第33回「県民健康調査」検討委員会発言要旨

1.インフォームドコンセントについて、できるだけ被験者に検査に対するネガティブな印象を持たせないような文面にしてほしい、との他の委員の意見に対して

医学調査をする上では被験者の人権と健康を守る必要がある。被験者にとって不利となり得る事項はすべて通知すべきであり、それを避けることは医学倫理上許容できない。

2.学校検診の強制性について

〇調査が被験者に害をもたらす可能性がある場合、ヘルシンキ宣言では強制性の完全な排除が求められる。学校で検査を実施するという事実だけで強い強制性を持つはずである。

〇学校検診が強制力を持つかどうかは、学校検診が何らかの事情、例えば災害や病欠などで受けられず、別の機会に受けた子供の受診率のデータがあれば評価できるはず。是非提示していただきたい。

3.超音波検査が対象者に害をもたらすとは具体的にどういうことか、とする他の委員の意見に応えて

自分のところには最近、超音波検査でたまたま小さい甲状腺癌が発見されてしまった若年者の患者が集まって来るようになった。彼らが口を揃えて言うことが2つある。一つは「診断される前の状態に戻りたい」ということ、もう一つが「自分が結婚することになった時に、自分の病状をパートナーやその親に正しく伝える自信がない」、ということである。また、彼らは自分が癌患者であることを他人に知られることを極度に恐れるため、このような害は表に出にくい。くれぐれも、200人を超える甲状腺癌と診断された若者たちが早期診断されて幸せであった患者であるとは思わないでもらいたい。

4.甲状腺癌のサポート事業において、1次検査を受けているという条件付きで、甲状腺癌の診療が補助されることになった点について

1次検査を受けないと補助が受けられないというシステムは、一次検査に協力しないと甲状腺癌になったとしても補助をださない、ということを意味し、強い強制性を持つのではないか。医学倫理に反していないか。

 

*議論全体を通して、各委員の先生方には医学倫理と甲状腺の過剰診断についてもう少し理解を深めていただきたいと思いました。


大阪大学医学系研究科甲状腺腫瘍研究チーム:ホームへ戻る