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100年を越える歴史を持つ大阪大学医学部小児科学教室(現・大阪大学大学院医学系研究科生体統合医学小児発達医学講座)の10代目の教授として就任しました大薗恵一です。私は、大阪大学、大阪府立母子保健総合医療センターおよび米国のBaylor College of Medicineにおいて、一般小児科学、新生児学、小児内分泌学、小児腎臓病学、骨代謝学、小児病理学、分子生物学を学び、骨カルシウム代謝および内分泌学を専門にしております。当教室のこれまでの伝統を生かして、高度な専門性を保ちつつ総合的な視点を持つこと、また、病気のみを対象とするのではなく、病める小児を全人格的に扱うことにより小児医療に貢献することを、教室員とともにめざしたいと思います。
「小児は単に小型の成人ではない」という言葉は、古くから小児科医の必要性を表すものとして用いられます。成人と異なる小児の特徴には様々なものがありますが、成長・発育するということが第一にあげられます。小児科医は、ただ病気を治癒させることに専念するのではなく、健全な小児の発育を理解し、その子が本来持つ成長する過程を取り戻せるよう努力しなければなりません。
骨髄移植・臓器移植・遺伝子治療などの高度先進医療が現実のものとなり、さらに、再生医療などがこれからの医療として期待されております。また、ヒトゲノム配列の概要が明らかにされ、21世紀はポストゲノム時代としてゲノム情報をいかに医療の現場に還元していくかに関心が移行しております。一方では、肥満などの生活習慣病の小児期発症や児童虐待などの形をとって、社会経済のゆがみが弱者である子供におそいかかっております。このような時代において、小児科医の果たすべき役割は大きく、日夜努力を続けなくてはいけません。このことは困難なことでありますが、子供のもつ無限の可能性ということが単に言葉ではなく実感できるとき、小児科医であることに誇りと喜びを感じることができると思います。小児科医をめざす方の参画を求めてやみません。

 

(2002.2.1)