オートファジーはシスプラチン腎症に対抗する|大阪大学腎臓内科

オートファジーはシスプラチン腎症に対抗する

Am J Pathol 2012; 180: 517-25, PMID 21493778

Autophagy protects the proximal tubule from degeneration and acute ischemic injury.

Kimura T, Takabatake Y, Takahashi A, Kaimori JY, Matsui I, Namba T, Kitamura H, Niimura F, Matsusaka T, Soga T, Rakugi H, Isaka Y.

 

オートファジーは、細胞内の蛋白質やオルガネラなどを処理することによって、細胞内ホメオスターシスを維持する重要な機構です。我々は、加齢や虚血再灌流傷害において、オートファジーが重要な防御機構であることを過去に報告しました(Kimura T et al. J Am Soc Nephrol 2011; 22: 902-913, 解説)。

今回、近位尿細管特異的オートファジー不全マウス(以下、ノックアウトマウス)を用いて、薬剤性腎傷害の中でも重要であるシスプラチン腎症について検討したところ、野生型マウスと比較して、ノックアウトマウスにおいて組織所見・腎機能が有意に増悪しており(図1)、また、その機序として、ノックアウトマウスにおけるDNA損傷(γH2AXを指標とした)・p53活性化・アポトーシスの増加などが原因と考えられました(図2)。

図1 近位尿細管特異的オートファジー不全マウスでは、シスプラチン腎症が増悪している
F/F: 対照マウス, F/F; KAP: 近位尿細管特異的オートファジー不全マウス

図2 近位尿細管特異的オートファジー不全マウスではシスプラチン腎症において、DNA損傷・p53活性化・アポトーシスが増加している
F/F: 対照マウス, F/F; KAP:近位尿細管特異的オートファジー不全マウス

このようにオートファジーはDNA損傷の軽減などを介してシスプラチン腎症に対抗していることが判明しました。今後、オートファジー活性の調整がシスプラチン腎症において新たな治療戦略になる可能性が考えられました。