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「職業的ジストニアの病態解明に関する研究」

職業的ジストニアとは

「ジストニア」は、筋肉や骨に異常がないにもかかわらず、全身あるいは体の一部がねじれたり、固まったり、ふるえたりして思い通りに動かない症状を指します。遺伝子異常などで起こることもありますが、同じ動作を繰り返す楽器奏者、書記、スポーツ選手などでも発症するため、「職業的(性)ジストニア」と呼ばれます。仕事や選手生命を脅かす重大な問題ですが、どれくらいの患者さんがその症状に悩んでいるか、あるいは症状に関係する原因は何なのか、医学的背景について十分な検討はなされていません。

スポーツを例に考えると、平成23年に公表された統計では、日本のスポーツ人口は約7200万人にも及ぶとされています。 そのうち、特にゴルフ人口は約800万人と多く、ゴルフ競技者のうち2-4人に1人はこの症状に悩むという海外の報告もあり、潜在的に非常に多くの競技者が運動障害で悩んでいると推察されます。 一方、日本においては、これらの医学的な背景はもちろん、患者さんの数すら調べられていません。また、職業的ジストニアとして知られる書痙や奏楽手痙についても、脳のメカニズムや治療法に関して、十分な研究があるとは言えません。

イップス(Yips)とジストニア

イップス(Yips)は「ひゃあ」「うわっ」などの思わずもれる声を意味します。もっとも有名なのはゴルフのスイングにおける運動障害で、これまでスムーズに行えていたことが、突然途中で止まってしまったり、時にはピクっと跳ねてしまったり(jerk)、ふるえたり(tremor)、と様々な症状が出現します。もちろん、ゴルフだけではなく、イップスは野球のピッチングやテニスのサービスなど、他のスポーツでも見られます。

これまで、緊張・不安、自信の喪失といった精神的な側面が強調されてきましたが、筋電図などの研究で運動筋と拮抗筋のバランスが崩れるジストニアと類似した側面もかねてより指摘されてきました。

イップス研究について

イップスにおける運動障害(ジストニア)と脳機能の解明を目指して、健康スポーツ科学講座 スポーツ医学教室(中田研究室:学内ページ)運動制御学教室(小笠原研究室:Facebook)と神経内科学教室の共同で研究を行ってきました。 本研究は、スポーツ研究イノベーション拠点形成プロジェクト(SRIP)の支援のもと行われています。

 


 これまで、関連競技団体の協力を得てゴルフ選手へアンケート調査を行い、延べ2600人以上の回答を得ることができました。その中で、36%ものゴルフ選手がイップスを経験していることがわかり、その特徴が明らかになってきました(JNS2015, MDSJ2016 )。

現在私たちは、脳波計、筋電図、モーションキャプチャなどを用いて、ゴルフショット時の動作測定と脳機能測定をリアルタイムに行うシステムを構築しています。加えて、最新のMRI、脳磁図を用いた脳機能画像計測を組み合わせることで、詳細な脳活動測定を行う予定です。

 
 
 
 
 
 
 

研究成果   

権泰史,三原雅史,河村禎人,中田研,望月秀樹.第56回日本神経学会学術大会, 2015 ポスター 

小仲 邦,望月秀樹.臨床神経 55:263-265, 2015 「音楽大学生における音楽家のジストニアの実態調査」

三原 雅史,権 泰史,望月秀樹.神経内科 第85巻2号, 2016 「スポーツにおける職業関連ジストニア(イップス)」

Gon Y, Mihara M, Kawamura S, Nakata K, Mochizuki H. Prevalence and clinical characteristics of golfer's yips in Japan. 5th AOPMC, 2016

Gon Y, Mihara M, Kawamura S, Nakata K, Kabata D, Shintani A, Mochizuki H. Epidemiological investigation of yips among golfers in Japan. The MDS 20th International Congress of Parkinson's Disease and Movement Disorders, 2016 poster

権 泰史,三原雅史,加葉田大志朗,河村禎人,中田研,新谷歩,望月秀樹.第10回パーキンソン病・運動障害疾患コングレス, 2016 ポスター(in preparation)

権泰史,望月秀樹.職業性ジストニア.仕事と病気 2017; 47(8): 993-998.

被験者募集について

現在、当研究グループでは実験に協力いただけるゴルファーを募集しています。2時間程度の動作解析、2時間程度の脳機能解析を予定しています。
(ご参加いただける方にいくつか条件がございます。まずは受付フォームもしくは、下記メールアドレスまでお問い合わせ下さい。)


 

連絡先

大阪大学大学院医学系研究科健康スポーツ科学講座
スポーツ医学教室(中田研究室)
運動制御学教室(小笠原研究室)

大阪大学大学院医学系研究科 情報統合医学講座
神経内科学

Email: yips@neurol.med.osaka-u.ac.jp

 

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