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【4】カリウムチャネル機能制御の構造基盤

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図1. 4量体構造をとるKir3.2の細胞質領域
G蛋白質制御内向き整流性カリウム(KGチャネルは心臓では徐脈、神経では遅延性の抑制性後シナプス膜電位の形成という生理作用を引き起こします。このチャネルの細胞質内領域は、受容体刺激によって生じるG蛋白質の解離型βγサブユニット(Gβγ)と結合し、細胞膜貫通領域の動態を変化させ、チャネルを開口に導きます。近年、Kir3.1の細胞質領域の立体構造が明らかとなり、古典的内向き整流性カリウム(Kir)チャネルKir2.1の細胞質領域、原核生物由来KirチャネルKirBac1.1の構造との類似性が指摘されました。しかし、チャネルの開閉を調節する推定されている細胞質領域における構造変化について、不明でありました。KGチャネルはKir3.1-Kir3.4の4種類のサブユニットからなっており、それらが異種または、同種に集合し、機能チャネルを形成します。Kir3.2は生理的条件下で同種4量体として機能するため、このサブユニットのN,C末端を融合させた細胞質領域の結晶化用蛋白質をデザインし、単結晶を作製し、X線結晶解析によって立体構造を明らかにしました。


Kir3.2の細胞質領域は、図1で示すように4量体として存在していました。この構造は、既報のKir3.1やKir2.1の細胞質領域の構造と類似しており、生理的にKGチャネルが4量体として存在することを支持するものでありました。

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次に本研究の目的の一つである‘KGチャネルの開閉調節をする細胞質領域の構造変化を理解する’ために、既知の近縁蛋白質の立体構造と、本構造を比較し、構造的要因の検出を試みました。βC とβDストランドの間のCD loopに対応する電子密度は観察されませんでした(Fig. 2A)。この領域を既知のKirチャネルの構造と比較すると、HI loopを含めたCD loopの近傍は非常にflexibleであることが判りました(Fig.2B)。これらのloopは細胞膜貫通領域と相互作用しうる場所に位置します(Fig. 2C-F)。構造的に多様性を示すCD loopやHI loop領域には、Kir channelの機能に重要な役割を果たしているアミノ酸が多数同定されています。そのため、これらの細胞質領域成分が細胞膜貫通領域の動態を制御し、チャネル活性を調節していることが示唆されました。



図2. 細胞質領域に存在する自由度の高いloopと細胞膜helixとの相対的位置


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