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神経変性グループ

パーキンソン病は、アルツハイマー病に次いで多い変性疾患で有病率は10万人に120−130人と いわれ、本邦で約14万人の患者がいると推定されています。また、加齢が最大の危険因子であり、超高齢化社会を迎える本邦では今後もパーキンソン病患者の 増加が予想されます。これまでに多くの研究がなされてきましたが、未だにパーキンソン病の原因究明やその根本的治療法の開発などは進んでいない現状です。 この度、大阪大学神経内科では、望月教授のライフワークでもあるパーキンソン病を中心とした神経変性疾患の病態解明を目的としたグループとして神経変性グ ループを新たに立ち上げました。パーキンソン病の発症機序の解明、神経細胞死機序の究明、新規治療法の開発に向けて蛋白質、細胞、動物モデルの各レベルで の解析を行なっており、大阪大学神経内科からオリジナリティーのある研究成果を世界に向けて発信していきたいと考えています。

馬場 孝輔

研究紹介

パーキンソン病を中心とした神経変性疾患の多くは神経細胞内の特定の蛋白質の異常集積がおこり緩徐に神経細胞死を招くと考えられており、 それぞれの疾患について原因と考えられる蛋白質が多数報告されています。我々はパーキンソン病の原因遺伝子の一つであるα-synuclein、 parkinに着目し蛋白質の品質管理という観点から研究を進めています。

まず、蛋白質レベルではα-synucleinが単量体から線維形成、凝集体形成へと発展していく機序を解明するべく物理化学的観点から研究を行っ ています。大型放射光施設SPring-8においては、翻訳後修飾された α-synucleinに対する小角散乱実験(BL40B2)やパーキンソン病患者剖検脳のレビー小体に対する X線回折(BL40XU)および顕微赤外分光(BL43IR)による構造解析を行っており,原子力研究開発機構との共同研究では大強度陽子加速器施設 J-PARCにおいて中性子散乱実験による線維形成における構造変化やタンパクの揺らぎの解析も行っています。また、大阪大学蛋白質研究所構造形成研究室との共同研究では、 同研究室で開発された交差型超音波発生装置とマイクロプレートリーダーを一体化した全自動蛋白質凝集検出装置 「HANABI」(HANdaiAmyloid Burst Inducer) を用いて、α-synucleinの凝集機序の解明やパーキンソン病の早期診断技術の開発を行っています。

細胞レベルではα-synucleinと環境要因である酸化ストレスによって発生する細胞内小器官の機能異常との関連に関して研究を行っています。 また、パーキンソン病の神経細胞死に関しても炎症反応の関与が示唆されており、我々のグループでは神経細胞だけではなくグリア細胞を含めた免疫機序が関与 している事を見出しています。更に、これら細胞死を制御する候補物質を選定し、その神経保護効果を確認しています。

動物レベルではα-synucleinの凝集体のシードとなる線維核をマウスに投与し生体内での凝集体形成、その病変の拡散過程を画像診断学的手法 および病理学的手法を用いて解析しています。また、これまでにウイルスベクターを用いて家族性パーキンソン病の原因遺伝子の1つであるパーキン遺伝子を黒質に導入すると、パーキンソン病の黒質の神経細胞死が抑制できることを示してきました。今後はより人間に近い霊長類を用いてその安全性および有用性を確認して いく予定です。

我々は臨床医学講座の基礎研究グループとして常に研究成果の患者さんへの還元を意識して研究を進めていきます。

出身の大学、学部、診療科を問わず我々と共に活動できる仲間を募集しています。興味を持たれた方はいつでもご連絡下さい。

メンバー紹介

  • 長野 清一 講師 平成4年卒
  • 医学博士、総合内科専門医、神経内科専門医・指導医、認知症専門医
  • 馬場 孝輔 特任助教(先進融合医学共同研究講座兼任) 平成19年卒
  • 大手前病院、関西電力病院で勤務
    医学博士、認定内科医、神経内科専門医
  • 池中 建介 助教 平成19年卒
  • 安城更生病院、名古屋大学大学院医学系研究科神経内科で勤務
    名古屋大学では筋萎縮性側索硬化症(ALS)の研究に従事
    医学博士、認定内科医、神経内科専門医
  • 早川 英規 特任研究員 平成19年卒
  • 順天堂大学大学院医学研究科博士課程(医学専攻) 神経学講座修了
    順天堂大学医学部老人性疾患病態治療研究センター、北里大学医学部神経内科学再生医療学講座で勤務
    医学博士
  • 木村 康義 留学中 平成20年卒
  • 東大阪市立総合病院で勤務
    医学博士、認定内科医、神経内科専門医
  • Choong Chi-Jing 特任研究員 
  • Institute of Postgraduate Studies and Research, Universiti Tunku Abdul Rahman, Malaysia
      医学博士
  • 仲谷 利栄 大学院生 平成20年卒
  • NTT西日本大阪病院、大阪大学医学部附属病院、市立豊中病院で勤務
    認定内科医、神経内科専門医
  • 上原 拓也 大学院生 平成21年卒
  • 東大阪市立総合病院で勤務
    認定内科医、神経内科専門医
  • 薮本 大紀 大学院生 平成22年卒
  • 飯塚病院、東大阪市立総合病院で勤務
    認定内科医、神経内科専門医
  • 塩谷 元 大学院生 平成23年卒
  • 島根大学 生物資源科学部 生物科学科 卒業
    神戸大学大学院 理学研究科 生物学専攻 修士課程修了(平成25年)
  • 角田 渓太  大学院生 平成23年卒
  • 東大阪市立総合病院で勤務
    認定内科医 神経内科専門医
  • 小河 浩太郎 大学院生 平成23年卒
  • 市立豊中病院で勤務
    認定内科医
  • 大薗 達彦 大学院生 平成24年卒
  • 大阪府立急性期・総合医療センターで勤務
    認定内科医

最近の業績

  • Araki K, Yagi N, Ikemoto Y, Yagi H, Choong CJ, Hayakawa H, Beck G, Sumi H, Fujimura H, Moriwaki T, Nagai Y, Goto Y & Mochizuki H. Synchrotron FTIR micro-spectroscopy for structural analysis of Lewy bodies in the brain of Parkinson's disease patients. Scientific Reports 2015; 5, 17625
  • Choong CJ, Sasaki T, Hayakawa H, Yasuda T, Baba K, Hirata Y, Uesato S & Mochizuki H. A novel histone deacetylase 1 and 2 isoform-specific inhibitor alleviates experimental Parkinson's disease. Neurobiol Aging. 2016;37:103-16
  • Kimura Y, Oda M, Nakatani T, Sekita Y, Monfort A, Wutz A, Mochizuki H & Nakano T. CRISPR/Cas9-mediated reporter knock-in in mouse haploid embryonic stem cells. Scientific Reports 2015; 5, 10710
  • Yoshida T, Mizuta I, Saito K, Kimura Y, Park K, Ito Y, Haji S, Nakagawa M, and Mizuno T. Characteristic abnormal signals in medulla oblongata -"eye spot" sign: Four cases of elderly-onset Alexander disease. Neurology Clinical Practice 2015; 5: 259-262
  • Kimura Y, Mihara M, Kawarai T, Kishima H, Sakai N, Takahashi MP and Mochizuki H. Efficacy of deep brain stimulation in an adolescent patient with DYT11 myoclonus-dystonia. Neurology and Clinical Neuroscience 2014; 2: 57-59
  • Hayakawa H, Nagai M, Kawanami A, Nakata Y, Nihira T, Ogino M, Takada M, Saido T, Takano J, Saegusa M, Mikami T, Hamada J, Nishiyama K, Mochizuki H, Mizuno Y. Loss of DARPP-32 and calbindin in multiple system atrophy. J Neural Transm. 2013 May 29.
  • Uchida A, Sasaguri H, Kimura N, Tajiri M, Ohkubo T, Ono F, Sakaue F, Kanai K, Hirai T, Sano T, Shibuya K, Kobayashi M, Yamamoto M, Yokota S, Kubodera T, Tomori M, Sakaki K, Enomoto M, Hirai Y, Kumagai J, Yasutomi Y, Mochizuki H, Kuwabara S, Uchihara T, Mizusawa H, Yokota T. Non-human primate model of amyotrophic lateral sclerosis with cytoplasmic mislocalization of TDP-43. Brain. 2012 Mar;135(Pt 3):833-46.
  • Yasuda T, Hayakawa H, Nihira T, Ren Y-R, Nakata Y, Nagai M, Hattori N, Miyake K, Takada M, Shimada T, Mizuno Y, Mochizuki H, Parkin-mediated dopaminergic neuroprotection in an MPTP-minipump mouse model of Parkinson's disease. J Neuropathol Exp Neurol. 2011 Aug;70(8):686-97.
  • Nihira T, Yasuda T, Hirai Y, Shimada T, Mizuno Y, Mochizuki H. Adeno-associated viral vector-mediated gene transduction in mesencephalic slice culture. J Neurosci Methods. 2011 Sep 30;201(1):55-60.
  • Muramatsu R, Kubo T, Mori M, Nakamura Y, Fujita Y, Akutsu T, Okuno T, Taniguchi J, Kumanogoh A, Yoshida M, Mochizuki H, Kuwabara S, Yamashita T, RGMa modulates T cell responses and is involved in autoimmune encephalomyelitis. Nat Med. 2011 Apr;17(4):488-94.
  • Murata K, Imai M, Nakanishi N, Watanabe D, Pastan I, Kobayashi K, Nihira T, Mochizuki H, Yamada S, Mori K, Yamaguchi M: Compensation of depleted neuronal subsets by new neurons in a local area of the adult olfactory bulb. J Neurosci . 2011 Jul 20;31(29):10540-57.
  • Namba T, Mochizuki H, Suzuki R, Onodera M, Yamaguchi M, Namiki H, Shioda S, Seki T. Time-lapse imaging reveals symmetric neurogenic cell division of GFAP-expressing progenitors for expansion of postnatal dentate granule neurons. PLoS One. 2011;6(9):e25303. Epub 2011 Sep 23.
  • Ono K, Mochizuki H, Ikeda T, Nihira T, Takasaki JI, Teplow DB, Yamada M. Effect of melatonin on α-synuclein self-assembly and cytotoxicity. Neurobiol Aging. 2011 Nov 23. [Epub ahead of print]
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