血液透析を受けられる患者さんへ | 大阪大学腎臓内科

血液透析を受けられる患者さんへ

血液透析が必要な理由

現在、(末期腎不全・急性腎障害)により腎機能が高度(10%以下)に低下しているため、薬剤や食事療法、水分制限などの保存的な対処では、これ以上の治療は困難です。このため、血液透析により、低下した腎機能を代替することが必要です。

血液透析に伴う危険性

血液透析は、血管内の針やカテーテルからポンプを用いて一定の速度で血液を取りだし、透析器(ダイアラーザー)を通して血液浄化と水分除去を行い、再び体内へ血液を戻す治療法です。このように体外で血液を循環させる治療法のため、下記のような危険性があります。

(1) 血圧低下

血液透析中は、血圧が低下しやすくなっています。水分除去による血管内容量の低下が原因であることが多いのですが、自律神経の低下している高齢者や糖尿病の方、また感染症や心不全を合併しているでは、その危険性が高くなります。初期には欠伸(あくび)や倦怠感、嘔気などの症状が現れますので、そのような際は必ずスタッフまでお伝えください。重篤な場合には、著明な血圧低下(ショック状態)となり、治療の追加や変更が必要となることや、透析を中断しなければならなくなる可能性もあります。血圧低下が予測される場合には、事前に血圧を上げる作用のある薬剤を内服していただく、もしくは点滴することもありますが、完全に予防できるものではありません。対処困難な透析困難症に対しては、腹膜透析への移行や透析の中止も含めて検討されることがあります。

このような血圧低下を予防する最も大切なことは、透析間の体重増加をできるだけ少なくすることです。そのため、透析間の食事や水分を、ご自身できっちりと管理する必要があります。透析後もしばらくは血圧が低い状態が続くことがありますので、この際は透析終了後の行動に注意する必要があります。

(2) 出血傾向

外傷の際にかさぶたが形成されるように、体外に出た血液は凝固します。しかし、体外循環中に凝固すれば、透析の継続ができないうえ、失血することとなります。このため、抗凝固剤(血液を固まらないようにする薬剤)が必要となりますが、これによって出血しやすくなることがあります。もちろん、出血性病変を認めているか疑われるような場合、あるいはすでに出血傾向が認められる場合には、この傾向が少ない薬剤を選択します。場合によっては、透析自体を延期することもあります。

(3) アレルギー

使用する透析器や薬剤などに対して、アレルギーが出現することがあります。症状としては、掻痒感・発熱などが一般的ですが、まれに呼吸困難や著明な血圧低下(ショック状態)を来たすことがあります。これを予測することは不可能ですが、アレルギーが疑われた場合、透析器や使用薬剤の変更、回路の洗浄量増加、抗アレルギー剤などで対処します。

(4) 不均衡症候群

透析を始めて間もない時期(透析導入期)は、透析による急激な体内環境の変化に不慣れなために、透析後しばらくしてから頭痛・嘔気などの症状が出現することがあります。これらの症状は、通常2〜3回の透析を経験すれば改善していきますので、それほど心配することはありません。これらの症状を認めた際には、鎮痛薬や吐き気止めで対処しますので、病棟スタッフまでお伝えください。

(5) 出血・空気塞栓症

不用意な体動などで体外循環中に回路が外れると、大量出血や空気塞栓症の原因となります。生命に関わることもあるので、十分に注意するとともに、何か異常に気づいた際にはすぐにお知らせください。

(6) その他

上記以外の理由で、筋痙攣・頭痛・胸痛・背部痛などの症状が認められる場合があります。

また、血管の性状によっては穿刺が困難で、何度か穿刺をやり直さなければならないことがあります。

今後の見通しに関して

(1) 慢性的な腎機能の低下により透析が必要となった場合

血液透析を開始しても腎機能が回復することはなく、維持透析が必要です。残った僅かな腎機能も徐々に失われていき、最終的に無尿となります。その速度は一人ひとり異なりますが、腎機能の低下にあわせて、透析時間や回数の増加が必要です。なお、当院は新規透析導入、あるいは維持透析患者さんの手術や検査のための入院透析を目的としており、通院維持透析は行っていません。したがって、安定して透析を行えることが確認されれば、他の維持透析施設に転医していただくことになります。当院より紹介状をご用意しますが、入院中に転医先を決めていただく必要がありますので、あらかじめご了承ください。

(2) 急激に腎機能が低下している場合

その原因を特定・除去できれば、治療によって腎機能が回復する可能性が見込まれます。この際は透析を離脱することが可能ですが、腎機能が回復せず維持透析が必要となる場合もあります。

維持透析における日常生活の注意点

維持透析患者さんの予後は、医療の進歩によって以前より大きく改善されていますが、それでも腎機能が正常な人と同等ではありません。死亡原因のうち、心血管疾患(心不全・心筋梗塞・狭心症・脳卒中など)が最も多いのが特徴で、全体の約1/3を占めています。これらの疾患を発症した場合、生命に関わるのみならず、その後の生活の質が大きく損なわれてしまいます。

このような心血管疾患の発症・進展を予防するためには、禁煙や肥満の解消、高血圧の是正、糖尿病の管理といった一般的な事項のほかにも、特に透析患者さんが注意しなければならない点がいくつかあります。具体的には、

(1) 十分な透析を受けること

(2) 必要な栄養をしっかりと摂取しつつ、塩分・水分を控えて透析間の体重増加を最低限に留めること

(3) 食事療法と薬剤により、高リン血症を避けること

などが挙げられます。果物や野菜などを過剰摂取すると、高カリウム血症による重篤な不整脈から突然死や急性心不全となってしまう可能性があるので、これまでと同様に十分注意してください。

また、内シャントは生命維持に必要な血液透析を受けるためにある、非常に大切なものです。人工的に作成しているため、常に閉塞の危険があります。なるべく長持ちするように、圧迫して血流を妨げることや傷をつけることは避け、ご自身で聴診や触診を行い、日々異常がないか確認してください。

安定した状態を保つためには、透析間の日常生活や内服を、しっかりと自己管理することが重要です。このためには、ご家族を含めた周囲のご協力も、必要不可欠となります。合併症を可能な限り予防し、生活の質を保っていくために、腎不全と上手に付き合っていきましょう。

 

何かご不明な点等があれば、担当医にお尋ねください。