腎発生時の血管形成の分子機序 | 大阪大学腎臓内科

腎発生時の血管形成の分子機序

J Am Soc Nephrol 2009; 20: 1714-23

The CXCL12 (SDF-1)/CXCR4 axis is essential for the development of renal vasculature.

Takabatake Y, Sugiyama T, Kohara H, Matsusaka T, Kurihara H, Koni PA, Nagasawa Y, Hamano T, Matsui I, Kawada N, Imai E, Nagasawa T, Rakugi H, Isaka Y.

 

 腎臓はご存知のように血管の塊のような臓器です。腎発生時の血管形成機構は昔から発生学の重要な研究対象ですが、十分解明されていません。私たちの研究室ではケモカインSDF-1(CXCL12)が腎発生時に高発現していることを見出し、この分子の腎発生における役割を研究してきました。腎臓の発生過程においてSDF-1とその受容体CXCR4は複雑な発現パターンを示します(図1)。SDF-1はCXCR4を発現している発生初期のネフロンを包むように腎皮質の間葉系細胞に発現します。糸球体では足細胞がSDF-1を発現し、それと寄り添うように血管内皮がCXCR4を発現します。

図1 腎皮質(左)と糸球体(右)におけるSDF-1(緑)とCXCR4(赤)の発現

 

 CXCR4ノックアウトマウスの腎臓を解析したところ、図2のように糸球体の血管形成が異常をきたしており、種々の程度にバルーニングを呈していました。また糸球体以外の血管形成も障害されており、血管径の拡張・狭小化、パターニングの異常をきたしていました。腎傷害後の血管の修復・再生は、腎機能を保持する上で重要であることが示されており、上記のメカニズムの解明はこの血管修復の機構解明の手掛かりになるものと考えています。

図2 CXCR4ノックアウトマウスの糸球体(左)と腎臓全体(右)