研究実績
亜鉛トランスポーターZnt5 (Slc30a5)がアレルギー性接触皮膚炎に関与する事を発見!
亜鉛は、私たち生命の維持に重要な役割を担う必須微量元素です。生体内における亜鉛の恒常性維持は、亜鉛トランスポーターにより厳密に制御されています。亜鉛トランスポーターは現在22種類見つかっており、細胞質における亜鉛濃度を上昇させる方向性の輸送体として14種類のZIP(ZRT, IRT-like Protein)ファミリータンパク質と、逆に細胞内亜鉛濃度を減少させる方向性のトランスポーターとして8種類のZnt(Zinc transporter)ファミリータンパク質があります。
亜鉛欠乏により免疫不全になることは既に知られていました。しかしながら、細胞内亜鉛の恒常性を維持する亜鉛トランスポーターと免疫応答の関係については不明のままでした。当研究室では22種類ある亜鉛トランスポーターのなかで、マスト細胞で高発現しているZnt5がアレルギー性接触皮膚炎(遅延型アレルギー応答)の発症に重要な役割を担っていることを証明いたしました。また、Znt5遺伝子欠損マウスでは炎症の誘発に関与しているサイトカイン産生が低下しており、これらの結果と一致して、Znt5遺伝子欠損マウス由来培養マスト細胞においてもサイトカイン産生が減弱していました。さらに詳細な解析を行ったところ、サイトカイン産生に重要な役割を担っているPKCの膜移行が低下していることを明らかにいたしました。
以上の結果はZnt5が新規のPKCの調節因子であり、また亜鉛トランスポーターがアレルギー性接触皮膚炎の新規治療薬のターゲットになりうることを示唆しています。
Zinc transporter Znt5/Slc30a5 is required for the mast cell-mediated delayed-type allergic reaction but not the immediate-type reaction.
Nishida K*., A. Hasegawa*, S. Nakae, K. Oboki, H. Saito, S. Yamasaki, and T. Hirano. *contributed equally to this paper.
J. Exp. Med. 206:1351-1364 (2009) (PubMed) (JEM in this issue)
