研究の紹介|大阪大学腎臓内科

IgA腎症患者の扁桃における遺伝子発現

Biochem Biophys Res Commun 2010; 393: 565-70

Microarray analysis of tonsils in immunoglobulin A nephropathy patients.

Iio K, Nagasawa Y, Iwatani H, Yamamoto R, Horii A, Okuzaki D, Furumatsu Y, Inohara H, Nojima H, Imai E, Isaka Y, Rakugi H.

 

扁桃摘出術はIgA腎症に対して高い治療効果を示す可能性が示唆されていますが、発症・進展に扁桃がどのようにかかわっているのか、その機序は不明です。そこで私たちは、IgA腎症の扁桃に特徴的な遺伝子発現を検討しました。大阪大学医学部付属病院で扁桃摘出術とステロイドパルス療法をうけたIgA腎症患者の扁桃と、扁桃摘出術をうけた慢性扁桃炎患者の扁桃の遺伝子発現を比較しました。その結果、IgA腎症患者の扁桃で扁桃構造に関連する遺伝子と、炎症に関連する遺伝子の発現が上昇していることがわかりました。

 

その中でapolipoprotein B mRNA editing enzyme, catalytic polypeptide-like 2 (APOBEC2)に着目し、real time PCR法で遺伝子発現を確認したところ、IgA腎症患者で有意に高値をとっていることがわかりました。病気のモデルとして研究によく使用されるマウス、ラットには扁桃は存在しません。本研究で、IgA腎症患者の扁桃の遺伝子発現をみた意義は大きいものと考えられます。