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臨床研究グループ

人間の脳は百億個以上の神経細胞が複雑なネットワークを構成し、これらの活動が我々の思考や感覚、 運動などの機能を制御しています。パーキンソン病をはじめとする神経変性疾患や脳卒中など神経内科の担当する神経疾患の多くは、このような複雑なネット ワークの破綻に伴って、運動障害や認知機能障害などの様々な障害を引き起こします。これらの症状は要介護の原因になるなど患者さんの日常生活動作 (ADL)を 大きく阻害する点で、臨床的にきわめて重要ですが、現時点では一旦ダメージを受けた中枢神経系の再生は困難で、変性疾患や脳卒中などによる脳損傷に対して 行える治療には限りがあります。
我々は、臨床研究の立場から、脳波・筋電図・運動解析などの生理学的手法や機能的MRI(fMRI)、近赤外分光法(NIRS)などの機能画像的手法と患 者さんの詳細な臨床徴候データを組み合わせて蓄積し、解析を行うことによって、運動制御などに関わる神経基盤に対する理解を深め、神経疾患に伴って引き起 こされる種々の症状がどのような機序によってもたらされているのかを解明していきたいと考えています。また、これらの神経科学的知見に基づき、機能障害改 善につながる脳の可塑的変化を誘導するような新しい治療介入手法の開発・リハビリテーション手法の向上を目指しています。興味のある方はお気軽にご連絡く ださい。

三原 雅史

研究紹介

立位歩行に関わる中枢神経機構の解明

歩行・バランス能力の障害は、パーキンソン病や脳卒中など、様々な神経疾患において、広く認められる障害ですが、これらは転倒のリスクを上昇させた り、介助量増大の原因になったりと、患者さん自身のみならず、ご家族を含めた介護者に対してもADL/QOLの低下をもたらす原因となります。我々は、 fMRIやNIRSなどの機能的脳画像手法や筋電図や運動機能解析などの生理学的解析手法を組み合わせることで、中枢神経における立位歩行の制御機構とそ の障害に関する理解を目指して研究を行っています。
これまでの研究では、健常者における立位バランス維持における大脳皮質の役割を明らかにしたほか、脳卒中患者や変性疾患患者などで大脳皮質特に補足運動野 がバランス障害やその改善と深くかかわっていることを明らかにしてきました。また、運動解析の手法などを用いてすくみ足の病態解明にも取り組んでいます。 今後は、機能画像的な手法と運動解析、臨床徴候などのデータベースを組み合わせることで、パーキンソン病などの神経変性疾患患者さんなどにおける立位歩行 障害の病態生理の解明を進めていきたいと考えています。

ニューロモジュレーション手法を用いた神経疾患に対する新たな治療法の開発

近年、非侵襲的な手法で、中枢神経系の機能を賦活/抑制するニューロモジュレーションと呼ばれる技術が注目を集めています。ニューロモジュレーショ ン技術としては、反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)、経頭蓋直流電気刺激法(tDCS)などの脳刺激技術がよく知られています。その他、外的な刺激を用いな いニューロモジュレーション手法として、機能的脳画像技術を用いてリアルタイムでの脳活動を被験者に提示することで、随意的に脳活動を制御するニューロ フィードバックと呼ばれる方法も知られており、近年応用が盛んに行われています。(図1)
我々は、NIRSの脳活動測定技術を応用することで、世界に先駆けて、NIRSを用いたニューロフィードバック技術を開発し、その効果を報告しています。 この技術を用いることで、発症後3か月以降の脳卒中後片麻痺患者に対するリハビリテーション効果を高め、片麻痺の回復を促進する効果があることも報告して おり、新たなリハビリテーション介入の方法として注目を集めています。現在はパーキンソン病などの脳卒中以外の神経疾患での応用に向けて、関連病院などと 共同で研究を進めています。
また、我々は脳神経外科と共同でrTMSを用いた治療的介入も行っており、パーキンソン病に対して刺激部位別にrTMSの効果が異なるかどうかを検討して います。現在は脳神経外科を含めた共同研究の一環として、在宅でのrTMS療法を可能にする治療機器開発にも関わっています。また、rTMSを用いた治療 研究としては、パーキンソン病以外にも、音楽家などでの職業性ジストニアと呼ばれる疾患に対する治療介入についても検討を行う予定で準備を進めています。

メンバー紹介

  • 小仲 邦 特任助教 平成7年卒 和歌山医大
  • 市立泉佐野病院、国立循環器病センターで勤務
    医学博士、認定内科医、神経内科専門医・指導医、脳卒中専門医
  • 乙宗 宏範 大学院生 平成21年卒 大阪大学
  • 平成28年現在、森ノ宮病院へ出向中
    東大阪市立総合病院、森之宮病院で勤務
    認定内科医、神経内科専門医
  • 梶山 裕太 大学院生 平成22年卒 大阪大学
  • 大阪府立急性期・総合医療センター、東大阪市立総合病院で勤務
    認定内科医、神経内科専門医

最近の業績

  • Fujimoto H, Mihara M, Hattori N, Hatakenaka M, Kawano T, Yagura H, Miyai I, Mochizuki H. Cortical changes underlying balance recovery in patients with hemiplegic stroke. Neuroimage. 2014; 85(1): 547-54
  • Khoo HM, Kishima H, Hosomi K, Maruo T, Tani N, Oshino S, Shimokawa T, Yokoe M, Mochizuki H, Saitoh Y, Yoshimine T. Low-frequency subthalamic nucleus stimulation in Parkinson's disease: a randomized clinical trial. Mov Disord. 2014; 29(2): 270-4.
  • Tanahashi T, Yamamoto T, Endo T, Fujimura H, Yokoe M, Mochizuki H, Nomura T, Sakoda S. Noisy interlimb coordination can be a main cause of freezing of gait in patients with little to no parkinsonism. PLoS One. 2013 Dec 31;8(12):e84423.
  • Maruo T, Hosomi K, Shimokawa T, Kishima H, Oshino S, Morris S, Kageyama Y, Yokoe M, Yoshimine T, Saitoh Y. High-frequency repetitive transcranial magnetic stimulation over the primary foot motor area in Parkinson's disease. Brain Stimul. 2013; 6(6): 884-91.
  • Mihara M, Hattori N, Hatakenaka M, Yagura H, Kawano T, Hino T, Miyai I. Near-infrared spectroscopy-mediated neurofeedback enhances efficacy of motor imagery-based training in poststroke victims: a pilot study. Stroke. 2013 Apr;44(4):1091-8.
  • Mihara M, Hattori N, Miyai I. Chapter: Applications of Near-Infrared Spectroscopy in Movement Disorders. In book: Neuroimaging of Movement Disorders; (ISBN: 978-1-62703-470-8) Springer; 2013: 93-104
  • Fujimoto H, Mezaki T, Yokoe M, Mochizuki H, Sonographic guidance provides a low-risk approach to the longus colli muscle. Mov Disord 2012; 27(7):928-929.
  • Koyama T, Domen K, Yokoe M, Sakoda S, Kandori A. Psychometrics of dominant right hand during the 9-hole PEG test: differences between PEG placement and removal. PM R. 2011 Jan;3(1):40-4.
  • Endo T*, Yokoe M*, Fujimura H and Sakoda S.*equally contributed authors. Novel Methods to Evaluate Symptoms in Parkinson's Disease:Rigidity and Finger Tapping. Diagnostics and Rehabilitation of Parkinson's Disease. In Tech. 2011 Chapter9:191-206.
  • 島圭介,田村康裕,辻敏夫,神鳥明彦,横江勝,佐古田三郎. 指腹剛性モデルに基づく指タップ力推定法. バイオメカニズム学会誌, Vol. 35, No.11, pp. 37-44, 2011.
  • Mihara M, Miyai I, Hattori N., Hatakenaka M., Yagura H., Kawano T., Okibayashi M., Danjo N., Ishikawa A., Inoue Y., Kubota K Neurofeedback Using Real-Time Near-Infrared Spectroscopy Enhances Motor Imagery Related Cortical Activation.. PLoS ONE. 2012;7(3):e32234. Epub 2012 Mar 2.
  • Mihara M, Miyai I, Hattori N., Hatakenaka M., Yagura H., Kawano T., Kubota K. Cortical control of postural balance in patients with hemiplegic stroke. NeuroReport 2012 Mar 28;23(5):314-9.
  • Miyai I, Ito M, Hattori N, Mihara M, Hatakenaka M, Yagura H, Sobue G, Nishizawa M. Cerebellar Ataxia Rehabilitation Trial in Degenerative Cerebellar Diseases. Neurorehabil Neural Repair. 2011, Dec 2. [Epub ahead of print]
  • Hatakenaka M, Miyai I, Mihara M, Yagura H, Hattori N. Impaired Motor Learning by a Pursuit Rotor Test Reduces Functional Outcomes During Rehabilitation of Poststroke Ataxia. Neurorehabil Neural Repair. 2011, Sep 29. [Epub ahead of print]
  • Mihara M, Miyai I. Applications of near infrared spectroscopy in neurorehabilitation Infrared Spectroscopy / Book 1 (ISBN: 979-953-307-362-9) Edited by Theophanides T., InTech, 2012 p41--56
  • 三原雅史, 宮井一郎. リハビリテーションへの応用. NIRS -基礎と臨床-【岡田英史, 星詳子,宮井一郎, 渡辺英寿 編】.(ISBN: 978-488002-714-2) 181-186. 新興医学出版社. 2012年1月.
  • 河野悌司, 畠中めぐみ, 三原雅史, 服部憲明, 日野太郎, 矢倉一, 宮井一郎. 【脳卒中リハビリテーションの新しい展開】 神経リハビリテーション. (森之宮病院 神経リハビリテーション研究部) 総合リハビリテーション(0386-9822)39巻12号 Page1151-1156(2011.12)
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