が侵されることもある。血管壁への免疫複合体の沈着の有無で2つに分類される。

ANCA関連血管炎(ANCA Associated Vasculitis: AAV)

MPO-ANCAやPR3-ANCAと関連した毛細血管、細静脈、細動脈、小動脈などの小血管に主に病変がある壊死性血管炎。免疫複合体の沈着は殆どない。全ての患者がANCA抗体陽性ではなく、PR3(proteinase 3)-ANCA、MPO(myeloperoxidase)-ANCA、ANCA-陰性などとANCA反応性を付記する。

免疫複合体性小血管炎(Immune Complex Small Vessel Vasculitis)

細血管、細静脈、細動脈、小動脈などの主に小血管の血管壁に免疫グロブリンや補体成分の沈着を中等度から著明に伴う血管炎。糸球体腎炎をしばしば伴う。

(4)多彩な血管を侵す血管炎(Variable Vessel Vasculitis: VVV)

大、中、小血管など様々なサイズの血管、あるいは動脈、静脈、毛細血管など様々な血管に病変がある血管炎。

(5)単一臓器での血管炎(Single Organ Vasculitis: SOV)

単一の臓器に生じる様々なサイズの動脈、静脈の血管炎。全身性血管炎が限局的に現れたことを示唆する特徴がない。病変の臓器や血管の種類を名称に含む(例えば、皮膚小血管炎、精巣動脈炎、中枢神経系血管炎など)。血管炎の分布は単一臓器内で単発あるいは多発性(びまん性)である。単一臓器での血管炎と診断された後、他の症状が現れ全身性血管炎の診断に変わることもある。例えば、皮膚動脈炎が後に全身性の結節性多発動脈炎に再診断されるなど。

(6)全身疾患に関連した血管炎(Vasculitis Associated with Systemic Disease)

全身性疾患に伴う血管炎。名称は全身性疾患を特徴付ける語を付ける。

(7)病因が判明している血管炎(Vasculitis Associated with Probable Etiology)

特定の病因と関連する血管炎。名称は病因との関連を特徴付ける語を付ける。


* Jennette JC et al. 2012 revised international Chapel Hill consensus conference nomenclature of vasculitides. Arthritis Rheum 2012
Dec/2012