ふぁっつ・にゅう

 

          福島の若者の未来を守るためのお願い
  
 
当コーナーでは、福島の甲状腺検診についての我々の研究から得られた知見からの解釈を取り上げていました。しかし、今回高野が福島県の委員に就任しましたので、委員の任期の間はコメントを控えようと考えております。その理由は、元々このHPは、当研究室の研究内容を紹介する目的のものであることと、このコーナーで書いている暇があったら委員会で発言しろよとお叱りを受けるからです。ただし、委員会での発言内容については別途記載していく予定です。最後に下記の3点だけお伝えさせてください。

1.専門家の先生方へ:現在の福島県の状況について問題をご理解されているならば、ご自身で可能な範囲で情報を発信してください。

東日本大震災以降、多くの専門家は酷いバッシングを受け、そのトラウマから抜けきらないまま沈黙を続けています。しかし、福島の若者が危機に直面している今、沈黙を続けるのは罪になると思います。私自身も、「今、これをなんとかしてあげられなかったら、君、存在価値ゼロだよ(( ;∀;))。」と言われています。たとえ小さなことでも、専門家の提供した情報が積みかさなっていけば必ず科学的に正しい方向へ事態は推移していくと思います。

2.福島県民の皆様へ:「甲状腺がんの自然史」「超音波検査の功罪」について勉強してください

科学的に正しい知識を身につけることが家族を守ることになります。最低限の知識は下記に提示しています。「転移をしていても治療をすべきではないがん」とか「過剰診断」とかは、専門家でも戸惑うレベルのいささかとっつきにくい話ですが、これが今、福島で災いをもたらしている諸悪の根源なのです。ご理解された方は是非周りの方々に伝えて知識を広めていってください。

10分でわかる甲状腺がんの自然史と過剰診断

10分でわかる甲状腺超音波検査の危険性

3.すべての方々へ:立場を越えて若者の未来を守ることを最優先としてください。

この問題のやっかいな点は、福島の若者の健康問題が原発等々の政治的な思惑と関連付けられ、色々な方々の利害関係と絡み合ってしまっていることです。外から見ているとまさに魑魅魍魎の跋扈する世界です。しかし、どんな立場の人でも、今福島の若者の未来が脅かされており、彼らをその被害から守らなければならない、という点では一致できると思います。放射線の影響があろうがなかろうが、超音波検査を続ける限り甲状腺癌の過剰診断の被害は拡大を続けます。ご自分の利害は2番手にして若者を守ることを最優先にしてください。また、ここまでこじれてしまった以上、この問題は誰も傷つかずに収束に至るのは無理だと思います。最善のコースを辿ったとしても、関わった全員が少しづつ傷を受けることになるでしょう。その時に是非お願いしたいのは、反省は確かに必要ですが、「あいつが悪かったんだ。」「あいつがあんなことをしたから・・」というような犯人探しはしないでいただきたいということです。医学は不確定な部分が多い学問です。しかも未曽有の混乱の最中にこの検診は始まりました。例えば私と意見が180度違う方々もおられますが、そういう方々もご自身がよかれと思って一生懸命やられているのだと思います。過去を振り返って評価するのは結果論にしかすぎません。恨みの感情は決して事態を好転させず、むしろ傷つく人を増やすだけだと思います。

それでは、2年後に「よかったね。」で再開できることを願って。


大阪大学医学系研究科甲状腺腫瘍研究チーム:ホームへ戻る