研究テーマ

   

  毎日病理診断をしていれば病気の現場を目にします。腫瘍の診断をする時に、当然真っ先に目がいくのは腫瘍細胞です。ところが、腫瘍細胞のまわりには様々な 炎症細胞や間質の細胞がいます。現場に居るものがすべて病態に関与しているわけではないにせよ、何らかの関与をしている可能性もあります。当教室では、毎 日の診断で目にする病態について、目に見えているものの裏にあるメカニズムを想像し、それを検証していくという研究をしています。当然、想像は単なる想 像、あるいは単なる妄想でしかなかったという結果に終わることも多々あります。しかし、目に見えているものの裏にある機構を空想し、それを検証するプロセ スを何度も繰り返して行けば、そのうちに何か面白いことがあるかもしれません。
 
 現在は、私たちは腫瘍の多様性に興味をもっています。腫瘍は通常集団で存在しており、腫瘍を構成する細胞は一つのクローンです。ところが、 一つのクローンであるにも関わらず、腫瘍細胞おのおのは、異なる性質をもっています。たとえば、一個一個バラバラにしてしまえば、再び腫瘍を形成できる細 胞もいれば、二度と腫瘍を形成できない細胞もいます。ところが、病理診断で目にする腫瘍細胞は、形だけでは再び腫瘍を形成できるようなタチのものかどうか わかりません。そこで、再び腫瘍を形成できるような性質をもつ細胞を可視化することを目的に研究しています。腫瘍を再度形成できる性質をもつ細胞では、ア ルデヒド脱水素酵素の活性が高く、また活性酸素を除去する能力も高いことがわかっています。そのような細胞が、腫瘍のどの部分に存在するか、腫瘍のまわり の間質が、そのような細胞にどのような影響を与えているのか、まだまだ不明な点が多くあります。腫瘍を再度形成できる細胞が多ければ、それだけ腫瘍は再発 や転移しやすいことが想像されます。病理診断をする時に、目の前の腫瘍の未来も予測できるようなことができればいいと考え、私たちは研究を行っています。 もちろん、他のテーマでも何でも、面白そうな研究アイデアは大歓迎です。ぜひ、病気のメカニズムを空想し、それが本当に働いているのか検証していきましょ う。