大阪大学・呼吸器内科(8研)
大阪大学大学院医学系研究科 呼吸器・免疫アレルギー内科学
Dept. of Respiratory Medicine, Allergy and Rheumatic Disease, Graduate School of Medicine, Osaka University.
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アディポネクチンと呼吸器疾患研究グループ
Adiponectin research Adiponectin research | スタッフ | 業績 | 募集
(1)研究背景
慢性閉塞性肺疾患(COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)は喫煙や排気ガスなどの大気汚染が原因となり、肺気腫や慢性気管支炎により引き起こされる肺の生活習慣病とされる(下図)。
2020年には世界における全死因の第3位になることが予想されているが、治療を受けている患者はごくわずかであり今後も患者の増加が予想されている(下図)。またCOPDは心血管疾患や糖尿病や骨粗鬆症などが高率に合併することから全身性疾患とみなされ、それがCOPD患者の予後を悪化させている。しかしCOPD発症メカニズムや全身性疾患をきたすメカニズムなど不明な点も多く、根本的な治療法がないのが現状である。
(2)現在までの成果
我々の研究グループは、脂肪由来の善玉物質であるアディポネクチンAPN(メタボリックシンドロームの鍵分子)がCOPDに対して治療効果を有することを見出した。APNノックアウトマウスを解析したところヒトCOPDに類似した肺病変を呈するだけでなく、このマウスにAPNを投与すると、肺胞構造と呼吸機能の改善を認めた。本研究により、APNノックアウトマウスが新たなCOPDモデル動物として活用できるだけでなく、メタボリック症候群の鍵物質であるAPNが今後COPDの新たな治療ターゲットになる可能性が示唆された。
具体的な結果
APNノックアウトマウスを解析してみると、加齢とともに肺構造の破壊や全身炎症性変化(血中CRP増加)などヒトのCOPD類似の病態を呈することを最新のマウス専用CTや呼吸機能測定器により見出した(左下図)。さらにCOPDの患者では心血管疾患や骨粗鬆症などの併存症が、予後を悪化させていると考えられてきたが、これまでその原因は不明であった。このマウスは高齢になると体重減少や骨粗鬆症を呈することを見出した(左下図)。以上のことはAPNがCOPD発症に関与するだけでなく、併存症の原因にも関与していることが示唆された。さらにAPNノックアウトマウスでは、APNの持つ血管保護作用がなくなるために肺構造が維持できなくなりCOPDに至ることを見出した。最後にAPNノックアウトマウスをAPNで治療することにより、約一月後には肺気腫の進展を著明に抑制した(右下図)。
(3)本研究の意義  〜取り残された生活習慣病 COPDを解く鍵物質発見〜
加齢とともに進行性の肺気腫だけでなく、全身性炎症や併存症である骨粗鬆症、体重減少、筋肉萎縮を合併するAPNノックアウトマウスは全身性疾患としてのCOPDに合致する新たなCOPDモデル動物と考えられる。また心血管疾患や糖尿病などの生活習慣病に血中APN低下が関与することは知られていたが、血中APN低下が肺の生活習慣病とされるCOPD発症にも関わることが初めて示された。このことはAPNがCOPDと併存症を結ぶ鍵である可能性を示唆する。さらに心血管保護作用などの多様な機能をもつAPNは、併存症も含めたCOPDの新たな治療標的となりうる。
現在進行中の研究
APN KOマウスにおけるCOPD発症メカニズムとして、血管内皮細胞の機能異常(アポトーシス)を見出した。しかしAPNの多様な機能や作用メカニズムを考慮すると、COPD発症には他のメカニズム(免疫反応、炎症、血管前駆細胞)の関与も否定できない。今後より詳細なメカニズムの解析を行うとともに、治療応用への可能性を検討する。
  1. COPD発症メカニズムの解明
  2. 炎症制御のメカニズムの解明
  3. 治療応用
  4. ヒトCOPDにおけるAPNの検討
スタッフ Adiponectin research | スタッフ | 業績 | 募集
武田 吉人 助教
鉄本 訓史 大学院生
中西 香織 近畿中央伊丹病院 呼吸器内科
前田 陽平 大学院生
業績 Adiponectin research | スタッフ | 業績 | 募集
英文
  1. Involvement of endothelial apoptosis underlying chronic obstructive pulmonary disease-like phenotype in adiponectin-null mice: implications for therapy. Nakanishi K, Takeda Y, Tetsumoto S, Iwasaki T, Tsujino K, Kuhara H, Jin Y, Nagatomo I, Kida H, Goya S, Kijima T, Maeda N, Funahashi T, Shimomura I, Tachibana I, Kawase I.  Am J Respir Crit Care Med. 2011 May 1;183(9):1164-75.
  2. Adiponectin: A Novel Link Between Adipocytes and COPD. Vitam Horm. 2012;90:419-35 Takeda Y, Nakanishi K, Tachibana I, Kumanogoh A.
和文
  1. 中西香織、武田吉人 アディポネクチンとCOPD. Angiology Frontier vol.11,No3,48-56, 2012.
  2. 武田吉人 アディポネクチンとCOPD. 分子呼吸器病. vol.16,No1,16-20, 2012. 
学会発表
  • 2011年4月 日本呼吸器学会総会
  • 2011年5月 ATS in Denver
広報
COPDの研究成果が朝日新聞・読売新聞を始め全国の各紙に掲載されました。(詳細はこちら
大学院生募集・修士募集 Adiponectin research | スタッフ | 業績 | 募集
我々は肺と脂肪組織には意外なクロストークがあることを見出しました。Adipokinesは今後COPDだけでなく、肺癌を含む様々な呼吸器疾患において注目されると考えています。一緒に研究して下さる方を探しています。大学院生として学位(博士号)を取得することも可能です。学部や大学に関係なく、興味を持たれた方は下記までご連絡お待ちしています。
共同研究募集
我々はAPNと肺の関わりについて共同研究を募集しています。全身性疾患としてのCOPDモデルマウスと考えられるAPN ノックアウトマウスは、治療応用や薬効評価などにも利用可能です。呼吸器疾患に関わらず、私たちの研究に興味を持たれた方は下記までご連絡お待ちしています。
共同研究機関
  • 大阪大学大学院医学系研究科 内分泌代謝内科
  • 大阪大学大学院医学系研究科 保健学科 
  • 製薬会社
  • 関連病院
連絡先
大阪大学大学院医学系研究科 呼吸器・免疫アレルギー内科
武田 吉人
Tel: 06-6879-3833
Fax: 06-6879-3839
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