研究内容

研究テーマ---異種移植 と 小腸移植

異種移植
はじめに
 臓器移植は現在までに世界で腎移植になるとすでに50万例以上行われており、欧米はおろかアジア各国ですでに定着した医療である。しかし、近年各国とも深刻なドナー不足に悩まされ、多くの患者が移植を受けずに死んでいくのが現状である。 我が国においては97年に脳死の立法化が行われたが、60数例しか脳死移植は行われておらず、多くの移植適応患者がなくなっている。 異種移植は遠い未来の出来事ではなく、このような時代の要求によるものである。 
 異種移植とは種の異なる動物の間で行われる移植である。ヒトをrecipient と考えた時、バブーン、チンパンジーなどのサルをdonorに用いるconcordant と遺伝的に遠い種であるブタなどの臓器を用いるdiscordant に分類される。前者では免疫抑制剤を使わずとも数日間の生着が見込まれるが、後者では超急性拒絶反応(Hyperacute rejection:HR)がおこり、分単位で拒絶される。このdiscordantの移植に起こる反応は、同種移植の血液型(ABO型)不適合の際の反応と同じく、hostの持つ自然抗体(抗-A、抗-B)とこれに続く補体 classical pathway による反応と単純に理解されていた。ところが補体学の進歩により、
異種移植の場合の反応はgraftの補体制御因子が種差による不一致から、hostの補体の攻撃を回避できないことが基本となっていることが判明した。勿論、種の違いによる細胞表面の糖鎖の違いが直接抗原性に結びついている。また凝固系因子の不一致なども関係している。

* Miyagawa, S. at al.:The mechanism of discordant xenograft rejection.
Transplantation 46:825-830,1988.


異種移植(臨床)の歴史

I. 臓器の移植
 異種移植の臨床は古くはPrinceteauが1905年にウサギの腎臓を移植している。1906年にもJaboulay がブタとヤギの腎臓をヒトに移植している。また、1963年にReemtsma はチンパンジーとサルの腎臓、Hitchcook はヒヒの腎臓、1964年にはStarzl はヒヒの腎臓を、また Hardy はチンパンジーの心臓をヒトに移植している。これらは概ねそれらの成績は不本意なものであったが、例外的にReemtsmaの行ったチンパンジーの腎臓は9ヵ月の生着し患者は一時社会復帰をしている。また、1977年にBarnardによっておこなわれたヒヒやチンパンジーからの心移植の場合も4日程度の生着を見たに留まっている。この後、異種移植の臨床はあまり行われていない。
 このあいだ、ヒトーヒト間の移植は、サイクロスポリンの開発を契機として1980年台に目覚ましい臨床成績の向上がもたらされ、移植数は増え続けた。一時は異種移植への期待は跡絶えたかのようにみえた。ところが90年ごろより頭打ちになり、現在では深刻なドナー不足が問題になっている。
近年行われた異種移植は1985年にBailey がヒヒの心臓を、1993年にStarzlがヒヒの肝臓を移植し、それぞれ3週間、 2ヶ月の生着をえている。これらはいわゆるconcordantな異種移植である。一方、1992年Czaplickiがブタの心臓を、1993年Makowkaがブタの肝臓を移植しているが、結果は超急性に拒絶されている。これは、discordantと呼ばれる異種移植である。おそらくこれ以降は異種の臓器の移植は行われていない。

II. 細胞移植
 一方、膵島細胞移植に関しては、かなりの数の移植が糖尿病(Diabetes mellitus:DM)の患者におこなわれた。
 1981年から85年までの間、ロシアのShumakovらは、ブタ胎児膵島細胞移植を53例、ウシ胎児膵島細胞移植を18例行なっている32)。しかし、記録はあまり残していない。また、この後もロシアでは続けられているらしいがはっきりしたことは不明である。
 
 1990年から92年に、スエーデンのGrothらは、ブタ胎児膵島細胞移植を10例施行している。対症は、30-47歳、DM病歴平均30年、投与方法は、腎皮膜下への移植と一般的なAlloの膵島細胞移植と同じく経皮的な門脈内投与である。CyA,predonine,Azaに加えて、ATGや15-deoxyspergualinを投与している。成績は、insulinとpig C-peptideをfollowし、平均3ヶ月、最長1年半生着した。後に述べるブタレトロウイルス感染はみられていない。

 2000-2002?年メキシコでも、 Valdes-Gonzalezらにより、普通(野生型)の新生児ブタから12例の膵島細胞移植が行われている。対症は11-17歳、DM病歴は平均6.7年である。方法は、免疫抑制剤を使わず、Sertoli cellと一緒に、彼らが開発したautologous collagen-covered deviceに入れて皮下に移植している。移植後2度目の再移植を6ヶ月後に行い、3年後にも4症例に再々移植を行っている。成績は、6例に効果有りで、うち2例はインシュリンから一時的に離脱している34)。

 中国では、まず1989年に同済医大の夏穂生らが、ブタの膵島細胞を筋肉内に3例移植している。
 続いて、1998年、張(Shenglan Zhang)らが新生児ブタの膵島細胞を8例の患者の同じく筋肉内に移植している。
 さらに中南大学で、王維らは、新生児ブタの膵島細胞移植を1999年より2005年に渡って計22例に施行している。患者は18-52歳、DM歴9±4年、ドナーのブタは中南大学の動物捨からのもので、生後3-5日の仔ブタの膵島細胞を肝動脈内への注入している。 4種類のプロトコールを現在までに使い分けており、2005年からのプロトコールは、Methylprednisolone, OKT-3, Tacrolimus, Sirolimusを使っている。

III.その他
 一方、重症肝不全患者にブタの肝細胞をつかったハイブリッド人工肝臓による、急性肝不全の患者に対する治療がある。既に、米国ではFDAの許可のもとに数百人のオーダーでパイロットスタディー(第汨且詞ア)が行われている。これらも遺伝子改変ブタの使用が望まれ、DAF-ブタをつかった治療が始められている。
 また、Deconはパーキンソン病の治療に胎児ブタの脳細胞を移植している。これも一定の成功を治めている。


研究の流れ<in vitroの研究>

拒絶反応の研究
 動物愛護の問題、大きさ、繁殖力、ヒトとの共通感染症などの問題から、最近はほぼブタからの移植だけが研究されている。後で述べるレトロウイルスなどの問題は残っているが、ブタの臓器は、その生理学的又解剖学的な特徴、つまり、臓器の大きさが近いこと、動物愛護の問題が少ないこと、多産系であること、血液臨床生化学的な数値などがヒトに近いことなどの点でブタは最もドナーに適しているとされている。
このブターヒト間の移植の場合、糖鎖抗原が重要な鍵となる。つまり、ヒトおよび旧世界のサルでは糖鎖修飾酵素の一つである
a1,3 galactosyltransferase (a1,3GT)がpseudogene になっているため、この産物であるa-galactosyl epitope (a-Gal; Gala1-3Galb1-4GlcNAc-R) は発現していない。反対に、ヒト及び旧世界のサルはこの糖鎖抗原に対してかなり強い自然抗体を持っているためである。
よく使われる用語で、遅延型拒絶反応(Delayed xenograft rejection)=急性血管拒絶(Acute Vascular regection:AVR)がある。これはHRを回避した後、抗体の反応、残存補体、細胞性の要因などがからみあい、血管内に凝固反応が起こるというものである。やはり血清中の凝固因子がヒトで、血管内皮上の凝固を防ぐ因子がブタという種差にも関係する。
また、isletなどの細胞移植の場合に起こる反応は、HRも多少含んだ概念でInstant Blood-mediated Inflammatory Reaction (IBMIR)と呼ばれている。

HRについては一般には、補体制御因子の発現と、a-Galのknockout(KO)で回避できると漠然と考えられている。ア-Galに代わる糖鎖抗原としては、現在Hanganutziu-Deicher (H-D)抗原が知られているだけである。スエーデン・カロリンスカ研究所の報告では90年代に臨床で行われた胎児膵島様細胞(ICC)の移植患者のfollowで、患者血清から、H-D抗原の他に、Neu5Acタイプ糖鎖に対する抗体やGala1,3LeXに対する抗体が検出されている。しかしまだ、系統だった解析はあまり進んでいない。

異種糖鎖抗原の制御
1. 当初ブタでのKOはES細胞(胚性幹細胞)が出来ないため、無理ということで、
a1,2fucosyltransferase (a1,2FT)の遺伝子導入による競合阻害が提唱された。ゴルジ装置でa-1,3 galactosyltransferase (ア1,3GT)と共通する基質を奪い合うことを利用して、aGalの形成を抑制する方法である。
2. これに対して、
我々はN-Acetylglucosaminyltransferase III(GnT-III)を使って糖鎖合成=細胞表面全体の抗原性をリモデリングする方法を考えた。GnT-IIIはN型糖鎖のマンノース・コアーにGlcNAcを直接付け、同じ系統のGnT-IVやGnT-Vと拮抗し、結果的に枝振り(=抗原性)の少ないN型糖鎖を形成する。従って、単にa-GalだけでなくH-D抗原や他の未知の抗原がN型糖鎖に乗っていればこれをある程度を制御できる。

* Tanemura, M. et al.: Significant Downregulation of the Major Swine Xenoantigen by N-Acetylglucosaminyltransferase III Gene Transfection. Biochem Biophys Res Commun 235; 359-364,1997.
* Miyagawa, S. et al.: Remodeling of the Major Pig Xenoantigen by N-Acetylglucosaminyltransferase III in Transgenic Pig. J Biol Chem 276: 39310-39319,2001.

3. この他、Endo-b-galactosidase C (Endo-b-Gal C)による制御も考えられた。この酵素はGala1-3Galb1-4GlcNAc構造のb1-4を切ることによりa-Galを切断できる。名大や鹿児島大のグループからこのTGブタの報告がされている。しかし、この方法はKO法に比し完全性が問われている。

GT1とGT2
 一方ブタには、GT1とGT2という名で、a1,3GTが2種類存在する。KOされたのはGT1である。GT2(iGb3)の発現は主に糖脂質に限られているため、幸い抗原性としては低いはずだが、現在この抗原性も主にオーストラリアのオースチン研究所で研究されている。

H-D抗原
 H-D抗原はglycolylneuraminic 酸 (NeuGc)のことで、ヒトを除くホ乳類に広く分布している。このNeuGcはcytidine monophospho-N-acetylneuraminic acid (CMP-NeuAc) 水酸化酵素の活性に依存し、ヒトではこの遺伝子に欠損がある。 H-D抗原は糖蛋白に多く分布しnon-Gal抗原の半分をしめるとも、またヒトでは抗H-D抗体が自然抗体として一般に広く存在しているとも報告されている。 
  一方、ハーバード大学のグループからはKOブタの血管内皮の抗原性は極めて低いと報告されているが、一般には
aGalのKO後も、non-Gal抗原が10-30%の異種抗原としてブタの細胞表面に残ることになると考えられている。

補体制御因子の研究
 まず流れから、当初問題となったのはトランスジェニックブタで発現させる補体制御因子の種類と結果的な発現量であった。
 補体制御因子の種類では、C4, C3 stepの補体抑制には、転換酵素の形成阻害とC4b,C3b の直接の分解の2つの機能がある。DAFには転換酵素形成阻害機能しかなく、他のMCP(CD46),CR1(CD35)や, 後に述べる血清補体制御因子である C4bp, factor Hは分解機能を持つ。CD59については、作用はC8やC9に結合して膜侵襲複合体(MAC)の形成阻害であるが、当然C3, C5 stepでの反応には制御能力はない。
 
そこで我々はC4bpのα鎖にDAFのPI-anchor(phosphatidyl inositol anchor)を付けたC4bp-PI。また、factor H-PI、factor I-PI 、さらにC1-INH-PIを作成し研究した。このC1-INH-PIは、補体のほか、カリクレイン、プラスミン、凝固因子のXI, XII、の活性を阻害する働きをもつ。我々は複数をhybrid化し、たとえば DAF+C1-INH-PIの形で発現させることによりより完全に補体を制御でき、より有用なブタを開発できると考えている。

* Miyagawa, S. et al.: Attempts to prepare suitable complement regulatory molecules for clinical xenotransplantation. J. Cardiac Surg. 16:429-38, 2001.
* Fukuta, D. et al.: Effect of Various forms of C1 esterase inhibitor (C1-INH) and DAF on complement mediated xenogeneic cell lysis. Xenotranaplantation 10: 132-141,2003.
* Fukuta, D. et al.: Effect of hybrid complement regulatory proteins on xenogeneic cells.  Biochem Biophys Res Commun 306: 476-482,2003.
* Kobayashi,C. et al: Features of a Newly Cloned Pig C1 Esterase Inhibitor. J Biol 140: 421 - 427, 2006.  

  我々は当初、ブタ血管内皮で遺伝子導入実験を行い、DAFはHUVECと同じ程度の発現量で、ヒトの補体を約50%程度抑制する事。また、5倍 DAFを強発現させると補体の動きを80-90%抑制する事を報告した。しかし、100%抑制にはより多い発現か、他の分子との相乗効果が必要であるとした。一方MCPの場合、1分子の補体抑制効果は、DAFよりはっきり劣っていた。

* Miyagawa, S. et al.: Effects of Transfected Complement Regulatory Proteins, MCP, DAF, and MCP/DAF Hybrid, on Complement-Mediated Swine Endotherial Cell Lysis. Transplantation 58: 834-840,1994.

 一方、Imutran社では、DAFをヒトの2倍程度?発現するブタを最初に開発した。このDAFブタの心臓はヒヒに同所性で12から39日の生着を得た。このDAFを高発現したTGブタのサルへの移植実験では、DAF-ブタは抗原性に関しては無処置のため、大量の抗体の沈着を認めた。さらに、DAFには根本的に分解活性がないため大量の補体が残存する事も判明した。また、我々の作製したDAFブタは、2-4倍発現しているが、カニクイサルへの心臓移植の実験で、薬剤を投与せずに、6日間うち続けた。拒絶されたgraftには細胞生浸潤が多く見られた。
 Mayo Clinicは、MCPのgenomeの全長を打ち込み、トランスジェニックブタの作成に成功している。おそらくDAFブタに比して、補体制御能力はおとるが、長期にはMCPの補体分解能が効いてくるかもしれない。

遺伝子のcodon調整について 

 導入遺伝子の発現量の問題であるが、我々は哺乳類(特にブタ)において最も使用頻度が高いcodonに統一したDAFの遺伝子を合成した。その際、SCRの1をはずした(sDAF;合成DAF)。CHO細胞を用いた発現実験においては、sDAFは野生型より約3-10倍発現した。次に、トランスジェニックマウスを作成し、codon 調整をすることによって、トランスジェニック動物で高発現をもたらすことが判明した。

* Miyagawa, S. et al.: A Synthetic dDAF (CD55) Gene Based on Optimal Codon Usage for Transgenic Animals. J. Biochem. 129, 795 - 801, 2001.

NK細胞の制御
1. HLA class I分子の発現。

 NK細胞は抑制性と活性性レセプターからのシグナルのバランスにより攻撃性が調節され、まずはクラス氓介し自己・非自己を認識するとされている。従って、NK細胞の制御に、ヒトのクラス氓ブタの細胞に遺伝子導入することが考えられた。クラス歛はレパートリーが多いため、Ib群を発現させる研究が進んでいる。
 
HLA-Gの遺伝子はヒトb-2 microglobulinと一緒に入れると、ブタの血管内皮細胞で高発現するようになり、NK細胞依存性細胞傷害を抑制する。
 HLA-Eは、自分自身のシグナルペプタイド(SP)が利用できず他のHLAのSPを使って発現するという特徴を示す。やはり、イ-2 microglobulinと一緒に入れると、ブタの血管内皮細胞でやはり発現してくる。この分子のNK細胞にたいする抑制機能は強いが、HLA-Gに比し発現量は十分には得られない。特徴として、HLA-Eの発現は乗ってくるSPでその発現量が変わること。さらに、SPの違いで、CD94/NKG2の複合体とのアフィニティに差があり、CD94/NKG2Aでは負のシグナルが入り、CD94/NKG2C場合には活性化シグナルが入る事が判明している。
そこで我々は、HLA-Eに予めNKG2Aにアフィニティの強い[VMAPRTLVL]をSPに組みこんだhybridを考えだした。_ さらに、HLA-EとHLA-Gのhybridをつくり発現量を調べていくなかで、高発現するHLA-E mutant:HLA-Ev(147)を開発した。この分子は、HLA-Eの機能をたもち、HLA-Gのように少なくともブタ血管内皮細胞ではすばらしく高発現する。

* Matsunami, K. et al.: The possible use of HLA-G1 and G3 in the inhibition of NK cell-mediated swine endothelial cell lysis. Clin Exp Immunol 126:165-72,2001.
* Matsunami. K. et al.: Involvement of position-147 for HLA-E expression. Biochem Biophys Res Commun. 347:692-697,2006.

2. NKの糖鎖を認識を利用した制御法
 
NK細胞は糖鎖認識する。我々の実験では、a-Galを認識するレクチンや抗体でブロッキングをかけたり、aGalの発現をa-1,2FTや、GnT-IIIなどで阻害したり、a-galactosidaseを使って低下させると、有意に NK細胞の反応性が落ちた。さらに、ブタ細胞上のa-Galの発現をa-galactosidaseを使って低下させると、有意に NK細胞の反応性が落ちる事が判明した。従って、NK細胞によるa-Galの認識が強く示唆された。これらのことは、ほぼ同時期にコロンビア大でも証明された。現況としては、チューリッヒ大(Seebackら)やカロりンスカ研究所から否定的な報告がでている。両方を肯定する報告もあるが、NK細胞による糖鎖認識には何かかなり複雑な機構があるのかもしれない。当科では現在も検討中である。

* Miyagawa, S.et al.: Regulation of Natural Killer Cell-Mediated Swine Endothelial Cell Lysis through Genetic Remodeling of a Glycoantigen. J Biochem 126: 1067 - 1073,1999.

3. 補体制御因子DAF:CD55高発現によるNK細胞の制御。 

DAFがNK細胞に対し抑制作用があることは、既に報告があった。そこで、我々は、補体および補体レセプターを介する反応か、介さない直接反応かを調べた。DAF分子で、delta-SCR1からdelta-SCR4までを作製し、ブタ血管内皮に遺伝子導入してNK細胞抑制機能と補体制御機能と比較した。Delta-SCR4 DAFでは補体依存性傷害は抑制するが、NK細胞依存性傷害は制御しない事を掴んだ。従ってNK制御機能はDAF分子のもつNK細胞への直接的な機能ではないかと考え、現在検索中である。 DAFを発現したブタは既に存在するわけであるので、吉報ともいえる。

* Miyagawa, S. et al.:Delta-short consensus repeat (SCR) 4-decay accelerate factor (DAF: CD55) inhibits complement-mediated cytolysis but not NK cell-mediated cytolysis J Immunol 173:3945-3952,2004. 

4. FasLによる制御
 この試みは過去に行われたが、発現量の高い細胞がとれなかったため、明瞭なデータになっていない。その他、
FLIPやPI-9 の遺伝子導入も考えられている。

* Matsunami, K. et al. : Cloning of pig serine proteinase inhibitor 9 and its use in protecting against apoptosis. Transpl Int 20:453-9,2007.

5. NKG2D
 この分子はC-type lectin-likeのレセプターで、MHC class I related chain (MIC) A,B とULBP-1,2,3, RL-4がリガンドで、一説によると、このNKG2Dこそが真のNKレセプターなのではないかとされている。現在、チューリッヒ大やアラカンサス大では、ヒトのNKG2Dとブタのこれらのリガンドの適合性が調べられている。また、これらのリガンドをsiRNA法でknock down (KD)することも考えられている。

マクロファージ& Dendric cell(DC)に対する研究
 広島大学ではCD47を発現させることによるマクロファージの制御法が研究されている。ブタ-ヒトの系での研究もでている。
 また一方、DC のもつC-type lectinによる自己・非自己認識が研究されている。

細胞障害性T細胞に対する研究
 Fas-FasL系を使った制御法や、ハーバード大学からはブタの胸腺を同時に移植する制御法(Thymo-Kidney法)が報告されている。

凝固系の研究
 ヒト血中とブタgraft細胞膜の凝固-線溶系因子に種差があり、これが大きく拒絶反応に関係している。 鍵になる研究はgraft側にヒトのAnti-thrombin III, tissue factor pathway inhibitor(TFPI)、またはthrombomodulin(TM)を発現させる研究である。
 2007年の国際異種移植学会では、Anti-thrombin IIIのtransgenic mouseは出血傾向があると報じられている。
 また、TFPIに関しては種特異性が乏しいようで、ブタのTFPIはヒトのXa因子と結合する事がオーストラリアのCowanらにより報告されている。

 また、遺伝子工学的アプローチとは別に、KOブタを移植して生着が延びても、おこってくる微小血管炎を、heparinやaspirin等のdrugで抑えようというin vivoからみの研究が多く報告されている。


遺伝子改変ブタの流れ<in vivoの研究>
 我々は既に述べたように、超急性拒絶反応が補体制御因子の種差による不一致があるための現象であることを明らかにした。この報告をヒントに、90年頃より英国、米国、豪ではべンチャー産業と結び付いたブタの臓器の開発が始まった。

初期段階のTGブタの開発
 Imutran 社 (Novaltis Pharma AG社)(英)が作りだしているDAFブタは, DAFそのもののpromoterに第1 intronを含むかっこうでmini-geneをつくり(つまり、第2 exonからcDNA)、transgenicブタを作成している。
 Alexion Pharmaceuticals 社(米)は CD59と
a1,2FTを発現するブタを作製した。 a1,2FTブタは、 アGalの発現が半分程度に下がり、ヒト血清に対する反応も半分以下に抑制されている。
 Nextran 社(Baxter 社)(米)は95年には, 細胞上での3つの補体制御因子MCP, DAF, CD59の共発現をはかり、promoterには
a-globinやイ-globin,をつかったトランスジェニックの報告をしている。これらは、Mayo Clinicに移行された。
 BresaGen社(豪)は、DAF, CD59, そして
a1,2FTを同時に発現するブタを作りだしているが、a1,2FTの発現は弱いようであった。

 日本では、名古屋大学が世界に先駆けてa1,2FTのブタを作成したが、系統維持は行われなかった。

我々は、1996年になってトランスジェニックブタの作成を開始した。ブタのMCP相当分子のpromoterにDAFをつないだ構築でトランスジェニックブタを作成し、line化している。ブタはDAF に相当する分子がブタ自身の補体に対する作用が弱いため、MCP相当分子がそれを補っていると考えられる。従ってそのpromoter作用も強い。われわれのDAFブタの特徴としては、ubiquitous に発現し、血管内皮での発現はヘテロのブタで ヒトの1.5倍程度である。また、Imutran 社のDAFブタは膵臓での発現は弱く、特に幼児期の発現されないとされるのに対し、生後早期の乳児にもしっかりした発現を認めている。
次に、我々は糖転移酵素GnT-IIIのトランスジェニックブタを作成した。promoterにはpCAGGSを使用した。このlineの特徴は、同じくubiquitous に発現し、しかも血管内皮での発現がかなり高く、このGnT-IIIという酵素の効果を発揮するには十分なものであった。また、生後早期の乳児にも膵臓での発現をしっかりと認めている。

* Murakami, H. et al.:Transgenic pigs expressing human decay-accelerating factor regulated by porcine MCP gene promoter. Mol Reprod Dev 61:302-11,2002.
* Miyagawa, S. et al.: Remodeling of the major pig xenoantigen by N-acetylglucosaminyltransferase III in transgenic pig. J Biol Chem 276:39310-9,2001.

 現在は、第2ステージ
 国際的な動きとしては、この補体制御因子のTGブタとは別に、糖鎖抗原 a-GalのKO が争われ、米国の2つの会社(Immerge BioTherapeutic社、PPL Therapectics社)で2002年にホモKOブタが生まれた。この間、Imutran, Alexion,Nextran社はあいついでこの分野から撤退した。

 ハーバード大学は、Immerge社と結びつき、既に彼らが開発しているMGHミニブタ(ブタの組織的合成抗原SLAをあわせてあるブタ)にDAFを発現させ、α-Gal KOを加える事を考えている。現在別々に存在し融合にはまだ数年はかかると思われる。

Mayo Clinicは、Baxter社から移譲された、DAF-TGブタ と ア-Gal KOブタを既に作製している。a-Gal KO+MCP(CD46)ブタが出来上がって,その成果が報告されている。IsletsにもMCPが発現しているようである。

 ピッツバーク大では、PPL社と結びつき新たにRevivicor 社をつくり、DAF-TGブタ、a-Gal KOブタを引き継ぎ、また、CD59-TGブタにア-Gal KOをかけ合わせた、さらにTFPIを発現させたブタを開発している。ブタレトロウイルスのKnockdown(KD)ブタも完成している。おそらくは2007年現在、ここがもっとも先頭を走っている。

 Bresa Gen 社(豪)ではDAF-TGブタ、ア-Gal KOブタを作製し、現在掛け合わせている。

ドイツでは、国家プロジェクトとして、「DAF-TG」、「a-Gal KO」、さらに「Thrombomodulin(TM)-TG」や 「human hemoxygenase-1(hHO-1)」を作製している。KOブタはどうやら現時点でうまくいっていないようだ。さらに、ブタレトロウイルスのsiRNAによるKnockdown(KD)ブタも作製している。

 韓国では、ソウル大学で多くの基礎研究がなされている。また、mgen社でDAFブタとHLA-Eブタをつくっているが、その発現量の報告はない。
 
 これに対して
我々(大阪大学+ニプロ+日本動物工学研究所のグループ)は、TGブタ(DAF+GnT-III)由来の線維芽細胞を使ってア-GalのKOに成功し、2006年末、ホモが産まれた。「a1,3GT-KO + DAF+GnT-III-TG」ブタ、つまり、a-Gal-KOよりさらに糖鎖抗原を下げたブタは、世界初である。

* Takahagi, Y.: Production of alpha 1,3-galactosyltransferase gene knockout pigs expressing both human decay-accelerating factor and N-acetylglucosaminyltransferase III. Mol Reprod Dev 71:331-8,2005.

 国内では、他に(独)農業生物資源研究所(+名古屋大学)がDAF高発現ブタを核移植の技術を利用して作製している。End-b-GalCとDAFを同時に発現するブタを開発した。
 又最近、鹿児島大学がこのEnd-
b-GalCブタの開発に乗りだしている。 

動物の実験 Pre-clinicalな研究---主に心・肺・腎移植
 これは、DAFブタやKOブタをサルに移植する実験である。
 H15年の第7回国際異種移植学会では、Immerge社のKOブタの腎移植の結果は約30日、心臓(異所性)移植で約60日で、決してDAFブタでの記録を越えるものではなかった。ハーバード大の提唱する、腎臓にブタの胸腺を同時に移植する方法で初めて80日を越えている。 次に、H16年国際学会では、Immerge社は抗CD154抗体を使いKOブタの心臓(異所性)移植で、最長約6カ月(中央値:78日)を報告している。しかし、国際心肺移植学会の要求基準では、心移植で平均6ヶ月であるので、まだその基準には達していないことになる。以後DAF単独、KO単独での生着日数はあまりのびていない。

 
膵島移植
 2006年のミネソタ大学の報告では、通常の成ブタの膵島細胞をカニクイザルに移植し、RAD,FTY720,anti-CD25,anti-CD154の投与で最長187日を記録している。また、エモリー大学では、新生児ブタの膵島細胞を赤毛ザルに移植して、anti-CD25,anti-CD154,を短期間加え、Sirolimus, Beratoceptで維持して260日間生着させている。
 ブタ膵島細胞移植での現時点での問題は、わざわざKOした遺伝子改変ブタを使わずとも、もとから成ブタの膵島では、α-Gal抗原は認められないこと。加えて、Immerge社のDAFブタでは、膵島でのDAF発現がほとんど認められないことである。他社の、isletでの補体制御因子の正確な発現量は不明である。

 我々は基礎実験として、「a1,3GT-KO + DAF+GnT-III-TG」ブタの検討はまだ行えていない。通常の成ブタ膵島にはα-Galは認めないが、 H-D抗原は陽性(+)、ヒト血清に対する抗原性も陽性(++)で、ヒト血清による膵島細胞傷害性も認め、α-Gal以外のH-D抗原を含むN型糖鎖抗原により傷害されることを報告した。 これらが、カロリンスカ研究所からの報告のNeu5Acタイプ糖鎖やGala1,3LeXに当たるかはこれからの検討になる。 
 次に、GnT-。-TGブタより膵島を分離し、カニクイザルへの移植実験を施行した。ノーマルブタ群より分離された膵島を移植された群では移植後1、1、3日目までしか血中insulinが検出されなかったが、GnT-III-TGブタより分離した膵島を移植された群ではそれぞれ移植後1、>3、4、5日目まで血中insulinが検出された。また、免疫組織染色にて、GnT-III-TGブタにおいては、normalに比しグラフトの抗体の沈着が減少していた。つまり、他社が用いないGnT-IIIに、膵島細胞の抗原性をはっきり下げる作用があるということである。

* Komoda, H. et al.: A study of adult pig islets profiles. Xenoransplantation 11:237-246,2004.
* Komoda, H.: et al.: Adult islet grafts from transgenic pigs with N-acetylglucosaminyltransferase-III (GnT-III) indicate a prolonged survival in the cynomolgus monkey. Xenoransplantation 12: 209-216, 2005.
* Takeshi Omori, T. et al: A study of the xenoantigenicity of neonatal porcine islet-like cell clusters (NPCC) and the efficiency of adenovirus-mediated DAF (CD55) expression. Xenotransplantation 13:455-464, 2006.



問題点=人獣共通感染症
ブタ内在性レトロウイルス(Porcine Endogenous Retrovirus : PERV)のヒトへの感染が懸念されている。PERVがin vitroで人の細胞に感染するという事、さらにSevere Combined Immunodeficiency (SCID)マウスが感染したという報告が注目された。このin vivoでの感染には異論がでている。
しかし、2000年の国際移植学会で、過去にブタの生の細胞、臓器に接触した患者160名と臓器移植を受けたサル85頭につて調査したところ1例も感染を認めなかった。その後も調査は続き、ブタを扱う業者や獣医者も調べられたが、現在まで1例の感染も認められていない。学会では、遺伝子改変したブタを使った場合、PERV感染の可能性が広がることも考慮して、臨床のスタートに慎重であっ他が、今年2007年の国際異種移植学会では、10年間のPERV調査・研究の総括として、PERVはもはや怖がる事は無く、follow-upの体制さえしっかりとればOKであるという方針を出している。
 一方、
WHO(http://www.who.int/transplantation/xeno/en/)では、メキシコや中国での臨床のスタートを重く見て、異種移植がすでに始まっているとの認識で、各国にこのfollow-upの体制を作ることを要請している。

PERVの制御法の開発
世界の数カ所で検討されている制御方法を紹介する。 
1.PERVを制御する試みとしては、Kock研究所(ドイツ)でPERVの膜蛋白に対する抗体が開発されている。また、彼らはワクチンを開発している。

2.siRNAによるKnockdown(ND)とは二本鎖RNAによる配列特異的な分解がおこる現象を利用したものである。我々はH15年国際異種移植学会で報告したが、翌年先にKock研究所から論文報告が出た。また、かれらは続いてこのKDブタを作りだそうとしている。既に、Revivicor社はこれのKDブタを完成した。
 我々は現在、数カ所から同時にNDする方法をとり、より完全な制御を検討している。

3.我々はN型糖鎖のプロセシングを変えることでPERVの感染性を制御できる事をつきとめている。 きっかけは、PERVを出すブタの細胞の培養液に蛋白にN型糖鎖が付かなくなる薬を入れるとPERVがヒトの細胞に移らなくなった事である。さらに検討すると、PERVのリガンド形成にhigh mannose型N端糖鎖が必須であることが判明し、現在N型糖鎖のプロセシングを速めることによりhigh mannose型を取りにくくさせ、どの程度PERV感染が制御できるか調べている。

 

* Hazama, K. et al.:The significance of N-linked glycosylation in pig endogenous retrovirus (PERV) infectivity. Biochem Biophys Res Commun 310:327-333,2003.
* Hazama, K. et al.:The Effect of Expression of Complement Regulatory Protein on Pig Endothelial Cells to Pig Endogenous Retrovirus (PERV) lyses by human sera.  Transplant Proc 37:503-505,2005.
* Miyagawa, S. et al.: Prevention of PERV infections in pig to human xenotransplantation by the RNA interference silences gene. J Biol 137: 503-508,2005.
* Miyagawa S.et al.:A novel strategy for preventing PERV transmission to human cells by remodeling the viral envelope glycoprotein. Xenotransplantation 13:258-63,2006.


現況=近い将来
 
 I型の糖尿病が適応疾患にあげられるが、日本でも20万人弱?存在し、米国には100万人存在すると言われている。加えて、65才以上の日本人10人に1人が罹患してるII型の糖尿病も症状により適応となる。 
 加えて、近い将来適応が考えられるのは、透析患者の腎移植である。たとえば、日本の透析患者数は23万人で、医療費は1兆円に上る。日本ではまだ真剣に考えられていない感があるが、欧米では遺伝子改変ブタでの臨床実用化がこれら透析患者の間で強く望まれている様である。

最後に、アメリカでは、ブタ膵島細胞移植の臨床に照準を向けた3年間のNIHの大型グラントがミネソタ大とアトランタ大におりている。ミネソタ大では、Heringらを中心にその2009-2010年の臨床治験開始に向けた準備をはじめている。彼らは、まずは、野生型のブタをSPF化して始める事を決めているようである。2006年のカニクイザルを使った報告に近いのプロトコールでいくと思われる。なお、CD145が血小板に発現があり、anti-CD154のヒトへの投与は問題が有るようであるが、リガンドのCD40に対する抗体でも同様の効果がきたいできるようである。
 次の段階として
遺伝子改変されたブタからの膵島細胞移植を始める様である。我々もこのプロジェクトに参加する事を要請されている。
また、中国でも、王維らは、再開を期して法的整備を進めている。また、我々と共同でPERVの更なる調査を予定してる。
WHOの見解と同じく異種移植はすでに始まっていると受け止めたほうがいいようである。

小腸移植(臓器移植+小児育成外科)
現況
 
腸管機能不全や先天又は後天性に広範囲に腸管を損失した症例に対する治療として、姑息的に中心静脈栄養(TPN)療法がおこなわれているが、肝障害や反復するカテーテル感染症のほか静脈系路の確保も次第に困難となってくるなど、成績は改善しているとはいえ長期の管理には未だ問題点が多い。これらの根本的な治療として小腸移植が1960年代より臨床応用が行われようになり、サイクロスポリンやタクロリムスなど様々な免疫抑制剤の出現により次第に小腸移植の成績の上昇と共に施行例も増加してきた。
近年の小腸移植の成績は国際小腸移植会議2005の報告によると、1210例に行われ、全体の5年生存率では約40%であるが、過去2年間の1年、2年生存率に限れば約82%、72%にまで改善してきている。しかしながら日本での小腸移植施行例は12例にとどまり、その成績は現在まで生存3例のみである。また脳死移植法が施行されてから9年を経て脳死小腸移植の施行は1例のみであるが、生体肝移植を含め臨床での小腸移植が日本において浸透していかない理由として、小腸自体が免疫原性に富んだ臓器であり未だにその免疫抑制に難渋するためで、他の臓器移植に比べその成績が極端に悪いことに終始する。従って小腸移植の成績上昇には拒絶反応の早期発見、より強力な拒絶抑制法の開発が必要である。

現在の研究
リンパ球循環(migration)について移植免疫におけるその役割はまだ明らかにはなっていないが、近年自己免疫疾患(IBD)の分野ではインテグリンやMMP、セレクチンやそれらに対するLigandの役割が注目され始めている。炎症状態が惹起されるとこれらの接着因子の他ケモカイン等も働いて、様々なサイトカインやリンパ球に働きかけて組織にダメージを与えると考えられ、局所におけるこれらの動員を抑えることが小腸移植での免疫抑制療法での成績向上をもたらすと期待される。 
 そこで、臓器の中でも独特なリンパ機構を持つ小腸の免疫特性の視点から、接着因子、ケモカインレセプターを制御することによりグラフト保護、さらには小腸移植の成績に効果的な検証を行うことを研究している。
 我々の研究は従来型のDrug(シクロスポリン、タクロリムスなどのカルシニューリンインヒビター)を使うだけの治療法とは違い、
これに接着因子、ケモカインレセプター等の発現を、まずは抗体で、次に遺伝子治療法を用いて制御し、その方法の臨床応用を模索するものである。

* 新規FTY720によるラット小腸移植モデルにおける免疫抑制効果(Kimura et al,Transplantation.2003;75:1469-74)、
* 抗MAdCAM抗体のgraft内投与による生着延長効果(Ihara et al. Transpl Immunol. 2007;17:271-7.)


<<主な共同研究先>>
大阪大学大学院・医学系研究科・生体機能補完医学
大阪大学大学院・医学系研究科・疾患分子情報解析学
大阪大学・遺伝情報実験施設
大阪大学・微生物病研究所・動物実験施設
大阪大学大学院・保健学科・糖鎖診療学
明治大学・農学部・生命科学科生殖工学

Complement regulation in the GalT KO era

Introduction

The increasing problem associated with the worldwide shortage of donor organs has led to a renewed interest in xenotransplantation. The pig represents an ideal animal for xenografts to humans for a variety of reasons, including anatomical, physiological and ethical considerations. The major xenoantigen responsible for the rejection of pig-to-human xenotransplants is a single carbohydrate structure, the ア-Gal epitope (Galア1-3Galイ1-4GlcNAc-R)[1, 2], which is expressed by most mammalian cells, including the pig, but which is absent in humans. A number of laboratories are currently attempting to produce _1-3galactosyltransferase (GalT) gene knockout (GalT-KO) pigs, and several have already reported success using fibroblasts on a wild-type (WT) background [3-6]. We have also successfully produced GalT-KO pigs that express two transgenes, human decay-accelerating factor (DAF; CD55) [7] and N-acetylglucosaminyltransferase III (GnT-III) [8, 9].
While the production of GalT-KO pigs appeared to eliminate the problem of hyperacute rejection (HAR), acute vascular rejection (AVR)[10] / acute humoral xenograft rejection (AHXR), which involves the production of xeno-reactive antibodies and subsequent activation of the graft endothelium, containing the system that controls activation of the complement and coagulation, was defined as a new obstacle for clinical xenotransplantation.
Therefore, GalT-KO pigs provide a platform on which further genetic modifications can be evaluated for xenotransplantation [11-14]. As potential candidates, anticoagulants, such as thrombomodulin (TM) [15, 16], tissue factor pathway inhibitor (TFPI) [17, 18], hirudin [19-21], activated protein C [22] & CD39 [23, 24], and a further reduction in non-Gal antigenicity, such as the Hanganutziu-Deicher (H-D) antigen, can be considered, but complement regulation by complement regulatory proteins (CRPs) seems to be clearly needed.


Concluding remarks

The conclusions that appear in this review indicate that expressing human CRPs on GalT-KO grafts is necessary. Moreover, the multilateral inhibition of complement activation is required in conjunction with the regulation of the coagulation system, because the complement will be activated via the classical pathway by non-Gal antigens and in cases of ischemia-reperfusion injury (IRI), via the alternative pathway, especially on islets, via the lectin pathway, and the new coagulation pathway.
Considering the fact that the possibility exists that, not only thrombin but other coagulation factors as well, could activate C5 [35-37], it became important to inhibit the late step of activation, the formation of a membrane attack complex, by CD59. However, C4, C3 and C5 cleavages themselves produce a variety of chemotactic factors, C3-step inhibition by CRPs at the same time of the inhibition on the coagulation pathway by hCD39, thrombomodulin, TFPI or/and hirudin, and so on, is extremely important. In addition, the early step inhibition by C1-INH is very effective and reasonable. That is, multilateral inhibition should be considered. Therefore, as many researchers have suggested, methodology for adding the next genetic modifications to Gal KO pigs is now an important issue [29, 114, 184].