大阪大学・浜松医科大学・金沢大学・千葉大学・福井大学 連携融合事業  
センターの目的センター長のごあいさつ部門紹介活動・セミナー「こどもの発育相談」について情報集


■大阪センター
こころのひずみの画像化、病因の解明を通して、「子どものこころのひずみの治療薬の開発をすすめます。」

疾患関連分子解析部門
 本研究部門では、健常なこどものこころの発達に障害を与えている精神疾患の発症メカニズムを解明し、その予防と対策について研究しています。広汎性発達障害、児童期統合失調症、児童期気分障害などの主要な の精神疾患の臨床研究から疾患リスク遺伝子を見出し、脳と心の発達におけるそれらの機能を分子レベルで明らかにし、児童思春期の精神疾患の発症メカニズムを遺伝子・環境の相互作用という観点から解明することを目的としています。
 さらに大阪大学医学部附属病院神経科精神科において、児童思春期専門外来 を行っています。児童思春期外来においては、地域の精神科または心療内科などの専門科からの紹介を受け、詳細な検査を行い、専門的診断及び増悪期の治療を担っています。これらの検査の結果は、児童思春期の精神疾患の発症メカニズムの解明と新たな治療法の開発に役立てています。
 連合小児発達学研究科における子どもの精神疾患のゲノムサンプルなどの生体試料の収集・管理、そして遺伝子解析に関しても担当しています。

 本部門における各プロジェクトに関しましては、以下のスタッフの名前からのリンクをご参照ください。

スタッフ
兼任准教授 工藤 喬
准教授 橋本 亮太
兼任准教授 喜多村 祐里
助 教 三好 耕
助 教 高村 明孝



環境関連分子解析部門
 胎児期から乳幼児期は子どもの発達において極めて重要な時期です。最近の研究では、子どもの発達は遺伝的な要因と環境要因の両方によって左右されることがわかっています。
 ところが、今の世の中が子どものこころが健やかに育つのに良い環境かどうかという点に関しては、多くの方が疑念を抱いておられます。子どもを取り巻く環境はここ数十年で大きく変わりました。東京オリンピック開催の頃には非常な貴重品であったテレビ受信機は、今や一人一台が当たり前になっています。好きな番組は録画して簡単に24時間楽しめるようになりました。ゲーム機器を持っていない子どもを探すのに苦労しますし、子どもは家庭内でゲームを楽しむだけでなく、電車での移動中、病院の待ち時間、または、診察の間もゲーム機を手放しません。子どもたちは深夜であってもインターネットに接続し、多様なコンテンツをブラウズすることができます。これらマルチメディアの発達やゲーム機器の進化とは裏腹に、子どもの戸外での活動は少なくなり、体を使った遊び、想像力を使った遊びは減っているようです。また、当然親子の会話の時間は減っていることでしょう。子どもの生活では昼夜のメリハリが弱まり、睡眠時間も確実に減っています。

 ゲームやテレビ視聴、睡眠時間の短縮、親子関係の希薄化は子どもの発達にどのような影響を与えるのかについて科学的な結論を下すには、長期間にわたって、精密に調査していくことが必要です。多くの方が危惧を感じていますが、現段階では、国策として問題にされるまでデータが十分出揃っているとは言えません。

 私たち環境関連分子解析部門では、発達に問題を抱えた多くのお子さんを詳しく調べていくことにより、環境の発達に及ぼす影響について解析していきます。その目的のために、私たちの部門は、大阪大学医学部附属病院小児科の協力の下、『親と子の発達相談室』、『発達障害パッケージ入院』等により、お子さんの診断名を精密に確定し、各人の特色を評価し、画像診断等の医学的検査を行うとともに、どのように生活を送っているのかを調べています。

 特に我々が重点をおいているのは、以下の2つです。
 1) 子どもの睡眠不足が発達に及ぼす影響について
 我々は人生の3分の1を眠って過ごしており、睡眠は心身のリフレッシュに非常に重要ですが、子どもでは、睡眠は発達にも大きな影響を及ぼすことが示されています。ところが、日本の子どもは、睡眠時間が短いこと、夜更かしが多いことでは世界でもトップクラスです。このことは、今の子どもが成人した時に、どのような影響を日本に与えるのでしょうか?私たちは、良い睡眠、悪い睡眠がどのように発達に影響を与えるのかを、質問票や、睡眠の詳しい検査、発達の検査を組み合わせることにより、調べていきたいと考えています。



  2) 発達障害を引き起こす脳の状態を調べる
  私たちはプロスタグランジンD2という物質が脳における炎症を強くする物質であるということを、色々な疾患で確認しています。自閉症の方の脳を調べると、脳の中で炎症が起こっているという証拠が見つかることがあります。私たちは、広汎性発達障害が起こってくるその途中に炎症が影響を及ぼしているのか、いるとするならば、プロスタグランジンD2が何らかの影響を及ぼしているのかを調べていきます。

スタッフ
兼任教授 谷池雅子
兼任教授 大薗恵一
兼任准教授 毛利育子
兼任講師 下野九理子
兼任助教 富永康仁
特任助教 中西真理子
特任助教 松澤重行
特任助教 岩谷祥子
兼任講師 奥野裕子
特任助教 永谷文代
兼任助教 花家竜三
大学院生 平田郁子
大学院生 桑田綾乃



動物モデル解析部門
 子どものこころの発達は、遺伝的な要因と環境的な要因の両方によって影響を受けているものと考えられています。動物モデル解析部門では、センター内の各部門と協力して、これら遺伝因子あるいは環境因子の候補について、こころの発達にどのように影響するか、動物モデルを用いて研究しています。ヒト疾患のモデルとなる動物は、そのメカニズムや新しい治療方法の研究にたいへん有用であることが知られていることから、動物モデルを作成することも目的の一つです。具体的には、候補となる遺伝因子の機能を変化させた動物を作製し、それが何らかの発達障害に類似した行動を示すか詳しく調べます。さらに、ヒトにおいて治療効果が知られているお薬や、新しい薬の候補をモデル動物に与えた場合に改善効果が認められるか、どのように投与すればその有効性が高まるかなどを研究しています。

これまでに、私たちが進めてきた研究の一部について、以下に紹介します。
 1)ADHD治療薬の作用メカニズムに関する研究

 神経の情報を伝える物質の一つにPACAPという物質があり、私たちはこれが脳に多く発現することから注目し、その働きについてマウスを用いて調べました。その結果、この物質の働きが低下したマウスは多動であり、ある種のADHD治療薬がそれを改善することを見つけました。また、このお薬がどのようなしくみで働くのかはまだ完全には分かっていませんが、私たちは、このマウスにおいては少なくともセロトニンの受容体(細胞の表面で、情報を伝える物質を受け取って、細胞内の様々な機能を変化させるたんぱく質)の一つが重要な働きをしていることを明らかにしました。現在は、そのメカニズムをより詳しく調べる研究を行っています。

 2)動物モデルを用いた遺伝要因と環境要因の相互作用に関する研究
動物モデルを用いた環境要因と遺伝子要因の相互作用 私たちは、生後の発育環境が与える影響を調べるために、動物を幼若期から、輪回し車などを備えた豊かな環境で飼育し、その行動パターンなどがどのように変化するかを解析しています。これまでに、上記のマウスの多動や、いくつかの脳の機能変化が、幼若期に豊かな環境で飼育することによって改善されることが分かってきました。これからは、このような改善効果がどのようなしくみによるのかを調べて行きたいと考えています。そしてこのような研究が、発達障害に関わる未知の因子やその予防法を見つけることにつながればと考えています。

スタッフ
兼任教授 橋本 均
助 教 早田 敦子



地域支援部門

地域支援部門では、本研究センターをはじめとする大学における活動と、地域の自治体や一般の方々との接点となり、センターで得られた研究成果を発信すること、地域の皆様からの要望をセンターの活動に反映させていくことなどを活動の主目的にしております。

これまでに調査研究で得られた最新の専門的な知見は、生活の中で活かされてこそ、はじめて意味あるものとなるでしょう。こうしたことから、広く地域の皆様に知っていただく機会を設けるための取り組みを行っております。また、日頃の生活の中から得られた工夫は各家庭のニーズに沿った貴重な知恵といえます。地域の皆様からお教えいただくこうした知恵とともに、どのようなことが今後必要であるかをご提案いただくことで、よりニーズに沿った活動を行っていくことができます。こうした相互連携を活発に進めるための活動を支援室では支援しています。

これまで、大阪自閉症研究会や大阪小児科学会、大阪小児科医会と協同して研究セミナーを実施し、関係機関の皆様のご参加をいただき知識の共有と蓄積を計ってきましたが、今後もこのような取り組みを続けていきたいと考えております。

ろいろなご意見やご要望をお寄せいただければ幸いです。

特任助教 辰巳愛香
非常勤特任助教 岩谷祥子
特任助教 吉崎亜里香
特任助教 中西真理子


倫理情報管理室
 2005年4月に「発達障害者支援法」が施行され、これまで障害者福祉の対象外とされてきた「発達障害」がようやく「支援」の対象となりました。また文部科学省でも、同じ年の10月、「情動の科学的解明と教育等への応用に関する検討会」において、医学・脳科学的な視点から子どもの「こころの問題」の背景や原因を究明し、それへの具体的な方策を盛り込んだ「報告書」が提出されており、情緒障害や自閉症、アスペルガー障害、注意欠陥/多動性障害(ADHD)などといった「子どもの時期の脳の発達障害」の科学的メカニズムを解析するような、いわゆる「社会的に脆弱」な立場にある小児を被験者として参加させる臨床研究も徐々に始められてきています。「発達障害」を抱える子どもをとりまく環境は、法律の分野だけでなく、医学研究の分野においても大きな変化を遂げつつあると言えるのではないでしょうか。

 しかしながら、残念なことに被験者の人権を保護する法律や公的規制の整備が着々と進められている欧米諸国に比べて、日本国内では、わずかに製薬企業が医薬品の市場販売承認申請に使えるデータを得ることを目的とした臨床試験(すなわち治験)についての基準や、2003年7月に厚生労働省が告示した「臨床研究に関する倫理指針」などがあるだけで、内実ある対応策が検討されているとは到底言えない状況にあります。「子ども」という存在にとくに配慮した被験者保護の指針類などについても、とても充実している状況にあるとは言えません。したがって、本センター内に設置された倫理・情報管理室では、被験者として小児が参加する臨床研究の公正性を既存のガイドラインに沿って確保するという作業だけにとどまらず、さらに一歩すすんで、研究者に対する「被験者保護教育」などの可能性も視野に入れながら、被験者として小児が参加する臨床研究の在り方に関する国内外における最新の研究をもとに、小児被験者保護の在り方などに関して幅広くセンターの外側に向けても問題提起していきたいと考えています。





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